RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

広報マニュアル:Crisis management(07

4:危機管理の「対応」から「予知」へ



 広報活動における危機管理とは、企業イメージを守る事を目的として、さまざまな「対応」方法を述べてまいりましたが、最大の対応方法は、その危機を「予知」し未然に防ぐ事です。平成18年5月に施行された会社法で、大会社につき、取締役会で法令順守体制を含む内部統制システムを決定すべきと規定されました。

 この事から大企業では、社内で起きた不祥事を防ぐシステムが出来ていなかったと、会社上層部の役員に対し、株主代表訴訟などの損害賠償請求訴訟に繋がる事例も増えています。この事からも危機を管理するため「対応」から「予知」へと、企業体質も変化していかなければなりません。
 そのために法令遵守はもちろんの事、社会的常識・倫理観・消費者の視線と言った意識を高め、企業と社会の問題意識のズレを修正していく、PDCAサイクルをシステムとして確立し、実行する事です。

 また「身内のチェックは甘くなる」と言われるように、内部だけのチェックだけではなく、積極的に外部専門家に参加してもらい、常に第三者の目でチェックするシステムも必要でしょう。この様な社内体制を整備して行き、積極的に社会へ公表する事で、社会的にも「風通しの良い社風」「社会的責任を全うしている会社」と評価され、各ステークホルダーからも信頼を得る事になり、永続的に成長し続ける企業としてのスタートが切れます。

 この様な事から、これからの社会で成長していく企業として、広報活動は必要不可欠な業務形態です。さまざまな職務が協力し合い企業が成り立っていますが、社員一人ひとりが広報と言う仕事を良く理解し、企業の顔として社会と接する事で、社会からより認められる企業となります。




広報マニュアル:あとがき

 この数年の通信環境の整備から来る、情報流通量の増加、内容の多様化などで、社会が大きく変化してきています。資本が大きくマネージメントにも人材が豊富な企業は、危機感を持って変化する社会に対し舵を切り、会社の進むべき方向を修正していますが、ベンチャー企業を含む、中小の企業にはこの様なマネージメントできる人材が社長だけ、などと限定されています。

 今回アップした「広報マニュアル」は、まだ法令関係など付け加える項目もありますし、それぞれの現場では全て正しいとも言い切れません。広報課の実務者レベルには物足りないモノと思います、出来れば実務者だけではなく、全社員で共有すべき情報だと考え、制作してあります。

 また、この様なマニュアルは、メディアリテラシーとしてのWebでは相応しくないとも考えており、A-4 24ページほどの冊子を、pdfファイルにした物も用意してあります。必要でしたら差し上げますので、お問い合せ・コメントから送付先のアドレスを記入していただき、メッセージください。



広報マニュアルpdf


写真の撮り方-01

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 私の職業はアートディレクターです。職業としての段階としてはアシスタントデザイナーからデザイナーと来ておりまして、はるか昔には学生だった頃もありました。その学校には随分とキチンと作られた写真スタジオもあり、カメラも4×5サイズのフィルムカメラを使い撮影実習もしていました。

 1970年代前半の事でストロボよりもタングステンを使っていましたが、スタジオでも物撮影の、キチンとしたライティングを作るのがどうも肌に合わず、カメラマンよりもデザイナーを目指した訳なのですが、カメラは嫌いではなく、スナップ程度に色々な写真を、ストロボなどの補助光を使わずに撮影を楽しんでいました。

 仕事柄写真を使う事も多かったので、ある一定以上のクォリティーとはどのような写真なのか、まぁ、教わるより慣れろでしょうか、身についていたわけです。そんな事を知ってかどうか、このAll Aboutの集まりがあった時に、営業のOさんが「一眼レフを使った写真の撮り方のコラムを書いてくださいよ」と言われ、被写体にレンズを向けシャッター切ればほら撮れた。と言ったら違うと言う。

 少しでもキレイな、雑誌や広告で見るような写真の撮り方が知りたいとの事で、あくまで自己流ですがいくつかのポイントでコラムを構成してみます。


■人間性
 最低限今よりもキレイに撮りたい、と言う欲望が頭に渦巻いていないとダメです。「こんなもんだろー」とか「めんどくさいから」「見たいテレビがあるから」などと言っていてはまず無理です。まぁこれはデザイナーを目指す人にも言えると思いますが、自分の目指す物に向かってどん欲さが無いと、仕上がりはあまり期待できない物が多いです。


■カメラ
 一応オートだけではなく、絞りやシャッタースピードをマニュアルで使える一眼レフカメラを念頭に置いています。撮影した画像ファイルも.jpgだけではなく、後処理の事を考え.CRW(カメラRAW)で撮影できる機種だと、よりイイと思います。レンズは倍率の高いズームも最初のウチは画角が変わって面白く見えますが、一年くらいで多分飽きちゃいますので、固定焦点でも良いのでなるべく明るいレンズを選びます。

良い写真って「風景の中でどのようにフレーミングして切り取るか」ですから、35mmカメラ換算で広角35mm〜80mmくらいのズームレンズあたりから始めるのも良いかもしれません。この画角のレンズって安いコンパクトカメラのズームが、これと同じくらいの画角のレンズを使っています。


少しだけ写真の説明を。左はまだ人の歩いていない白い砂浜の犬の足跡、これもオートで撮影するとアンダーに撮れてしまいます。右は雨のリゾート、人もいなくて寂しい風景で、椅子だけがじっと佇んでいるのが存在感ありました。

最初はこんな感じでしょうか、次も続きますよ。




写真の撮り方-02

coffee cup_480

showcace_480

 ちなみに皆さんは、どんな写真を“良い写真”と判断しているのでしょうか、それによっても撮り方が違ってきますので、自分が好きな写真、気に入った写真をよく観察する事から始まります。多分その写真は、漫然と街の風景を撮った物と、ひと味もふた味も違うと思います。目を引きつけられるポイントが明確にあり、何かしらのメッセージが感じられると思います。




■レンズ

 昨日のカメラの後にも書きましたが、もう少し詳しくと思い独立した項目で説明します。昨日の「35mmカメラ換算で広角35mm〜80mmくらいのズームレンズあたりから始めるのも良いかもしれません。」に追加で、マクロレンズもプラス一本有るとパーフェクトです。

 私はカメラを持ってプラッと出かけ、手持ちでの撮影が多いので、レンズは極力明るいレンズを選んでいます。ピントの合う範囲を“被写界深度”と言いますが、広角は広く、望遠は狭い、距離が近いと狭く、無限大に離れるほど広くなります。また、絞りを絞り込めば広くなりますし、開放では狭くなる関係でもあります。

 サンプルで付けた下の写真を見ていただいても分かると思いますが、暗い室内に三脚立て、絞りは開放、シャッタースピードは1/8位でしょうか。寄りで撮っていますのでピントが来ているのは一箇所くらいで、後はみんなぼけてしまいます。こんな物に寄った写真だと、自宅にある普段見慣れている物でも、光の加減でとてもキレイに撮る事が出来ます。

 レンズの事を書いたので、補足として少しフィルターも説明しましょうか。写真が画像データーになる前まで、広告に使われる商業写真などはリバーサルフィルム(スライド用フィルム)を使っていました。このフィルムは普段使っていたプリント用フィルムと比べても色温度に敏感で、太陽や蛍光灯、ストロボや白熱灯など、同じ物を撮影しても光源によって、色のついたビニールを掛けたように色が変わった物でした。

 人間も物理的に入る情報がそうなっているのですが、脳が色を修正して判断しているので、光源での差はあまり感じられません。現在使われているほとんどのデジカメは、自動でホワイトバランスを取りますので、フィルム撮影に使うような色変換フィルターは必要なくなりましたが、キャンディーなどを包んでいたビニールの包装紙を、レンズの半分だけ隠してみるとか、クシャクシャにして別な方向から光を当てて、乱反射の光をレンズで拾ってみるとか、人工的に不自然な光を演出する事でも表現を膨らませる事が出来ます。




写真の撮り方-03

Jetty_480

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■時間とお天気

 昨日の屋内での撮影でしたら、時間やお天気など気にせず撮影できますが、風景や屋外で物を撮影する場合、ドラマチックに撮影できる時間帯が有ります。日の出・日の入り前後がその時間帯ですが、光源となる太陽の位置が水平に近いので、陰影がはっきりと出て立体的に見えます。また望遠レンズで空気感を感じさせるよう撮影する場合は、季節や雨が降った時など天気によってだいぶ違いますが、朝は空気中の埃が少ないクリアな感じに、逆に夕方は活動後の濃密な感じの空気感を得る事が出来ます。

 お天気は晴れでも良いのですが、薄曇りの時などは全体にベールを掛けたような、間接的な光のまわり方で、ほとんどの物がキレイに見えます。特に女性を撮る時などは、肌がキレイに見えますのでお奨めです。また、雨が降って頭に思い浮かべた絵柄を再現できなくとも、雨の日だから撮れる画像というのもあります。特に物を撮る場合、濡れて水滴の付いた表情は、とても印象的だったりします。

 少しだけ写真の説明を。リゾートでの日没後の桟橋です、雲が芸を披露してくれ良い感じに。この時はディライトタイプのフィルムをタングステンタイプに変換するフィルターを使っていますが、デジタルカメラで撮影フォーマットをカメラRAWで撮影した場合、PCで現像の際、撮影時のホワイトバランスをいじれます。もう一枚はレストランのテラスで、夕日が直接グラスを彩り、煌めきとコントラストが良い具合に。




写真の撮り方-04

MOTO GUZZI LeMans1000_480

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■フレーミング
 クルマやオートバイなど、大きな被写体は全体を画面にきっちり納める表現もありますが、一部を切り取る形での表現方法も考えられます。どこをどう切り取れば、格好良くなるかは背景と商品の色などに左右されますので、撮る方のセンスに大きく左右されるところでしょう。また、クルマのボディーなど面が大きい物では、そこに写り混む風景なども、画像の一つの要素となります。


■露出
 デジカメのカメラRAWデーターでは、PCでの現像の際、露出を絞りで言って一段開けたり、絞ったりしても、仕上がりの画像にさほど影響が無く調整できますが、露光をAUTOの設定で撮影の場合、背景の色や被写体の形状、光の当たり方で仕上がりが明るく跳んでしまったり、暗く潰れてしまったりします。

 カメラを覗いたフレームの中で、ハイライトとシャドウを認識し、被写体の中で一番表現したい部分に露出を合わせるよう意識して露出を合わせないと、カメラで適正露出と判断していても、思った画像が撮れない場合もありますのでご注意ください。

 カメラ量販店にも軽い布製で片面はアルミ蒸着、片面は白と言ったコンパクトに収納できるレフ板を売っています。被写体で表現したい部分がシャドウで暗くなっている場合、レフ板で光を当てる事で、自然な形で明るくできますので、一つ用意しておくと何かと便利です。


■まとめ
 デジタル一眼レフカメラを使って、少し良い写真の撮り方を4回に分け説明しましたが、カメラのファインダーを覗いた時に、こんなフレーミングがあったな、こんな撮り方があったな、などと、広告や写真集などで良い写真を沢山見る事はとても大切な事です。また、良い写真を撮るために早起きするなど労力を惜しまず、色々な撮り方にチャレンジし、沢山の写真を撮って頭に引き出しを作っておく事も忘れないでください。


 少しだけ写真の説明を。左は晩秋と言っていい時期、東京都内の公園の入口で撮影した写真です。遠くまで行かなくとも近くとも良い場所は沢山あります。右は、春先に山梨のリゾートで撮ったクラッシックカーで、リアフェンダーの曲線が官能的な線を描き、そこに写り混んでいる風景もなかなかキレイです。




毎日新聞・紺屋の白袴なのか?

 今年の春先頃から、いろいろと取りざたされていた毎日新聞に関する諸問題ですが、昨日のニュースサイトにまとめが出ていましたので、いつもは不祥事を告発する側の、メディアの不祥事に対して一言。

 報道して火の粉が降りかかると大変と、静観しているのか、他の新聞やテレビなどでは報道しないので、何のこっちゃと思われる方も多いでしょうが、日本に5紙だけの全国紙(マスメディア)の1紙である毎日新聞と、メディアとして台頭してきたWebとの戦争みたいなモンです。

 何がどうしてどうなったかは、上記まとめサイトを読んでいただくとして、マスメディアとしての自負と、新参者のメディアに対しての正確な判断を誤った事が、Web上で炎上騒ぎとなり、企業の大きな収益源である、スポンサーの撤退に繋がったのだろうと思われます。





教訓として見習う点は

1)自社サイトの末席にあるニッチな存在でも、自社の看板を掲げている以上目を配り、管理していく責任があると言う事。・・・それがブランドを管理すると言う事。

2)社会の変化をよく知る事、インターネットの掲示板というと、オタクや引き籠もりと言ったネガな部分だけではなく、キチンと世論をまとめる力も備わっている事。・・・なめてかかると、とんでも無い事に。

3)不測の情報が流れる兆しが何度か有ったにも係わらず、火消しに努めなかった。・・・マスメディアとしての奢りなんでしょうかね。

4)報道機関として情報を発信するのだろうが、不祥事を起こした企業に対しての見方と、社内で行われた事の判断評価を同一視しない。・・・社内に対しては甘く見られるので評価はもっと厳しく、または第三者機関で。

5)Web上で不祥事を叩かれると、ツボを押さえた謝罪をしない限り、報道と違いいつまでも沈静化しない。・・・キャンペーン報道のロングテール化。



 今はメディアの頂点と思っていても、明日もその位置にいられるとは限りません。社会の動きを謙虚に受け止め、対処していかなければ企業として生き残ってはいけないでしょう。
 テレビ、新聞や雑誌などの既存マスメディアに対し、Webの世界では情報に対しての対価を得られにくくなっており、どのようなビジネスモデルが成り立つか、試行錯誤が繰り返されています、現在のマスメディアも統合・縮小などの動きが起こってくるかもしれませんね。




UNIQLOCKがメディアの枠を越える



 ユニクロのファーストリテイリング社のウェブ広告「UNIQLOCK」が、カンヌ国際広告祭のインターネット広告のサイバー部門と、メディアの枠を越えたアイデアのチタニウム部門でグランプリを取りました。
 スゴイ!、クール!、色々と表現はあるのでしょうが、ムービーと時刻表示のアニメーションを5秒間隔で入れ替える、見せ方のテンポの良さ、BGMに重なるセコンドタイムと10秒ごとのポーンが、ダンスの動きと相まって耳に心地よい、本当に見続けちゃいます。

 このウェブ広告用ツールは、ブログパーツとして開発されたようですが、今までのウェブ広告用ツールは、バナーやAdSenseと言ったコンテンツマッチ式広告が多く、Flashを使ったバナー広告などあったとしても、テレビCMと比べ、クォリティーもあまり高くなく、画面の隅でチョロチョロ動いて鬱陶しいなど、掲載する側としてはあまり広告効果が期待できず、見る側も見えなくなるまで画面をスクロールするなど、そのバナー単体の掲載では、広告としての効果をあまり期待できるモノではありませんでした。

 しかしこの5秒刻みで画面が移り変わり、朝・昼・晩・夜などによっても変化する映像は、リズム感があり、見ていて楽しく飽きさせません。今までこのウェブ広告ほど、インターネットというメディアリテラシーに合った広告は、無かったかもしれません。

 ウェブ広告でこれだけ企業イメージを表現でき、社会の人とコミュニケーションを取れると言う事は、今まで企業と社会のコミュニケーションを媒介してきた、テレビや雑誌、新聞と言ったメディアのプライオリティーが下がったと同じ意味を持ちます。
 これからの時代、頭で考え汗をかく事ができなければ、大手広告代理店やテレビ局も、うかうかしていられなくなりそうです。反対に小さな企業でも、アイデア一つで大企業に一泡吹かせられるキャンペーンが出来るかもしれません。

 ちなみにファーストリテイリング社の日本国内における広告宣伝費は、年間210億円だそうです。今回のウェブ広告用ツールにしても、媒体費は掛からないにしても、制作費は通常のCM制作と同じ程度掛かったと言いますので、同じような広告を考えるにしても、金額の覚悟だけは必要でしょう。




フジテレビが動いている

 そう、あのマスコミの代表みたいなフジテレビである。ニュースによると、別会社を設立し、結婚披露宴の企画・運営事業に参入。お台場の本社屋などを利用。と有ります。

 確かに番組制作というエンターテインメントを作り慣れた放送局が、人生で一番輝く時期であろう結婚披露宴の演出ビジネスに進出するのは、企業の持つ資源の有効活用で、リスクも少なく大きく伸びる可能性はあるのでしょうが、日本を代表するマスコミの一つである企業が、プライベートサービスを手がけるのは正直驚きました。

 毎年電通が公表する「日本の広告費」ですが、2005年の総広告費の内テレビの広告費が2兆411億円だったモノが、2007年は1兆9,981億円と2 兆円を割り込み、反対にインターネット広告費が、2005年3,777億円だったモノが、2007年には6,003億円と増え、新聞・雑誌・ラジオ・テレビと言ったマスコミ四媒体との媒体広告費の推移が顕著に表れると、なりふり構ってられないと言ったところでしょうか。

 その昔、ラジオ局もテレビの台頭と共に、リスナーとのコミュニケーションを意識した番組へと、プライベートメディアに近づいた経緯がありますが、テレビというメディアもそれに習うのでしょうか。
 社会の変化に伴い企業体質を変化させるように、様々なビジネスモデルを模索し、新しいサービスも出てくると思われます。
 体力がまだある内に出てくるテレビ局の新サービス、これからのビジネストレンドを代表するサービスが生まれ出てくる可能性がありますので、ますます目が離せませんね。




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