RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

All About ProFileを辞めました。

昨年の6月から参加し、130のコラムと28の Q & A に答えて参りましたが、5月一杯で契約を更新せず退会しました。一番大きな理由としては「専門家」として登録している方達の質の低下を感じた事。

Web環境が整った今、サイトを通じて B to B のマッチングを行う会社がいくつかあります、このような形で仕事の依頼を行ったり受けたりをするには、写真やイラストなど成果物を購入するなどでは効率よく仕事をこなす事が出来るでしょうが、私が仕事としているデザインに関し、クライアントをよく知り信頼出来る関係でないと良いものは出来ないと感じております。

多くのマッチングサイトは、クォリティーよりも納期や金額優先と考えられる節が見え、参加する気も全くありませんでしたが、All Aboutさんはコラムや Q & A と言った内容を重視し、参加する者のブランディングとしては効果があると参加しました。

登録し参加する事にシステム利用料と言った費用も掛かります、現在登録している専門家の方達は908名おり、登録しているジャンルも複数登録されている方も多いと思います。

まぁ、言い換えてみればテナントを沢山集めたショッピングモールのようなモノでしょうか。

私としてはそこに行けばいろいろな業種の、沢山のお店を見る事が出来るよりも、個性的で特徴がある質の高い専門家の集合が、All Aboutさんの差別化というブランディングで、量より質と考えていました。

でも最近私の所属していた「ビジネスジャンル」の専門家の方達で、仕事に直接関係ない話題のコラムや、ランチに何を食べたなど、どちらかと言うと下らないコラムを書く方も現れ、All Aboutさん自体がトイレのスリッパになったダンヒル、またはサンローラン的なブランドになっちゃったのか?。

ブランディングは求められれば何でも行う事ではなく、自分の立ち位置や考え方を表明し、それにそぐわない物は排除しなければ達成出来ません。

サーバー上のスペースを賃貸するだけで、年間2億円以上(予想)の売上があると、あまり細かい事は気にせず、沢山の店子を集めるというのも、企業としてはあながち間違いではないのでしょうが、企業のブランディングという視点からすると、やってはいけない事と感じます。




変わらなければいけない事、変わって欲しくない事。

とうとうアメリカのGMが米連邦破産法11条を申請し、倒産してしまいました。

第二次世界大戦後からの急激な経済成長で、従業員の雇用に関する事や、株主に対する大きな見返りなど、いろいろと風呂敷を大きく広げすぎた結果、いろいろなしがらみで身動きが取れなくなり、作り出す製品がコンシュマーの求める物と乖離してしまった事が原因なのではと、今さらながらに感じられます。

しがらみがあまりにも多くて変える事が出来ない時は、直接関わりの無い外部から指導者を求めるのが一番合理的なのでしょうか、NISSANも業績がどん底だった頃は改革出来ずに、ルノーと合併後ゴーン社長という外部の人物がきて、ドラスティックに社内を変革したから現在の会社が存続出来たのでしょう。

やはり社会の流れを見て、どの様な物が求められているのかを判断する目と耳は最低限必要なのでしょう、でも新聞や雑誌、テレビと言ったメディアなんかにはこんな物が欲しいなんて一言も書いてありません、有ったとしても既に商品化され、社会的現象になる頃でしょう。

必要なのは社会が変化してきてから慌てて「どの様な物が求められているか」を捜すのではなく、常日頃社会とのコミュニケーションから変化をつかみ取る仕組みを社内に整えておくべきでしょう。

コミュニケーションですから一方通行ではなく、企業と社会の双方向での事を指します、カスタマーやコンシュマーからは社会の動向や嗜好などを聞き、企業側からはブランドのポジショニングや商品情報などを伝える事で、信頼関係を深めてゆけると考えられます。

自動車産業で言ってしまうと、最近は日本車もメーカーによりハッキリとしたポジションを示すようになってきましたが、アメリカのビッグ3と言われるメーカーは、これと言ったブランディングが出来ていなかった事も、不況という荒波に飲み込まれてしまった一つの要因な気がしてなりません。



そんなアメリカの自動車産業に比べ、欧州の自動車産業はまだブランドと言った戦略が浸透していると言えるのではないでしょうか。

FIATのマルキオンネCEOが言うように「将来的に自動車産業は、年間500万台以上生産するメーカー数社が生存するだけになるだろう」との言葉のように、生き延びるためには生産効率の良いボリュームが必要なのかもしれませんが、マイノリティーと呼ばれる個性豊かなブランドも、たとえ電気自動車ばかりになったとしても是非残してもらいたい物です。

同じように小さなマーケットであっても強い求心力を持った趣味の世界、例えば楽器やスケールモデルなどは、人生の中で一時期その趣味から離れていても、趣味としては一生続けられる物ですから、生活が落ち着いた時点で戻ってくる可能性が大きいので、あまり頻繁にスタイルを変化させない方が、戻ってきたユーザーには「あの頃と同じ」という意識付けのためにも良いのかもしれません。




鳥井信治郎の「やってみなはれ」精神

サントリーの創業者、鳥井信治郎の家訓として残っている言葉ですが、不況と言われ、社会環境が大きく、しかもドラスティックに変わっている現在では、企業がこの荒波の時代を渡りきるために、一番適切な言葉かもしれません。

高度成長時代に皆横並びに成長して行けた時には、他人の通った轍をトレースするように歩いて行けば、大きく失敗する事もなくGDPの成長率くらいで企業も成長出来たのでしょう。

しかし業種によっては利益を得るためのシステムが、根幹から変わってしまったのではないかと思われるほど、社会環境が大きく変化しています。そんな時に誰かの作った轍をトレースしてみた所で、仲良くみんなが沈没する船に乗り合わせているような物です。

誰も歩いた事のない、答えも正しいのか間違っているのかハッキリとしない、でもこの道を歩いていても沈むだけだとしたら、可能性を求めて新しい道を捜さなければ行けません。

仕事は出来ない事の理由を捜す事ではなく、社会の道理を外すことなく細心の注意を払いながら新しい道を捜す事ではないでしょうか。

何も今までの事を全て否定し、新しいジャンルへの方向転換が求められているのではないと思います。

技術革新や商品開発だけではなく、社内のマネージメントにおいても新しい仕組みで作業効率が上がるのでしたら、チャレンジして行き、一つ一つは小さな効果かもしれませんが、結果としてそれが積み重なる事で大きな効果が上がるのではないでしょうか。



Webと言う環境が出来、社会と企業のダイレクトなコミュニケーションが容易になったと言っても、B to C のビジネスとして以前からマスメディアへ広告の出稿や、ニュースリリースを行う広報部などの部署を持つ企業は、その重要性をよく知っているからか早いうちからの対応も出来ていますが、大きな企業でも B to B で活動してきた企業では、その重要性を理解しつつも行動を起こしていない企業も沢山見受けられます。

広報活動、特にWebと言うメディアを使っての活動は、広告や販促ツールのようにすぐに結果の出る物とは違い、メディアリテラシーを知りコミュニケーションを繰り返す事でお互いの信頼感を高め、持続的な成長を目指す物です。

「やってみなはれ」精神から始めて見るのはいかがですか。




Designerプロとアマチュアの境界

PCの普及に伴うソフトウェアが普遍性を併せ持つようになってから、コモディティ化が速いスピードで進んできています。デザインのトレーニングを受けなくても、レイアウトする事が好きで、PCとソフトを使いこなすスキルを持てば、誰でもデザイナーになる事が出来る時代でもあります。

数年前まではプロとアマの境界はハッキリと、しかもかなり高い位置にあり、例えばグラフィックデザインでしたら印刷の原理から製版の仕方、文字の組み方から版下の作り方まで、そのスキルの一つが欠けるだけで、仕上がりに大きな差が出てしまいました。一つの物を作り上げるのに必要なスキルは基本的には現在も変わりはありませんが、OfficeなどのビジネスソフトではなくIllustratorなどのDTPソフトを使えば、その差も最小限に留める事が出来ます。

現在はWeb上にさまざまなコミュニティーが存在し、デザイナーが集まるコミュニティーには「デザイン募集」「ロゴマーク募集」などの書き込みも多く見受けられ、仕事の流れも簡単な物だったら今までのような代理店や制作会社を通した流れから、クライアントとデザイナーがダイレクトに繋がって簡単に依頼出来、しかも今までと比べると非常に安い金額で済む業務と、「ブランディング」や「マーケティング」などのコンセプトワークまでを含めた、きめ細やかな作業を必要とする業務へと、2極化へ変化してきたように感じます。

古くからこの仕事をしてきた私としては、クライアントとクリエイターのコミュニケーションを持たずに制作し、お手軽なポケットマネーみたいな安い金額で作れ、飽きてしまえばまた新しい人に新しい物を頼むと言った、消費されるデザインという物に違和感を感じますし、ブランディングと言った観点から判断すると、クライアントにとってマイナスの部分もあると感じます。

確かに仕事を見る上では、プロとアマチュアの仕事かは判断しにくくなって来ており、時代も手軽に提供出来る環境を必要としていて境界線も非常に曖昧です。

それではプロとアマチュアの境界とは何なんでしょうか、クライアントから制作を依頼され、その対価を頂く事がプロとアマチュアの境界なのでしょうか、それともビジュアルやコピーの大きさや位置について、コンセプトから導き出されたプライオリティーであると説明できることが境界なのでしょうか。

その境界の解釈について100人いれば100通りの考え方があると思いますが、私は「限られた条件の中でも最高の結果を出せるかどうか」ではないかと考えます。整った条件の中で制作するのは誰でも(多分)出来る事です。しかし時間や金額の条件が限られた場合でも、クライアントの求める物をキチンと制作できることがそのプロとアマチュアの境界と考えます。

そのためにクライアントとクリエイターはメールや電話だけではなく、実際に会ってコミュニケーションを取るなど、お互いが信頼出来る関係を構築する事は必要条件だと考えます。




日本の未来は明るいのか暗いのか

私みたいな素人が言うのも何ですが、新聞報道などによる株価日経平均1万円突破というニュースを聞いて、景気は回復傾向にあり日本の経済も再生か? などと報道されても簡単には信用出来ませんね。

まず第一にウチみたいな弱小デザイン事務所で働く身としては、仕事の依頼が増えた、と言うような実感がありません。まぁ営業努力してるのか、と言われてしまえば足りないかもしれない。と答えるしかないのかもしれないが、「今までだったらクライアントの景気が悪いから、制作側に仕事が流れてこない」・・・みたいな景気の良し悪しの流れが見えていたのだが、クライアントも出口を見つけられずにもがいている最中で、新規の仕事などは考えられないからその内ね。
と言う風に感じられる。

ま、そうではない若い人たちも大勢いるだろうが、ある程度年を重ねたデザイナーは冬の時代で廃業する仲間も沢山いたりする。

現実の社会として情報の流通がこれほど変化し、社会もそれに倣うように変化しているのに、社会の変化は遅々として進まないばかりか、元に戻ろうとする勢力まで現れる始末だ。

これからの社会保障に対する個人の負担額の大きさを考えると、これから成人を迎える子供たちに、申し訳ないと頭を下げたくなってしまう。しかも正規雇用は難しくなるばかりで、子供たちに未来を夢見る事は可能なのだろうか、と溜め息の一つも付きたくなる。しかも非正規雇用は賃金も抑えられるので、ますます税収が減り、プライマリーバランスが悪くなりそうな気配。

しかしその反面企業の中にはガツガツと働きもしないのに高い給料を頂いている方達もいる、当然年金は賃金額に合わせてスライドするから、沢山給料を頂いていた方達は、年金の支給額も高い。

少子高齢化社会で働き盛りの若者は少なくなるが、60才で迎える定年後は仕事の雇用先すらないのが現状だ。あまり体も動かなくなってしまう80才頃まで、年金を頼りにただ遊んで暮らしていくのか?。いくら若い頃から培ったスキルやナレッジがあっても、ビルの掃除人や、交通整理くらいしか仕事がないのなら、年金もらって生活するしか選択肢は残されていないのかもしれない。

日本の避けて通る事が出来ない現実を前にしてみると、この先定年は80才までと、40才(根拠はない)以上の昇級停止と、年金の上限額を決めてしまう事と、現在居るノンワーキングリッチの給与の見直しが必要なのではないのだろうか。

もちろん消費税額も上げるのだろうけれど、既得権を持った年寄り達に下克上を突きつけるのが現実的な気がする、政党としては自由民主党はなんだかこの先の改革路線は望めそうにないし、かといって組合を支持母体とする民主党が政権を取っても、仕事しなくても高給を保証してくれる環境を手に入れたのを簡単に手放す組合(特に上層部?)は無いだろうから、変えて行くのは無理なんだろうなぁーと。

変化した社会に合わせるように、システムも変化させようと考える若手政治家?達が、第三の政党かなにかを立ち上げてリーダーになるしかこの国は変わっていかないのかな、将来から現在を振り返り「長い暗黒の○十年」だったと呼ばれるのだろうか。




何を求められているかを考えよう:1

以前このブログのエントリーに書いた「パンドラの箱を開けてしまった、ライフネット生命。」で、生命保険には保健の原価に付加保険料という営業経費が合算された物で、営業のおばちゃんを抱えないライフネット生命が、他の生保に比べ付加保険料が1/5と言う事を公表してしまった、と書きました。

既存生保は他社と比べられた時の差別化を表示し、選ばれるための努力をするのは当然の事として、付加保険料に関しても加入者の利益のため必要だというコンセンサスと、商品のインセンティブの一つという事を商品開発から見直す必要があるかもしれません。

社会環境が大きく変化している事から、価値観も一人ひとり変わってきていると思いますし、年齢によって、家族構成によって必要とする保証も変化しているでしょう。以前まででしたら死亡保障がメインで、特約として入院保障やガン・成人病特約などを附加する物だったと記憶しています。

確かに子どもがまだ小さく、一家の大黒柱が亡くなってしまうと、残された家族は路頭に迷う事から死亡保障も手厚くする必要もあったのでしょうが、今の社会では共働きで奥さんの収入もしっかりと確保出来る家庭も沢山あるでしょうし、子どもも成人し、いざというときも残された家族に迷惑が掛からないだけの葬儀が出来れば充分と考える家庭もあるかもしれません。

保険に加入した年齢で思い描くライフスタイルが、20年後も変わらずに有る事の方が少ないのではないのでしょうか。人生好調な時ばかりではありません、若い頃は給料も高かったけど、社会環境の変化で会社が倒産など、人生山あり谷ありです。

そんな変化するライフスタイルに合わせた形で、生保のカテゴリーから損保のカテゴリーまで、いろいろとモジュラー化した商品を附加していける柔軟な商品を用意出来れば、ライフコンサルタントとしてこまめに営業してくれる生保のおばちゃんはインセンティブの一つとなります。

もちろん現在でも加入している保険を下取りして新しい保険に移行する事は可能ですが、偏見かもしれませんが下取りする保険に比べ、新しい保険の方が格が下がるような気がしてなりません。一生をかけて保証される普遍的な物を保険のベーシックな物と位置づけ、保証を厚くするのか貯蓄を目的とするのか、その時に必要と考えられるオプションを附加していき、手続きも簡単で柔軟な商品をその時々で提供する事が求められているのではと考えます。

Web上で販売する保険には、簡単に安く契約出来るメリットはありますが、ライフスタイルの変化に対応するための提案やコミュニケーション能力は、欠けているのではないでしょうか。そんな間柄に欠けているのはお互いの信頼感です。

保険業界以外でも従来の業務を見直し、ユーザーが何を求めているかを考え、求めている多様性に柔軟に対応し、きめ細やかにユーザーの意向を反映する事で、顧客満足度の向上にも繋がると考えます。そんなきめ細やかな対応にはWebと言うメディアが最適と考えます。




何を求められているかを考えよう:2

昨日のエントリー「何を求められているかを考えよう:1」で、その企業に対して社会が、顧客が何を求めているかを掴み、対応する商品を考えると書きましたが、今までの製造業・流通業の方達は、血のにじむ努力で日々これを繰り返してきたわけです。

努力とはコンシュマーやカスタマーを接点として、社会の変化を感じ取り自身を変化させるといういわゆる「PDCAサイクル」の実行です。PDCAとは、
1.)Plan(計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する。
2.)Do(実施・実行):計画に沿って業務を行う。
3.)Check(点検・評価):業務の実施が計画に沿っているかどうかを確認する。
4.)Act(処置・改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて処置をする。

4.)のActの次に1.)のPlanを続ける事で、継続的な業務改善をしていくと言うのが、生産管理や品質管理などの管理業務を計画どおりスムーズに進めるためのマネジメントサイクルの一つです。

このマネジメントサイクルを、一部業務だけではなく商品企画やマーケティングにも用い、企業の持続的成長を目差し、コンシュマーやカスタマーとのコミュニケーションを取る部署が強化されたりしています。

以前から広報部や広告部などの独立した部署がある企業は、既に昔から行っている事なのです。

しかし表現の場としてのメディアが既存のマスメディアしかなかった頃には、年間予算をきっちりと計上し、多額の金額を使う事でしかコミュニケーションは取れませんでしたが、今は誰でも使えるWebという新しいメディアが定着しました。

Web メディアを利用するのは、マスメディアの媒体購入費を考えると、専任の人員を割く必要はありますが、ほとんどタダみたいな金額です。PRと言う概念は一部の大企業ばかりではなく、お店や病院など規模の大小には関係なく、これからの時代を生き抜いていくために必要な概念なんだと思います。

でも、Webで自分の意見や業界でのニュースを記事として掲載して何になるの、と訝しがる方もいらっしゃるかもしれませんが、広告やチラシなどの販促用ツールと違いますから、結果がすぐに出るわけではありません。強いて言えば灯台のような物でしょうか、インターネットという情報の海を、自分の目的に向かって進む時の一つの指針となりうる存在。

長く続ける事で海を行く男達──もちろんWeb上には女性もいますが──から、信頼され頼られる事で、自分自身のブランディングが確立するという事でしょうか。書く事が何もなくてもプライベートな話題を盛り込んでもイイでしょう、同じ話題が有ればコメントを頂きやすくなったり、お会いした時に話のきっかけにもなりますから、コミュニケーションの第一歩を踏み出す事で、自分の向かう方向も見えてくると思います。




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