RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

身につかないスキル

もう仕事でPCを使うなんて当たり前、って何年前の話してんだよと笑われますが、業務用のドキュメント制作からプレゼンテーションまでと、何でもかんでも大体はひとりで出来てしまう。でもまぁ、中には営業用のツールとして商品案内の簡単なチラシやカタログのようなものを文章作成ソフトのWordなどで作り、プリンターで出力したものをお客さんに説明するときに使ったりしているよね。

日常的に顧客の要望にあわせた形でプレゼンも変化させる必要があるだろうから、使い慣れたソフトはスキルも付いて、作業効率も高くなるでしょうが、プリンターで出力ではなく、部数も多いので印刷しようとデーターを作ろうとすると、ほとんどのソフトは印刷用データ作成に適していなかったりしていて、印刷が上がってみたら思っていたモノとは程遠く、ガッカリする事もあるのではないでしょうか。

印刷については、まだ文章を構成する通常の仕事の延長線上にあると言えなくもないのでしょうが、Webサイトのページの追加や修正だとしたら、ソフトウェアのプログラミング業務のSEの方が近いしね、学生の頃などプライベートでいじっていない限りhtmlとかCSSとか言われても訳分かんないよね。

大体そんな時の仕事は自主的に行うよりも、上司からの一言でお前やれと貧乏くじ引くように、ウムをも言わさずにやらされる事も多いでしょう。

ソフトをいじるスキルも持ち合わせないでしょうから、本屋でエデュケーションブックを買ってきて、トレーニングやチュートリアルを作ったり、SNSのコミュニティーで解らないことを質問してみたりと、作業効率は低い上に短い期間で繰り返し同じような仕事があるわけでもないので、ソフトを使いこなすスキルが身につくはずもなく、一生懸命努力して作った割には評価も低く、仕事を振り返って見てみると無駄に時間を浪費しただけと言うことにもなりかねません。

事業として利益を上げるためには簡単に考えても商品をもっと買ってもらうか、買った時に頂いたお金をどれだけ使わないでいられるか。前者は商品の魅力をどれだけアピール出来るかでしょうし、後者は社内の仕事をどれだけ効率的に出来るかでしょう。今まで外注費という形で外部に支払ったお金を内制という形でプールしても、まだ人件費も安い若い人に作らせるとはいえ、その効率がいつまでも悪いままではね。

とは言え、たまに出てくる問題の、しかも一つ二つの部署のために専門教育するよりも、総務部門で社内のドキュメントマネージメントと制作・教育担当のなんでも屋として、非常勤でもいいから経験のあるアートディレクターを雇ったほうが中長期で見ていくとメリットがあるんではないでしょうか。

現在は業界全体に仕事も少なくなり、事務所を閉じる優秀なディレクターが市井に溢れていますから、買い手市場で質の良い人材を容易に手にも入れることが可能だと思います。機材の進化でコモディティー化し、内製で業務効率を上げることが出来るということは、その業務の仕組やシステムまでの責任までも背負い込むことですよ。




商売を続ける為にヤッテはいけない事

私たちの住んでいるこの日本の基本となる部分を見返してみると、自由主義社会ですから自分が欲しいと感じるものは自由に選んで所有することが出来ます。水や空気のように当たり前のこととしてそこにあるものだから、システムとしてあまり気にしたこともないのでしょうが、企業でも個人商店でもお客様に商品やサービスを提供する対価として報酬を得る事で社会は成り立っています。

カスタマーやコンシュマーが欲しいと感じる商品を提供し、満足を与える事で評価を得、利益につなげる。サービスや商品を提供する側は、けして顧客の希望を裏切らない姿勢で対応することで、お互いに信頼関係を築き、企業としてもその評価に見合うポジションを得る。商品やサービスは技術革新などで新しい製品などに変わってきても、顧客と企業の関係は上記のサークルを回し続けることで永続的な評価=価値を得るわけですから、この完成されたサークルを維持するためのエネルギーを惜しんではいけないはずです。

私事で恐縮ですが、今月そんなことを感じさせる出来事が、幾つか続けざまに起き、顧客への対応の仕方が、伸びてきているメーカーの製品と、以前はAV機器の頂点を究めたと感じていたメーカーですが、最近落ち目ではないかと騒がれるメーカーとで、ずいぶんと姿勢に差があるなと感じましたのでブログをエントリーしました。



割れた液晶

一つは、昨年秋に購入した地デジ対応の液晶テレビで、長男がテレビのあるリビングでポータブルゲーム機で遊んでいるときに、間違えて目の前にあった扇風機を倒し、液晶を割ってしまったこと。購入した時の製品価格が20万円を少し超える金額でしたので、メーカーの出値を6割と見てその製品の中でも一番お金がかかっていると考えられる液晶パネルをまるごと交換しますので、出張修理は10万円を少し切るぐらいと考えていましたが、かかった費用は5万円を少しだけ上回る金額で済みました。

もうひとつは偶然にもその液晶テレビと同じメーカーの製品で洗濯機ですが、我が家は子どもが3人いて全員学生、しかも2人は運動部で洗濯物の量は毎日半端ではありませんが、かみさんも働いていますので、一度に洗える洗濯物の量は超えていると理解していても、時間もないので無理してでも一度で洗ってしまうこともしばしば。これを6年近く続けていたのですが、洗濯槽の羽根が回らなくなってしまいましたので、修理を依頼し、サービスマンに出張してもらいました。結果はモーターの軸と羽根をつなぐスプライン(溝)の摩耗で羽根が空転していたことが原因。これを見てサービスマンは、メーカーとして製品の材質を決める研究材料として調査するので、今回の修理代金は無料とさせていただきます。と。

確かにモーターのシャフト側と、羽根に刻まれたスプラインが同じ材質だと、同じように摩耗してしまい、場合によっては羽根だけに収まらず、モーターも交換すると修理費が高額になってしまうので、羽側にあるスプラインの材質をシャフトよりも柔らかいものにすることで、安い羽根だけを交換する事で顧客の負担を軽くすることが出来ます。同じような家電製品はどこのメーカーも同じように、修理しても顧客の負担を軽く済ませるように設計しているとは思いますが、顧客側に使用上の過失があると分かっていても、そのメーカーの製品を長く使い続けてくれる事がCSにつながるとの判断で、製品のメンテナンスを行ってくれるのを目の当たりにしてしまうと、心のなかの好感度は2段階も3段階も上がってしまいます。

そして残念と感じた側の製品は、大手のAV機器を中心に扱うメーカーで先進的な製品を幾つも市場に送り、多くのファンが居るメーカーのポータブルナビ。長男が高校生になり、一人で自転車に乗りフラッと長距離を走るのが好きなので、迷わずに帰ってこれるようにと、自転車利用をメインに考えてあり、量販店の中で展示してあるものを見ても、手軽でぴったりだと思ったので入学祝いにと購入したものです。その時は自転車に取り付けのパーツの在庫がなかったので、一緒には購入できなかったのですが、よく行っている量販店でもあったので、注文も出さずに今度来たときにでも購入しようと軽く考え、本体だけを購入して帰りました。
2ヵ月後の6月に行く用事があったので量販店で在庫を聞いてみたところ、本体はまだカタログに載ってはいるものの、取り付けパーツに関しては製造中止になってもう手に入らないとの答え。現在でも本体のカタログには自転車で使うのにぴったりと製品のキャッチコピーで歌っているにもかかわらず、自転車に取り付けるパーツだけ手に入らないとはどういうことなのか、お客様相談室にメールで問い合わせしましたが、メーカーの都合で申し訳ございません、ご理解くださいと返事が帰ってきました。

自転車での利用をメーカーが推奨し売り出し、その目的に合ったので購入したのに、2ヶ月の時間差で自転車に取り付ける方法はユーザーで考えて取り付けろと言われたようでメーカーに裏切られた気持ちです。

製品を考案し販売した時点と思惑がちがい、思ったように売れなかったので新たに製品のラインを動かすことをしなかったのかもしれませんが、ほとんど同じくらいのサイズで上位機種をカタログに載せているのですから、取り付けパーツは汎用品として共用にしたって構わないはずです。製品を考案しデザインする段階でも顧客の存在をあまり考えず、メーカーの都合だけで製品を販売しているんだなと感じました。

今まで私はそのメーカーの製品が好きで、オーディオ機器からビデオカメラ、PCのモニターからテレビやゲーム機などたくさんの製品を購入してきましたが、顧客のことは考えずに製品化し、その責任を全うしない企業体質になってしまったこのメーカーの製品は2度と購入しないだろうと感じています。大きくなりすぎた企業を一度解体し、コンシュマー向けのメーカーの名前は中国企業にでも売却し、パーツをメーカーに収めるだけのメーカーとしてリスタートしたほうが良いのではないでしょうかね。




7月16日 金曜日の夕刊

DSCF7320.jpg

そろそろ梅雨も開けたかと感じるほどの暑い一日だった16日の夕刊に、Tokyo Art Directors Club展の告知広告が載っていた。今までの広告もADC賞展、と言うよりはコピーでのメッセージを全面に出したTCC(Tokyo Copywriters Club)みたいな広告が多かったのも確かですが、今回のキャッチコピーは「企業の繁栄のためにはアートディレクターが必要ですよ」とでも言いたげな「社長の横に、アートディレクターを。」というメッセージ。

確かに、コモディティー化が進んで誰でもがデザイナーですと宣言してしまえば、なれてしまう職業ですし、そんなデザイナーも増えているのでしょうか、デザイナーという肩書きを持った人は以前よりも増えているような気がします。簡単に出来る仕事になったからなのか、コンセプトや内容を詰めないで安易に出てくる広告に「オイちょっと待てよ、広告はもっと大事なモノだよ、しっかりと作り込んで出せよ」と業界の重鎮の方たちからのメッセージだったのかもしれません。

以前のブログにも何度か B to C で商売する企業は、広報という考え方を企業TOPは持たないと、コンシュマーやカスタマーといった顧客とのコミュニケーションが、これからの企業経営には重要になっていますよと書いてきましたが、今回のADC賞展の新聞広告は、それをもう一歩踏み込んだ意見だったように感じます。

社内の人材をアートディレクターに並ぶスキルを持たせるために教育するよりも、優秀なアートディレクターを引っ張ってきちゃったほうが簡単に良い人材を取れるとは思うんですが、海外支社を作るときにその海外で人材を求めるよりも、社内の人間に語学研修させて送り込むといった、余り効率的と言えない風土が日本にはありますからね、浸透するにはかなりの時間がかかるような気がします。




人を惹き付ける「引力」

昨日は、東京ミッドタウン5階の DESIGN HUB で行われた、若手アートディレクターの森本千絵さんの講演会に行ってきた。参加しているZUAN圖案という浅葉克己さんが会長を務める会が主催で開いたもので、年に2回ほど講演会を開いており、前回は佐藤卓さんの講演だった。今回は私と比べるとずい分と若いクリエーターの方でしたので、行こうか行くまいか迷ったのですが、人の話を聴くのは非常に楽しいので参加してきましたが、講演会場となる DESIGN HUB のリエゾンセンター自体が5〜60人しか入れない小じんまりとした会場ですので、プレゼンターと参加者との距離感も近く、会場に向かうエレベーターに乗り合わせたのが、私とプレゼンターの森本さんと、やはりアートディレクターで大先輩の佐藤浩さんの3人でした。

浅場会長を始め、カメラマンの十文字美信さんなど、クリエイターとして沢山の人に認められた方たちの講演を聞いた時に感じていた何かが、この若い魅力的なアートディレクターにも備わっていると強く感じました。

その人達に共通する“何か“とは何なんだろう?と、漠然と考えていた時リーダーとして登録してあった電通のさとなおさんのブログにあっけ無く載っていた。なんともはや便利な世の中になったものです。

「セダクティブというキーワード」と言うエントリーですが、私自身この言葉を知らなかった。氏の言葉によると、“Seductive(セダクティブ): 魅惑的な、誘惑的な、人をひきつける
派生的に超訳すれば、「一緒に仕事をしたくなる」「まわりに人が集まる」「まわりを巻き込むチカラのある」みたいなことまで広げられるか。” とあるが、講演会に参加してみて感じたことはプレゼンターの皆さんにはこのような周りの人や物を巻き込んで進んでいくような、勢いや力を感じていました。

このような勢いや力と言った個人のパーソナリティーは、クリエイターだけが必要としているのではなく、会社やグループなどのリーダとなる人が持っているべき資質なのでしょう。

自分が面白いと感じ、その面白さを他人と共有し面白さを大きく膨らませ、さらに多くの人を巻き込んで大きな渦を作っていくのが、リーダーなのだろう。昔まではその役割は雑誌等の既存メディアが担っていたが、今はブログやTwitterなどのソーシャルメディアに移行してしまい、今までと違う環境に戸惑いを感じて手を出さないでいることから成長という循環が切れてしまい、落ち込んだような“元気のない社会”になってしまっているのではないのでしょうか。

コモディティ化が進んだ業界で、選んでもらうための差別化があるとすれば、このセダクティブというキーワードだと思います。アートディレクターの皆さん、周りのクリエイターを巻き込んで、楽しいと感じられることを沢山やりましょう、大きな渦を作ってクライアントまでも巻き込みましょう。

なんか今まで原因がつかめなくモヤモヤとした感じがありましたが、解決したような気がします。ありがとう、森本さんとさとなおさん。




1/1