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広報という仕事
広報マニュアル:knowledge(01
- 2008/08/27 Wed
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Sec.1広報という仕事
私たち企業を取り巻く社会の動きや事業環境は、この数年でグローバル化やコモディティー化により急激に変化し、多様化・複雑化しています。'94年に成立した製造物責任(PL)法、'00年の消費者契約法など民事や裁判のルールが整備され、CSR(企業の社会的責任)や人権意識・市民意識の高まりなどから、消費者や報道機関をはじめとする社会の目は、以前とは比較にならないほど厳しくなっており、企業の展開している事業ばかりではなく、その企業体質をも判断する基準としています。
こうした状況の中、企業がその存在を社会に受け入れてもらい、活力ある未来を造り出していくためには、社会とのコミュニケーションの重要度が増大しています。この企業と社会とのコミュニケーションの基本にあるのが広報活動です。企業にとってこの先、発展・躍進していくためには、従来にも増して地域社会ばかりではなく、社会全般の理解と協力を獲得し、ファンを増やしていく事が必要不可欠であり、企業の顔として広報活動の重要性がますます増していると言えるでしょう。
では、具体的にどう考えるべきなのか。私たちの提供するサービスを利用していただくお客様、社会とのコミュニケーシニョンを説明するには難しい言葉はいりません。私たちのこの企業を、一個人・企業市民として捉え、隣人とのコミュニケーションを上手にとり、どうしたら長い間仲良く暮らしていけるかと考えれば、おのずと答えは導き出されてきます。一時期盛んに会社のロゴマークやCI(Corporate identity)といった言葉があふれていましたが、社会から見た我々の企業がどのように見られているか、どのような性格の市民として社会にあるべきかを、時間とお金をかけて企業ブランドを策定したものでした。
"buy meとlove me"広告と広報の違いを端的に表す言葉として有名な言葉ですが、広告は「私を買って」。広報は「私を愛して」。わかりやすいですね、この事から広報という仕事の内容が見えてきます。まず自分をもっと知ってもらうこと。知ってもらった上で再度「love me?」これで no! だとへこみますよね、でもこちらも相手(社会)を愛し、また愛してもらえるように自己を変革していき、社会からも愛してもらう。広報という仕事はこれの繰り返しです。
広報活動の基本は企業と社会の「コミュニケーション」であり、情報の発信ばかりではなく収集を行い、それを経営方針や営業活動に生かす活動です。社員一人ひとりが広報活動を理解し、自分自身も企業の一つの顔であるという自覚を持って日常業務を行い、日頃からお客様・地域社会のニーズに耳を傾ける事が必要です。
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広報マニュアル:knowledge(02
- 2008/08/27 Wed
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1:広報活動の基礎知識
1.企業も一社会市民です
1970年代前半頃までだったでしょうか、企業の作り出す製品・サービスに於いて、社会に対してそれほど大きな影響を与える物は有りませんでした。70年後半にはいると雑誌と言ったサブカルチャーが大きな発言を持ち、その波に乗った企業の製品・サービスなどが、社会現象とも言えるほど、企業が社会に対し影響力を持つようになり、商品と向き合っていたユーザーが、商品の背景にある企業というブランドと、向き合うようになったのもこの頃からでしょう。
この様な事から顧客であるユーザーが、向き合う企業を正確に理解し、良い企業と判断してもらうために、正確な企業情報を伝えるため「社会に対し隠し事のない、透明性の高い企業」「コンプライアンス遵守の高い企業」であることが必要とされるようになってきました。
つまり「良い商品・サービスを提供する企業」だけではなく「ユーザーや社会に対し信頼性がある企業」と言った企業体質までをも、購入する際に判断基準としているのです。この企業の信頼感は、ただ黙って仕事をし、製品を作り、販売していくだけではなかなか認めてもらえる物ではなく、企業側から積極的に知ってもらえるよう働きかけ、「良い企業」「良い隣人」として認知され、理解者・ファンを増やす事が、企業の発展に繋がると言えます。
この事から、企業は社会の一員としての責任を遂行し、社会の要請に的確に応えると共に、積極的に方針や活動などの情報を発信すると言ったCSRに重きを置く企業が増えてきました。
2.広報活動は「社会との対話」が基本です
「広報活動」と聞くと、情報発信というイメージで捕らえられがちですが、社会との信頼関係を築くには、一方通行な情報発信だけでは築くことができません。
1:話す・聞くがセットになって初めて広報活動です
社会の人々が企業に期待するものは、時の流れと共に変化していきます。例えば自動車で言えば、以前は「スピード」「故障の少なさ」「安さ」で満足していたお客様も、「環境に対する性能」や「安全性」などを求めるように変化してきました。このように変化する要望や意見を的確に把握し、企業の経営理念や方針、営業活動に反映させなければ、お客様だけではなく社会の人々は納得してくれません。
そのためにも外部への情報発信ばかりに力を入れるのではなく、外部の情報を内部に確実に伝えて検討する「コミュニケーション」機能を持たなければなりません。一方的な自己主張ばかりではなく、知るための努力を払い、それを経営に生かしていく姿勢が必要なのです。「コミュニケーション」が継続して行われる事から社会との信頼関係は生まれます。
2:うそをつかない
これはもう、表記するよりも、先にニュースになった食肉偽装問題や、有名料亭での使い回しが告発され、責任者がついた嘘で、その後企業がどうなったかを見れば、企業側としてどうすべきかは、理解できると思います。
嘘は必ずばれます。
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広報マニュアル:knowledge(03
- 2008/08/27 Wed
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3.報道機関の影響力
報道機関は、社会に影響を与える良い事・悪い事の全てを、素早く報道すると言う使命と共に、世論を形成する窓口として大きな影響力を持ちます。この事から取材に来る記者の背景には、数え切れない読者(視聴者・以下社会とします)がニュースを注視し、目の前の一人の記者から信頼を得られれば、その背景にいる社会からも信頼を得る事になります。社会は報道機関を社会情報の窓と言ったスタンスで捉え、報道機関というメディアを通じて企業の理念・活動・方針などを知り、企業イメージを構築してゆきます。
4.パブリシティと広告
パブリシティとは広報活動の中心的な仕事として認識されており、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどのメディアに向け、企業側から積極的にニュース素材を提供し、「記事」や「ニュース」として報道してもらう活動です。これはメディアなどを通じて間接的に、広く社会の人々に企業への理解を深めて頂く活動です。
これに対し広告は、社会へ向け企業が新聞、雑誌、テレビなどメディアのスペースや時間を買い、その中で企業自ら主張したい事を、企業の責任で表現し訴える活動です。
広報活動の中ではいずれも重要な活動ですが、この両者には大きな違いがあります。報道機関が社会的影響があると判断した報道であるか、無いかという点です。料金を払えば確実に情報提供できる広告に対し、パブリシティーに於いては「記事」や「ニュース」として取り上げるかどうかは、完全に報道機関の判断にゆだねられています。
それだけに、報道機関のニュースとして取り上げられた場合、記者という第三者のフィルターで、社会的影響があると判断された客観的な情報であり、報道機関としての信用もある事から、その内容の社会的信頼度や波及効果は絶大です。
5.社会(お客様)の声を聞く事
パブリシティと広告では、企業側から社会に向けたコミュニケーションの手段ですが、反対に社会(お客様)から企業に向けたコミュニケーション手段として、カスタマーセンターや、お客様窓口などがあります。また直接お客様とのコミュニケーションが取れる所では、直接ご意見カードに記入してもらったり、一定期間モニターとしてご意見を伺う活動があります。
お客様からの声の中には、製品やサービスに対するご意見ばかりではなく、苦情やクレームと言った面もありますので、窓口にはトレーニングされた専任スタッフが必要です。
また頂いたご意見に対し、迅速に答えが出ないと更に企業イメージを損なう事も考えられるので、どのように対処し、どのように改善策をとったか、担当部署との連絡方法、解決へのフローを事前に取り決めておく必要があります。
お客様から直接お話を伺う場合、お客様の個人を特定できる情報を得る可能性もありますので、個人情報保護法に則り、その情報の目的・管理・保護を明確にするために、プライバシーポリシーを作り公表しなければなりません。
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広報マニュアル:knowledge(04
- 2008/08/27 Wed
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2:報道機関の基礎知識
広報活動の基礎知識でも報道機関が社会の窓として、情報提供・世論形成に大きな役割を担っていると述べました。今までの広報業務はマスメディア4媒体、新聞・テレビ・雑誌・ラジオへの露出がパブリシティの成果と見られてきましたが、インターネットや携帯電話など、新しいメディアの台頭により、既存メディアの優位性が揺らいでおり、広報業務に於いても変革を余儀なくされるでしょう。
新しい媒体の台頭があるとは言え、すぐに既存のマスメディアの優位性が新しいメディアと入れ替わるわけではなく、メディアリテラシーを見据えた上、複数のアプローチを実施していかなければいけません。
しかし実際のマスメディア4媒体については、あまり理解されていないのではないでしょうか。読者(視聴者)として新聞やテレビというメディアの認識はあっても、記事になっていく仕組み、特徴などはあまり知られていません。ここではマスメディア4媒体の種類と特徴について説明します。
1.新聞
●種類
新聞と言われ、まず頭に思い浮かぶのは、毎日家庭やオフィスに届けられる一般日刊紙、通勤時に良く読まれているスポーツ紙や夕刊紙など。新聞は全国各地で多数のものが発行されており、その総数5,256万部(2005年日本新聞協会調査)ちなみに日本新聞協会に加盟しているのは139社/2006年10月現在。一般日刊紙を分類するには 1:配布エリアによるもの 2:紙面内容によるものの2種類に分類されます。
配布エリアによる分類では、「読売」「朝日」「毎日」「産経」「日経」の5紙を日本全域を配布エリアとする全国紙と呼び、地方紙と大きく二つに分類する事が出来ます。地方紙はさらに県域を越えた広いエリアに配布しているブロック紙、単一の県域内を主たる配布エリアとする県紙、県紙よりさらに狭い地域を配布エリアとする郷土紙に分けられます。
また、紙面内容による分類では、一般時事を報道する一般紙、各種スポーツ・レジャー・芸能といった分野の情報を主体に紙面作りを行っているスポーツ・レジャー紙、特定分野に絞った専門誌、個別業界の動向を報じる業界紙といった分け方ができます。
このうち世論形成上、大きな影響力を持つのが一般紙ですが、レジャーや地域情報・趣味などのパーソナルな分野によっては、一般紙よりも他の紙面の方が影響力が強い面もあり、企業もニュースの内容によってふさわしいユーザーが読むメディアを選択しています。
●特徴
1:記事を書く編集部門と、記事の取扱いを決める整理部・校閲センター
新聞記者は編集局に所属し、政治・経済・社会・外報・文化・生活・科学・運動などの部署に大別され、部署名はほぼ新聞の紙面ページと連動して取材活動を行っています。
新聞記者が書いた原稿を取捨選択し、それを整理しタイトルを付け、紙面を作るのが整理部です。整理部は機構上、編集部門から独立しているので、ニュースの取扱いは、まったく独自の判断で行う事になっており、記事の取捨選択、紙面での取り扱いスペースの決定に、大きな権限を持っています。
2:経済部記者と社会部記者の違い
編集部門の中でも、企業との繋がりの深い経済部記者には、主に産業経済という視点から、業界・個別企業の問題点や将来の予測を論理と、経営者人事を始めとする人の話を中心に組み立て記事にします。これに対し社会部記者は、社会の出来事のすべてを生活者視点で記事にしますので、取材の仕方や記事のまとめ方もおのずと経済部記者とは違ってきます。
記者発表をする際に最も多く接触するのが、経済面を担当する経済部記者ですが、最近の傾向として、企業を一般大衆の生活者視点から捉えるという社会的要求が強くなったため、社会部記者の取材が増える傾向にあります。また、場合によっては、経済部と社会部の記者が部の枠を越えたチームを編成して取材し、経済・社会の両面からの視点で記事をまとめた、「特集」を組むケースも増えています。
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広報マニュアル:knowledge(05
- 2008/08/27 Wed
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2.通信社
新聞社と同じように、時事を取材編集し配信する機能を持つ、通信社があります。現在日本には「共同通信」と「時事通信」の2社があり記事を配信しています。東京に取材拠点を持たない地方紙でも、東京の記事が掲載されるのはこのためです。また、この2社は世界の通信社と特約を結んでいるため、世界中の報道機関にも記事が配信されています。
3.雑誌
●種類
発行回数により月刊誌、週刊誌などに分けられ、その内容によって総合雑誌、専門・趣味雑誌などに分かれています。速報性が主体の新聞に比べ、調査報道が可能な雑誌は、それぞれ購読者層がはっきりしており、スクープ報道も多くみられます。専門・趣味雑誌以外にも「ショッピング」「グルメ」「エンターテインメント」といったトレンド情報を網羅した生活情報誌が、20代、30代の読者を対象に週刊、隔週刊といった形で多数発行されています。
また、日本の雑誌の中で忘れてならないのが、独自の文化を生み出している週刊コミック誌で、週刊誌という分野の中で市場の大きなマーケットを占めています。もう一つの傾向として、最近は定期的に発行されるフリーペーパーも多く出版され、記事と広告の両方を一企業・商品とのタイアップで行うなど、「お金を払って情報を得る」という、今までの雑誌という概念が変わってきているものも出てきました。
●特徴
1:速報よりも詳報性、解説性、娯楽性を重要視
雑誌の編集は、詳報性、解説性、娯楽性にウェイトが置かれています。というのも、制作に長い時間を必要とし、新聞ジャーナリズムに比べ、速報性に劣るということが挙げられます。このことから、一つの事件報道においても、事実の報道よりも、むしろ原因・経過・背景・結果に至るまでを、「人」や「話題」をそれぞれ独自の視点で調査し、新しいニュース価値を見つけ出して“読み物”にするのが特徴です。たとえば事件や事故が起こった場合、最初は速報性を求められる新聞・テレビ・ラジオなどが駆けつけ、事態が収束すると雑誌記者が取材に来て記事にします。
読者の価値観を一つのカルチャーとして囲い込み、継続した読者を獲るために月刊誌を初めとして、ファッションやライフスタイルなど、カルチャーのオピニオンリーダー的な存在を提案することで、読者を引きつけ、継続していくメディアと言えます。
2:多様化しているメディアの中で
インターネットや携帯コミュニティーなど、さまざまなメディアが登場する中、新聞と同じように雑誌の売れ行きも減少傾向にあります。また読者意識の変化により、雑誌に求められる内容も変化しており、廃刊になる雑誌、新しく創刊される雑誌など、読者の嗜好を探し求め雑誌の内容も変化し続けています。多様化しているメディア特性を生かし、Web上でダイジェスト記事を掲載し、雑誌購入へ誘導するなど、さまざまな取り組みが考えられています。
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広報マニュアル:knowledge(06
- 2008/08/27 Wed
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4.テレビ・ラジオ
●種類
テレビ・ラジオとも大きくNHKと民法に分けられ、NHKは各都道府県内に支局を置いています。テレビ・ラジオは他の報道メディアに比べ、情報の保存性に劣るものの、特にテレビ報道は実況中継など現場の声を伝えるために、インパクトが強く社会に与える影響が大きいと言えます。
テレビに関しては、民放は全国で122社、内5社のキー局と系列のテレビ局、系列を持たない独立UHF13局とに別れています。2003年12月より地上デジタルテレビジョン放送が始まり、現在親しまれている地上アナログテレビジョン放送が2011年7月24日で停波される予定です。
現在すでにGyaoやアクトビラがインターネットでサービスを供給し、NHKもアーカイブスと言ったサービス開始を予定しており、DVDソフトの低価格化、レンタルビデオの早期配信、 CATV(ケーブルテレビ)や衛星放送などが普及してきていることから、番組が今まで以上に多様化・専門化されるなど嗜好が変化しており、テレビ離れが始まっていると言われています。
ラジオに関しては、仕事や勉強をしながらの「ながら聴取」や、放送とFAXやメールなどによるリスナーとパーソナリティーとのコミュニケーションから、長時間聴取される事で、計画的に活用する事により、マーケティングや広報戦略に大きな効果を与える事があります。
●特徴
1:抜群の「速報性」と普遍的メディア
テレビ・ラジオの最大の特徴と言えるのは「速報性」です。最近では番組放送中に大きな地震を感知すると、「緊急地震速報」が視聴者に対して注意を喚起するなど、テレビ・ラジオは放送時間中であればいつでも視聴者に対し、最新情報を即座に伝えることができます。テレビで映像による報道がなされた場合には、その視覚による「迫真性」は他の報道機関と比べ大きく、情報伝達力とイメージ作りに関しては、極めて大きな効果を持つメディアといえます。
また、家庭でスイッチを入れれば、すぐに視聴できる手軽さから利用する視聴者も多く、日本人のテレビ平均視聴時間は平日3時間27分と長時間視聴が続いています(2005年NHK放送文化研究所「日本人の生活時間」より)。この事から、テレビから視聴者が受ける影響も大きく、人気番組やCMなどから発生する、さまざまな社会現象が認められます。
2:多角的な取材網の活用
NHKの場合は、各都道府県に支局を持ち、また新聞社と同様に自社記者取材が原則となっているため、各記者クラブに記者を配置するなど、ニュースの報道には新聞社に近い体制をとっています。
一方の民法は、自社記者の取材に加え、東京のキー局を中心にネットワーク網を形成し、情報の相互補完を行っています。このネットワーク網の系列は新聞社との系列化が確立しており、新聞社や通信社の情報も活用しています。
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広報マニュアル:knowledge(07
- 2008/08/27 Wed
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5.記者クラブ──記者発表の窓口
1:記者クラブとは
企業や団体にとって、広報活動の最も重視すべき業務である記者発表に際し、もっとも関係深い組織が記者クラブです。記者クラブは各公共機関等を取材するメディア各社が、取材・報道のため自主的に作り上げた組織で、各官公庁、地方自治体、主要民間団体には、必ずと言ってよいほどあり、多くの記者がこの記者クラブに所属し取材を行っています。
この各記者クラブは、当該する官公庁・自治体・団体の情報を記者が取材するだけでなく、その監督下にある企業の情報を発表する場にもなっています。広報業務に携わる者にとって、所属する企業・団体と言った情報を発信する側と、その情報を受け報道するメディアが一堂に会するこの記者クラブという仕組みは、お互いにとって重要な場であり、長年の間培われた約束やルールを知った上で、理解し付き合っていく必要があります。
2:幹事社が記者発表の窓口
記者クラブは、参加するメディア各社が持ち回り当番制で幹事社(主に2か月交代)を決め、クラブの代表として企業や団体の記者発表などの申し込みを受け付けます。
企業・団体が記者クラブに発表事項を持ち込む場合、まず幹事社の記者に相談し、その判断を仰ぎます(その時の幹事社はどこかは、クラブに連絡すれば教えてもらえます)。幹事社の記者は発表事項の内容によって、記者クラブとして正式に受理するか否かを決め、受理する場合には発表日時も定めます。発表日時は持ち込む側の都合も十分考慮されますが、記者クラブ主導が原則です。
3:48時間ルール
記者クラブへの記者発表の申し込みは、通常48時間前までに(土・休日を除く)行う約束になっています。発表日時が決まると、記者クラブ内の黒板に明記され、当該記者クラブに所属する記者は、発表前に抜け駆け取材をしてはいけないというのが、各記者クラブの“不文律”になっています。ただし、企業のトップ人事や合併・提携に関しては、各社のスクープ競争のため、黒板協定が破られることがまれにあります。
重大な発表事項がある場合(資料配付以外)は、その月の幹事社を確認し、できるだけ早い時期に幹事社の記者に申し込みをし、発表するのに値するかを卒直に相談した方がよいでしょう。ただし、緊急の場合に限り、直前でも受け入れられる場合があります。
4:インターネット
この十数年で通信環境の変化から、ニュースリリースは記者クラブ・新聞・雑誌各社への手持ち配信、郵送配信からファクシミリへと変化し、現在では電子メールでの配信も一般的になってきました。一部新聞社では現在でも企業に対する窓口の一本化から、ファクシミリでの配信を求められる場合もありますが、コストやスピードに大きなメリットがある電子メールでの配信はこれからの主流になるものと考えられます。
またインターネットというインフラが整備され、仕事にも日常生活においてもネット網を活用していく環境が整ってきた現在、今までのように企業からの情報を既存メディアに依存せず、自社ウェブサイトを使っての企業と社会とのコミュニケーションを取ることがが可能になってきました。またこのようなPR活動をアウトソーシングとして代行してくれる企業も増えており、スピードや利便性の面から考えるとインターネットを利用したPR活動が、今後中心になっていくと考えられます。
5:記者クラブのこれから
この数年記者クラブに関する論議が起きており、与えられる情報ばかりだと、ジャーナリストとして実際に世の中で起きていることを察知する感覚が鈍る。従来のカテゴリーチャネルから外れた企業が出てきた事により、発表に相応しい記者クラブが見あたらない。大手マスコミの情報独占に対する縦割り社会への懸念。などの理由から、記者クラブ廃止論も出ており、企業からのニュースリリースも電子メールや自社ホームページ、PR会社を経由する形で公表されることも多くなってきました。
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広報マニュアル:knowledge(08
- 2008/08/27 Wed
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3:企業市民として社会の一員であるために
1.社員一人ひとりが広報マン
日頃、我が社のサービスをご利用いただいている社会の人々は、我が社で発行するPR情報や広告ばかりではなく、社員一人ひとりの態度、言葉遣いなどからも企業イメージを判断しています。全社員が企業市民としての会社の方針を良く理解し、社会の人々に対し礼儀正しく謙虚であり、広報活動の原点である企業と社会の「コミュニケーション」の重要性をよく認識し、お客様の立場に立った視点で、サービスや仕事を進めていくことが何よりも必要です。
広報の業務として企業PRで「話す」と同時に、お客様のご意見・ご要望を「聞き」、当該部署へフィードバックしていますが、こうしたご意見・ご要望をきちんと受け止め、改善する姿勢をお客様に伝えていかなければ、ご意見・ご要望を寄せて頂いた方に「対応の悪い企業」として烙印を押され、真の「コミュニケーション」が実行できないばかりか、企業価値を損ねる事になります。
対話から得られた結果を生かすためには、社員一人ひとりが「コミュニケーション」確立のための認識を持つことが必要です。
2.広報活動とCSはクルマの両輪
CS(=Customer Satisfaction)とは「顧客満足」のことで、広報(PR)活動とはクルマの両輪のように、どちらが欠けても上手く前に進む事が出来ません。CSの向上とは、企業のサービスを利用しているお客様のニーズを的確に把握し、満たすことです。
ここで注意しなければならないのは、お客様のニーズを満たすために提供されるサービスは、けしてマーケティング調査などで導き出され、提供するサービスではなく、お客様自身が判断し、納得のいくサービスのことです。このサービスの内容には、施設の改善といったハード面ばかりではなく、われわれ社員の接客態度や言葉遣い、同業他社のサービス向上に伴う要望など、社会的要求も含まれます。
広報活動とCSの向上は別の概念ですが、広報活動が「社会との対話」を経営に生かす活動であるのに対し、CSの向上は「お客様の意見」を営業に生かす活動です。広報(PR)活動を充実・徹底させればおのずとCSの向上も図れるのです。
社会との「対話」の中から社会のニーズを把握し、満足していただけるよう経営・営業等を変化させていく。これにより社会との「コミュニケーション」を確立できるとともにお客様の満足も獲得できる事で、車の両輪と言われる所以です。これを繰り返す事でPDCAサイクルを確立し、永続的に成長を続ける企業になれると考えます。
この「Sec.1広報という仕事」の最期のまとめとして、けして忘れてはならないことは、対話の中でただ話を聞くだけではなく、それを生かすこと。すなわち、企業の倫理と社会の倫理と擦り合わせ、お互いを近づける努力がなければ、本当の広報活動の充実・CSの向上、強いて言えば企業の発展は図れないということです。
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