RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

デザインの評価が低くて悩んでいます

Q:デザインの評価が低くて悩んでいます


私は現在パートで、商品の企画制作を行う小さな会社でデザイナーをしています。事務所にいるデザイナーは私一人で、普段は営業の方たちと机を並べてデザイン以外の事務作業や雑務等もしています。
会社はデザイン専用の区画があるわけではなく集中できる環境は整っていません。社内のミーティングも多くてデザインに十分な時間を費やすことも難しく、また周囲のデザインへの理解も低いので、仕事がほとんど思うように進まなくて悩んでいます。
デザイナーとして採用される前もDTPオペレーターとしての経験しかなく、この会社でどのようにデザインという仕事を行い、どうデザインと向き合っていけば良いのか、全く糸口がつかめない状態です。
またデザインの評価も数字で求められており、経営陣や周囲へどう理解を求めてよいのか、そのことも含め、環境や仕事の方法などどう改善すべきか、パートとしてどのようなことができるか、ご相談させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

A:デザインはユーザーをよく知ること


そもそもデザインって何でしょうか、広告やパンフレットを作るのは、見てくれる人と企業とのコミュニケーションの接点の一つです。

商品のデザインでしたら、商品の持つ機能や、ターゲットユーザーの求めるニーズを表現する物でしょう。

良くデザイナーは想像力が豊かで、いろいろな発想が出来る引き出しがある、などと言われますが、この言葉は半分は間違いです。

想像力とは、企画を一から創造すると言うことではありません。

デザインする人がどんな生活をして来たかは分かりませんが、ターゲットユーザーは世界の大富豪だったり、旦那さんは役所に勤める専業主婦だったりと、様々な人をターゲットとしていると思いますが、どんなことを表現すればそれを見るターゲットユーザーが興味を持ってもらえるのか。

デザインする人が「ターゲットの人たちにはこんな物が興味を持ってもらえるだろうと」、ターゲットとするユーザーの生活をどれだけリアルに想像できるのか。

写真を大きくした方が、文字の色をこちらの色にした方が、どちらが良いのかは、多くの良いと感じるデザインを見ていくしかありません。

しかし、物をデザインするというのは手段であって目的ではありません。

目的は“沢山売れるように”するためのデザインであり、“沢山の人に共感してもう”為のデザインです。

デザインのためのデザインでは、社内でもなかなか評価には繋がらないのではないのでしょうか。

ターゲットユーザーの生活者特性を上手くつかみ、表現することで社内でも共感され、評価に繋がると思います。

理想論に聞こえるかもしれませんが、デザインする本質は雇用形態に関わりはないと考えます。







このQ & Aは、All AboutPfoFileに届いた質問に対し、RISE Production佐藤が答えた物を転記しています。オリジナルページはこちら


ロゴタイプの制作について

Q:ロゴタイプの制作について


ネットで参加できるコンペでロゴ制作をしているのですが、色々と解らないことが出てきたので質問させていただきます。
おおもとのロゴタイプは一から自分で作ったり、購入したフォントを加工したりして作りましたが、サブ的な役割でロゴタイプの下とかにつける小さい文字も自分で作るか加工するかした方が良いのでしょうか?(早い•安い•簡単とか英字で会社名をロゴタイプの下あたりに入れる用なもの。)
商標登録をする場合はフォントはすべて自分で作った方が良いのでしょうか?
また、英語のフォントは特に加工しなくても使用できるのでしょうか?
よろしくお願いします。

A:スローガンを入れるか入れないかは使われ方によります


syomiさん初めまして、RISE Productionの佐藤と申します。

ロゴ制作をされているとのことですが、こちらはコンペの作品を制作されているのでしょうか。

基本的なロゴデザインのコンペだと、スローガンが入ることでデザインがストレートに伝わらなくなる可能性がありますが、アメコミの吹き出しのように複数の文字面を見せることで、勢いのあるデザインにすることもありますので、制作するロゴが商品コンセプトを咀嚼した答えとして導き出された物でしたら、有っても良いと思います。

ロゴに限らず、コンペなどではバリエーションという形で、デザインした物をさまざまな用途に使ったと仮定し、こんな形にも出来ますと、プレゼンすることもあります。

フォントに関しての著作権ですが、フォント(書体)デザイン自体には著作権はありませんが、それを提供するプログラムに著作権があります。

フォントプログラムの著作権を元にモリサワが訴えて勝訴した判例

この判例に従っても、フォントの会社と契約を交わし、使用許諾を得た物に関しては、データーを使った出力物になりますので、問題なく使えるようです。

英文書体・和文書体でも、正規に購入した(最初からバンドルされている)書体であれば、著作権は問題がないようですが、使用許諾の契約で商標などに使用する場合は除外しているケースもありますので、契約上フォントベンダーに確認が必要になります。

一番良いのは書体データーを使って、何らかの形に加工するのがベストですね。

補足


フォントの著作権に関し、本年1月7日にもご質問がありました。

会社名をデザイン その際の著作権について

上記1月の質問をいただいた時は、先の法務省の判例がある事を知りませんでしたので、契約書の一文を転記しましたが、日本の法律上、書体には著作権が認められず、プログラムへの著作権で保護されていると確認出来ました。

実際にロゴなどに直接加工しないままの書体を使ってデザインしても、大企業が大々的に使用しない限り、フォントベンダーが契約を基にクレームを入れることはないでしょうが、依頼した企業側としては「そこまで気を遣ってキチンと作っていただけた」と喜ばれるのではないでしょうか。

クライアントに気に入っていただける、良いロゴタイプを作ってください。

佐藤 日出夫|2009/03/31 19:52







このQ & Aは、All AboutPfoFileに届いた質問に対し、RISE Production佐藤が答えた物を転記しています。オリジナルページはこちら


経費の範囲

Q:経費の範囲


コーディネーターの者の経費申請の範囲についての質問ですが?
情報収集の為の経費として書籍代が認められる事は存じ上げておりますが・・・
個人所持のみでいつも 購入書籍を見た事がありません 個人のみの自宅でのみ書籍を利用してるのが日常です。
この場合も問題なく経費範囲なのでしょうか??

A:職業からすると経費だと思います


まちまちまちこさん、初めまして、RISE Productionの佐藤と申します。
私も同じように小さな会社で仕事をしておりますので、よく同じようなことを感じておりました。

民主主義国家として、憲法として経済的自由を保障していますので、企業として個人事業主として、さまざまな努力をもって価値を創造し、経済活動を行い利益を得、社会に対して納税という形で還元するのが国民の義務と考えると、価値を創造するための投資を費用として、会計処理するのは当然と考えています。

ただ弊社としては個人事業主に近くても、法人化していますので、一応会社で使う必要な物と、個人が楽しむ物とはハッキリ区別しています。

その線引きは比較的曖昧な部分があることも確かです、感覚として業務上の情報収集が50%、個人で楽しむのが50%位だったら経費処理されても構わないのではないでしょうか。

職種によって、ここからは経費扱いを認められる、これはダメと言ったような線引きは有りませんので、決算期に会計士の先生や、確定申告の時に税務署員の方に業務内容から、必要な物と合理的に認められる物かどうか、確認されておくのも一つの手段だと思います。

経験則から税務署員の方は、なるべく納税額を増やすようなバイアス思考されますので、やぶ蛇になる可能性もありますが、確定申告で固定率でしか経費額を認めてもらえないような時には、帳簿を付けた上で交渉されるのも良いかもしれません。

コーディネータの仕事として、クライアントから求められる業務に関するインセンティブは、個人の頭にある情報の引き出しが大きく左右されると、説明出来るリソースも必要かもしれませんが。

補足


記入出来る文字数が限られていますので、追記させていただきます。

もう少し具体的に仕事内容と、購入した書籍内容を表記し、同じProFileのビジネスジャンルに有る「会計・税務」で相談されると、会計士の先生からもう少し具体的なアドバイスが頂けるかもしれません。

佐藤 日出夫|2009/04/17 15:26






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会社のネーミングを変えたいのですが

Q:会社のネーミングを変えたいのですが


独立して5年目となりスタッフも増え、事業を拡大するにあたって、代表者の名前を冠している現在の会社名を変更したいと考えています。英語の名前からハワイ語で響きのよい名前など、スタッフからはいろいろな意見があがっていますが、どのように考え、決定すればよいのか迷っております。
会社名のつくり方(想像の膨らませ方)、決め方(判断の基準)を教えてください。

A:会社名はブランドを意識して


初めまして、RISE Productionの佐藤と申します。
商取引としての会社名は、相手からは一つのブランドとしての認識がされると思います。

個人のブランドとしての会社名から、組織としての会社名へと変更されるとのことですが、まず社会から見た「どんな会社にしたいのか」「ポジションはどの位置に置きたいのか」を策定する必要があります。

先進的なイメージで行くのか、普遍的イメージで行くのか、落ち着いた、確実なイメージで行くのか、それによって想像の膨らませる方向が異なります。

会社のTopが方向性を決め、または現在有る企業名を出し「あんな会社にしたいよね」と共通認識を得られるリソースが出来たら、スタッフ全員で案を出し合うのも良いと思います。

決め方としては、見る人にとってその名前を記憶して貰いやすい、言葉のフックとして促音や濁音が混ざった言葉をお勧めします。

コンセプト通りの会社名が出てきたとしても、言葉としてフックが足りないと感じた時など、外国語など別の言語で捜してみるのも良いかもしれません。

ネーミングのための8か国語辞典

三省堂から「ネーミングのための8か国語辞典」という本が出版されていますので、このような辞典を利用するのも一つの手段でもあります。






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メッセージを伝えるために。

企業や団体から社会へのメッセージをコミュニケーションとして考えると、広告やマスメディアを通してのニュース記事などは従来からのメディアと言えるでしょう。

この数年間で大きく伸びてきたのは、PCや携帯を利用したインターネットのSNSやブログと言ったパーソナルメディア。

このメッセージを言い換えれば「情報流通」となるでしょうか、昨年3月に総務省から平成18年度情報流通センサス報告書が公開されており、その情報量の推移などの調査結果が公表されています。

メディア別に情報量の定義などは、直接報告書を読んでいただくとして、計量対象の定義をあげておきます。


原発信情報量:各メディアを通じて流通した情報量のうち、当該メディアとしての複製や繰り返しを除いたオリジナルな部分の情報の総量。

発信情報量:各メディアの情報発信者が、1年間に送り出した情報の総量。複製を行って発信した場合及び同一の情報を繰り返し発信した場合も含む。

選択可能情報量:各メディアの情報受信点において、1年間に情報消費者が選択可能な形で提供された情報の総量。

消費可能情報量:各メディアの情報受信点において、1年間に情報消費者が選択可能な形で提供されたもののうち、メディアとして消費が可能な情報の総量。

消費情報量:各メディアを通じて、1年間に情報の消費者が実際に受け取り、消費した情報の総量。



推移の表

推移の表を見ると「選択可能情報量」が群を抜いて伸びていて、基準年の平成8年度の約530倍の量になっています。

その他の情報量を上げてみると、「発信情報量」は基準年の平成8年度の97倍。

「選択可能情報量」も各メディアの平均では約530倍でも、インターネットを含む電気通信系に限って見ると、543倍になります。

「消費可能情報量」は基準年の平成8年度の33倍。

「消費情報量」は基準年の平成8年度の65倍。

数年前に比べ、情報量は確かに増えたとの実感はありました、しかしこのような調査で具体的な数字をあげられると驚くばかりです。

実際に消費される「消費情報量」は、流通している「選択可能情報量」と比較するとたった12%しか消費されていません。

この事はある一面、情報の垂れ流し状態を示すものでしょうし、またある一面では必要な情報だけ消費し、後の情報はスルーされることを意味しています。

もちろん多くはプライベートメディアであるブログや、SNSなどの記事などでしょうが、マスメディアで流される広告でも、ユーザーに身近に感じさせるインセンティブがなければ、必要のないものと判断され、スルーされてしまいます。

企業の中でも社会とのコミュニケーションを担当する部署は、これからはもっと重要なポジションになっていくでしょう、長い時間カスタマーやコンシュマーとの付き合いの中から、ユーザーターゲット像を一番的確にイメージ出来るからです。

5年後・10年後の企業の未来を考えるためには、自社のブランドを明確にし、企業理念の基にWebを使ったカスタマーやコンシュマーとのコミュニケーションを重ねていくことが、企業にとってさらに重要になり、社会に対してメッセージを伝えること、また社会・コンシュマーの真の要望を聞くペルソナへとなります。




想像力たりてる?

“想像力”ってクリエイティブなモノを作る時にはもちろん必要ですが、人が社会で生活していく上で必要不可欠な力の一つでもあります。

たとえ家族同士であっても人を思いやる時、この行動で喜んでくれるか悲しまれるのか、相手のことを考え想像することで自分の行動が成り立ちます。

もちろん家庭内だけではなく、恋愛の時に好きな子と接する時も印象良く感じてもらえるよう、想像力はフルに回転するでしょう。

人が人たる所以は“想像力”が有るか無いかではないでしょうか、豚や牛などの家畜動物に想像力があったら、絶対に生まれ変わりたくありません。

・・・毎食毎食ご飯をくれるこの優しい人間は、自分を食べるために優しくしているなんて、想像したくありませんから。


社会に出て仕事をし始めてみると、会社で働く人たちにも一人ひとり個性も違い、仕事も出来る人と出来ない人に別れているように感じますが、その差は必要な所で必要な想像力を働かせ、スムーズに仕事を運ぶ人と、余計な所に想像力を働かせすぎ、仕事の足を引っ張る人ではないでしょうか。

例えば営業職だったらお客様やクライアントから、印象がよく見られるために想像力を働かせるのではなく、頂いた仕事が評価され、満足していただくために想像力を働かせるのが、本来の営業という仕事だと考えます。

最近お付き合いしている代理店さんなど、担当の営業さんが若い方に変わったりしますが、仕事量が減ってきているせいでしょうか、余り経験がない人がいきなりクライアントを任されてアカウントしたりしていますが、ハッキリ言って仕事のジャマです。

我々の制作料金の中には、新人営業のOJTによる教育の料金は含まれては居ません。

クライアントは“このようなモノを作りたい”と目的を持っています、その表現方法のトーン&マナーがセーフなのかアウトなのか、考えている背景には何があるのか、それを制作側に正確に伝えてくれない限り、お互いに満足いく結果には至りませんし、恐ろしく時間も掛かり無駄な金額も掛かります。

クライアントと制作の間に入りアカウントしていくと言うことは、仕上がりのクォリティーと納期・コストなどを仕切っていくことです。

仕事をしていく上でのプロとして、今何が必要で何をしなければいけないのか、想像力をフルに働かせ後手後手に回るのではなく、仕事を仕切っていくのが評価される仕事です。

以前は先輩や上司が厳しく教えたのでしょうが、今は流行らないのか余裕が無くなっているのでしょうかね。




制作する上で一番大切なもの

と聞かれたら、まず頭に浮かぶのはクライアントとの信頼関係。
PCにソフトさえインストールしてあれば、トレーニングを積んでいない人でも、何かしらデザインしたモノは作ることが出来る、今という時代はそんなやる気さえあれば出来てしまう、そんな時代です。

誰もが出来てしまうからこそ、守らなければいけないのは、そのプロジェクトのディレクターは誰なのか。

デザイナーから上がってきたものを確認し、進める時に多くの人が確認し決済するのは、余り賢い方法とは言えません。

なぜならば「船頭多くして、船、山に登る」です。

企業や製品のブランディングを良く理解した者が、一人で決済した方がハッキリとしたメッセージを内包したものを作り上げることが出来ます。

良く見聞きするのが、担当者とその上司、その部署の責任者が代わり番に見、主観でもってここの色はもっと明るく、この写真はもっと大きく、・・・などなど、広告の機能として必要と考えられる事を、コンセプトとして上げ、それに向かって作り上げても、多くの人が機能を理解しないまま意見を出し合うことで、紙面からメッセージ性は消え、ただの普遍的な広告になってしまいます。

良いものを作り上げるために必要なものは、クリエイターにオリエンする際に、何を目的としたツールを作るのかと言った明確な指針、企業理念から導き出される、表現するにあたってのトーン&マナー、クライアント側にはこの二つが必要条件でしょう。

反対にクリエイティブ側に必要とされるのは、センスと向上心、この二つではないでしょうか。

クライアントとクリエイティブにこの要素があって、初めてお互いが認めあえる作品が出来、満足出来る効果があってお互いの信頼関係が出来上がります。

だからと言っては何ですが、私が初めてさせていただくお仕事は、いきなりpdfファイルを添付しては送りません、必ずお会いした上でキチンと意図を説明し、まずは信頼関係を築く事からはじめていきます。



 

選ばれるために

商品だってお店だって映画俳優だって、コンテンツにしても人に選ばれて初めて商売が成り立ちます。

恋愛なんかでも気になる選んだ人をよく知りたい、理解したいと言う所からスタートしますよね。

商品として選ばれる理由は、値段?デザイン?素材?メーカー?ブランド? さまざまな条件で商品を選ばれていると思います。中でもブランドを理由に選ばれる方は「そのブランドの商品でないとダメ」と言った非常に強い志向性を持っています。

なぜブランドにはこのように「とことん気に入ってもらえる」強い志向性が出来るのでしょうか。

商品であるブランドと同じように、美術や音楽と言った芸術家個人にも強く惹かれる「個人ブランド」という面があります、作家の村上春樹さんはデビュー当時、千駄ヶ谷でジャズ喫茶(夜はバー)『ピーター・キャット』というお店をやられていましたが『走ることについて語るときに僕の語ること』の本の中で、お店の経営と作家としての活動の基本的なポリシーは変わらないと書いています。



「『みんなにいい顔はできない』、平たく言えばそういうことになる。
店を経営しているときもだいたい同じような方針でやっていた。店にはたくさんの客がやってくる。その十人に一人が『なかなか良い店だな。気に入った。また来よう』と思ってくれればそれでいい。十人のうち一人がリピーターになってくれれば、経営は成り立っていく。逆に言えば、十人のうち九人に気に入ってもらえなくても、べつにかまわないわけだ。そう考えると気が楽になる。しかしその『一人』には確実に、とことん気に入ってもらう必要がある。そしてそのためには経営者は、明確な姿勢と哲学のようなものを旗じるしとして掲げ、それを辛抱強く、風雨に耐えて維持していかなくてはならない。それが店の経営から身をもって学んだことだった。」



「とことん気に入ってもらえる」お店と作家という、社会の中ではけして普遍的ではない特徴を持ったお店と職業のブランディングポリシーその物と感じます。

つまり誰もが理解出来る当たり障りのない、読み終わった後、何が書いてあったかすぐに忘れ去られてしまう文章よりも、クセがあるかもしれないが自分の信念やポリシーを表明し、読み終わった後、心に何かしら残る文章が「とことん気に入ってもらえる」為に必要な事なのでしょう。

ただそのために気に入ってもらえない九人からは、「独善的だ」とか「利己的だ」とか文句が出たり、風当たりも強い時もあるのでしょうが、それに耐え維持していかなければブランドにはならない、プライドと痩せ我慢の先にあるものなのかもしれません。




広報業務のこれから

先日のエントリー「選ばれるために」にも書きましたが、「とことん気に入ってもらえる」言い換えればあなたの会社、または製品をこよなく愛してくれている○○オタクは居ませんか。

こんな油で汚れた工場しかないし、こんないわゆる3Kの仕事に興味持つ人なんて・・・。

と中で仕事されている方は普通に考えてしまいますが、世の中は非常に広い。

例えば京浜工業地帯の子安あたりに、コンビナートなどが住宅地と大きな道路とJRの線路に挟まれ、住環境と共存しているゾーンがあります。

高度経済成長の頃は、公害の汚染地域で正直あまり言いイメージはなかったのでしょうが、現在は汚染部質の除去も思う通りにすすみ、大きな工場やコンビナート付近でも空気が汚れていると感じる事も少なくなりました。

するとどうでしょうか、工場フェチ、コンビナートフェチなるコアなファンが出てきて、BlogやSNSなどで盛んに情報交換されていたりします。

東京都大田区などにある中小の工場も、高度な機械のセンシング技術ではなく、働く職人の技術力の高さから製造過程が情報番組で紹介される事もあり、関心が高いと言えるでしょう。

また、公共交通機関の乗り物である電車や航空機なども、定常運行するために監督官庁である国土交通省で定められた非常に厳しい整備を科せられており、事業でかかる費用の中でも大きな原価率を占めています。

電車・航空機ともそれぞれにコアなファンが居ますが、利用者が多いのも共通する所でしょうか。

現在でも利用者に向け、どれだけ平常運行出来るよう、車両や航空機の整備をしているかのPRはされていると思います。

しかし、先日のエントリーにも書きました「メッセージを伝えるために。」にあるように、ステークホルダー達は自分の興味有る物しか見ようとしません、PR誌や年次報告書などの数字だけではなかなか伝わらなくなってきています。

やはり企業から押しつけられる情報は敬遠される傾向があるのではないのでしょうか、しかしオタクと言われるコアなファンが存在する業種なら、芸能界にいるその業種オタクで有名なタレントを使い、オタク目線で興味本位の根掘り葉掘り深掘りで工場の業務や仕組みなどを紹介出来れば、大きな効果があると思われます。

企業のファンを多く掴むためには、一方通行の情報をただ流すばかりではなく、興味を持ってもらえるような工夫や仕組みがより必要になってきます。

特にコモディティー化が進み、コンテンツを制作するにもアイデア一つで手軽に誰にでも作れるようになってきましたので、目的によるメディアの差と言った足枷も小さくなりました。

企業もオタクと言うコアなファンと一緒に企業価値を高められるよう、チャレンジしてみるのも良いのではないでしょうか。




恋してる?

私など恋愛なんて言葉を聞くと、遠い昔のように感じますが、今回のエントリーは男女の事ばかりではなく、広告やイベントなどの企画を考える上で、一番大切であろう「誰に何をどう伝えるか」をプランする基本は、恋愛とよく似たポイントだろうと感じた事がスタートです。

試しに置き換えて考えてみると非常に分かりやすかったので、文章として整理してみました。


彼氏や彼女を手に入れるための手練手管、と言ってしまうとあまりスマートではありませんが、人の行動から見ての“恋をする”とはどんな状態なのでしょうか。

生物学的見地からすると方向が変わってしまいますので置いて置いて、行動学的見地からと限定すると「お互いを良く知りたい、理解したい」が“恋”だと言われます。

相手の事を良く理解し、共に生きていけるように可能な部分は自己を変えて行き、さらに相手を深く理解する、パートナーの長所・短所・社会的な位置づけなど、相手を知れば知るほどターゲットユーザー毎にさまざまな仕掛けも作る事が可能です。

企画を考えるプランナーの仕事の第一歩は、クライアントに、売るべき商品に対して恋をする事から始まります。と言った方が「マーケティングから導き出されたロジックで、プランを提案しました」と説明するよりもなんだか堅苦しさが消える気がします。

通常代理店やクライアントからのオリエンの時には、プレスリリースに毛の生えた程度のオリエンシートに、商品の写真を添付される程度で、その背景にある企業理念や、エンジニアが作り上げる上で拘ったものなどは、伝わってこない場合がほとんどではないでしょうか。

恋愛などで付き合いも長く深くなっていくと、相手はどこで生まれ、どんな学校に通い、どんな本や音楽、俳優やミュージシャンが好きなのか、本人を形成する外堀がドンドン埋まって行き、目に見える姿を始め、考え方などから本人という姿が形になっていきます。

相手をよく知る事で初めて正確な姿をイメージ出来、アピールするための戦略が組めるのではないでしょうか。

良く理解しないでプランニングに走ると、分からない部分は“そうあって欲しい”と自分の主観で補足する事になり、意図するプランからずれてしまう可能性もあります。

正確な情報を沢山集め、相手を深く理解し、自分の友人や親に紹介した時に気に入ってもらえる紹介の方法が、広告の、広報のプランニングだと感じます。




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