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毎日新聞・紺屋の白袴なのか?

 今年の春先頃から、いろいろと取りざたされていた毎日新聞に関する諸問題ですが、昨日のニュースサイトにまとめが出ていましたので、いつもは不祥事を告発する側の、メディアの不祥事に対して一言。

 報道して火の粉が降りかかると大変と、静観しているのか、他の新聞やテレビなどでは報道しないので、何のこっちゃと思われる方も多いでしょうが、日本に5紙だけの全国紙(マスメディア)の1紙である毎日新聞と、メディアとして台頭してきたWebとの戦争みたいなモンです。

 何がどうしてどうなったかは、上記まとめサイトを読んでいただくとして、マスメディアとしての自負と、新参者のメディアに対しての正確な判断を誤った事が、Web上で炎上騒ぎとなり、企業の大きな収益源である、スポンサーの撤退に繋がったのだろうと思われます。





教訓として見習う点は

1)自社サイトの末席にあるニッチな存在でも、自社の看板を掲げている以上目を配り、管理していく責任があると言う事。・・・それがブランドを管理すると言う事。

2)社会の変化をよく知る事、インターネットの掲示板というと、オタクや引き籠もりと言ったネガな部分だけではなく、キチンと世論をまとめる力も備わっている事。・・・なめてかかると、とんでも無い事に。

3)不測の情報が流れる兆しが何度か有ったにも係わらず、火消しに努めなかった。・・・マスメディアとしての奢りなんでしょうかね。

4)報道機関として情報を発信するのだろうが、不祥事を起こした企業に対しての見方と、社内で行われた事の判断評価を同一視しない。・・・社内に対しては甘く見られるので評価はもっと厳しく、または第三者機関で。

5)Web上で不祥事を叩かれると、ツボを押さえた謝罪をしない限り、報道と違いいつまでも沈静化しない。・・・キャンペーン報道のロングテール化。



 今はメディアの頂点と思っていても、明日もその位置にいられるとは限りません。社会の動きを謙虚に受け止め、対処していかなければ企業として生き残ってはいけないでしょう。
 テレビ、新聞や雑誌などの既存マスメディアに対し、Webの世界では情報に対しての対価を得られにくくなっており、どのようなビジネスモデルが成り立つか、試行錯誤が繰り返されています、現在のマスメディアも統合・縮小などの動きが起こってくるかもしれませんね。




広告業界の流れが、少しずつ変化しています。

 8月という月の月末、しかも28日と同じ日に2つのニュースが流れました。一つは日本経済を牽引する大企業トヨタの、販売計画台数の下方修正。もう一つは広告代理店の電通が、業績不振で役員報酬を返上。これに呼応するかのように30日には「トヨタ、マスメディア広告費3割カット」のニュースが流れました。

 トヨタ自動車は28日、都内で開いた経営説明会で、2009年の世界販売計画(ダイハツ工業と日野自動車を含む)を従来の1040万台から970万台程度へ下方修正したと発表した。主力市場である北米の低迷が主因。世界の自動車メーカーでも初の年間販売1000万台到達は10年以降に先送りとなった。
 渡辺捷昭社長は「米国市場の落ち込みや原材料価格高騰など、経営を取り巻く環境は一層厳しくなっている」との見方を示した。
(2008/08/28-18:22)

 電通は28日、広告受注の減少に伴う業績不振の責任を明確にするため、役員の月例報酬(月給)を5−10%返上すると発表した。返上額は高嶋達佳社長、俣木盾夫会長が報酬の10%、残り12人の役員が5%。期間は「当分の間」(広報)としている。
(2008/08/28-18:20)

 トヨタ自動車が原材料価格高騰や北米市場低迷で収益が圧迫されていることを受け、2009年3月期(今期)に新聞やテレビなどのマスメディア向け広告・宣伝費を、前期比3割弱削減することが29日、明らかになった。同社は今期の連結営業利益を29.5%の大幅減益と予想しており、経費削減を一層推し進める。
 広告・宣伝費については最大手のトヨタのほか、日産自動車など大手各社も絞り込みを始めている。マスメディア業界の収益にも影響しそうだ。
(2008/08/30-02:54)

引用はいずれも:時事通信社


 販売不振の株主へのパフォーマンスという見方もあるのでしょう、マスメディア4媒体の媒体料も昨年と比べ何割か安くなっている事と、大広告主という立場から、媒体料を広告主が決める事まで考えているのかもしれません。穿った見方をすれば、いくらでもニュースの真相を妄想できちゃいますが、額面通りに受け取ると、マスメディアを使った広告と、Webとのメディアミックスを、今まで以上により拡大してくる可能性も見えてきます。

 Webはマスメディアと比べ、成熟したメディアではありませんので、色々な可能性を見いだすために、尖った性格のアンテナサイトが林立する可能性があります。楽しみですねぇー、どんな仕掛けで我々を楽しませてくれるのでしょうか。それを考えるのもおまえの仕事だろ?と言われてしまえば、身も蓋もありませんが。

 これからは企業と社会とのコミュニケーションは、よりマクロ的な視点でメディアリテラシーを考え、利用していかなければなりませんね。




スパムメールはもはやメディアか?

 皆さんこんにちは、ライズの佐藤です。このProFileに参加する前から、AllAboutさんには登録してあり、定期的にメルマガも頂いておりました。その中で「企業のIT活用」ガイドの水谷哲也さんの記事迷惑メールが減らない3つの理由を読んで、数字的にスパムメールの社会への浸透がここまで来ているのか。と、ちょっと複雑な気持ちです。

 実際に仕事でもプライベートでもメールを利用し、ニュースや連絡を受けていますが、ISPのサーバーに届くメールの内85.5%がスパムメールでした。昔からこのスパムメールには悩まされ、3年ほど前からPOPFileと言うオープンソースの振り分けソフトを使っており、そのコントロールページで確認した数字です。

 水谷哲也さんの記事を引用させていただきますと、


イギリスにあるセキュリティ企業Marshalが行った調査ではインターネットユーザーの29.1%が迷惑メール経由で商品を購入した経験があると回答しています。なんと3割近くで、思っていた以上に迷惑メールは商売になるようです。

先ほどの約54億通の出会い系サイトの迷惑メールを送って逮捕された日本人は1カ月で約1億2000万円もの収益をあげていました。

2006年6月に大阪府警が摘発したワンクリック詐欺事件では大阪市のネットサービス会社の社長と従業員ら計6人が韓国のレンタルサーバーを使い、1億8000万件の迷惑メールを送信していました。約2600人が詐欺にあい、約7500万円が口座に振り込まれていました。

供述によると「迷惑メールを100万通送ると1,000人がサイトを訪れ、10〜20人が金を払った」ということですので、1,000人に一人がサイトをクリックし、0.001〜0.002%の人が詐欺にあう計算になります。



 引用で2ブロック目の約54億通の〜では、どのくらいの期間の記述はありませんが、出会い系サイトで成約された場合の報酬が、一件1,500円〜 2,000円と言われていますので、1ヶ月で8万人がこの人のスパムメールからサイトに成約したことになります。ワンクリック詐欺で被害にあった割合が、 0.001%〜0.002%と有りますので、送ったメールの量は80億〜40億通(計算間違っていないよな?)。

 まっとうな世界での営業活動で、DMやチラシなどを配布しますが、成約率はどのくらいの数字が上がっているのでしょうか、これは聞いた話ですので、エビデンスとしての確実な数字ではありませんが、DMを1,000通送り、内990通はゴミ箱直行、残り10通の内成約できるのは1〜2人。チラシ 10,000枚撒いて9,999枚がゴミ箱、成約が1人程度とすると、成約率は0.1〜0.01%・・・。イニシャルコストが小さいだけにスパムメールの成約率の高さが、他のメディアと比較することで理解できます。

 毎日これだけ送ってきて、各国で規制されても減らないわけですね。




欲しい人が居そうな場所に、商品を置くのが商売だ。

 何を今更ではあるが、欲しいと思わない人の居るところに、いくらイイ商品を置いても、買ってくれないのである。だって欲しくないんだもん。野村総合研究所から「全国のエリア別所得・金融資産を推計」と言ったリポートが公表されていました。

 主要私鉄沿線別に世帯当たり年間所得・上位10路線が公表されていましたが、10路線のうち首都圏の私鉄9社が占め、首都圏以外では関西の阪急今津線のみエントリーでした。世帯当たり金融資産・上位10路線では全て首都圏の私鉄で占められています。年間所得・金融資産両方に於いて京王井の頭線がトップでしたが、ランクインした路線全て内陸に向かう路線で、東京・横浜の沿岸を走る京急線はいずれも圏外のようです。

 所得水準の高い地域と金融資産水準の高い地域の比較の数字を見ると、居住者のアウトラインが少し見えてきます。東急田園都市線と、同じ東急大井町線とでは大きく違いますね、この公表された沿線以外の、JRや東京メトロの各路線のデーターも見たいモンです。

 この様な所得水準・金融資産水準でだいたいの居住者層が見えますが、実際に沿線の駅周辺に行き、スーパーや書店、レンタルビデオショップで置かれている商品を見ると、食や芸術的な文化度というのがよく分かってきます。特にレンタルビデオショップに置かれる商品が、アニメ?・名作?・バラエティー?・AV?どう言ったカテゴリーが多いのかによって、住む人たちの嗜好を読み取る事ができます。

 街を歩き、そこにあるお店の商品を見る事でもどんな人が住み、どんな商品を望んでいるのかのマーケティングはできます。一度自分の足元をじっくりと見て、客層をじっくりと判断し、商品構成を見直してみる事は、定期的に行うべきですね。




限界という概念がF1を撤退した理由か。

12月5日本田技研工業がF1からの撤退を発表しました、いちモータースポーツファンとして少し寂しい気もしますが、実のところ競技としてのF1にこのままでいいのか、と言う疑問があったのも事実で、同じF1に参加している他の自動車メーカーも、この後ホンダと同じように撤退を表明する企業が現れる可能性が考えられます。

同じバイクのツーリングクラブに所属する古くからの友人で、このホンダでエンジンの制御を専門とするエンジニアがおり、週末に会った時「F1撤退の話が出たね」と社内の雰囲気を聞いたところによると、社長の言う「自動車の販売不振が深刻化するなか、本業に経営資源を集中する」という言葉の裏に、もっと大きな企業戦略があるように感じました。

いままで社会や産業は限りなく成長を続けていける、と言った幻想から、今回のアメリカの金融危機を発端とする世界的消費の減退に、マーケットや産業、産業の結果作り出す廃棄物や利用している資源。この先内燃機関をより効率化し、いままでよりも数倍高効率でクリーンなエンジンになっても、インドや中国などの途上国の国民一人一人が自動車を所有する事で、排出される人に有害な排気ガスの総量は、現在と変わらなくなる事から、あらゆる事に限界があり、その内燃機関の効率を上げる実験室であったF1に巨額の資金を投入するよりも、再生可能なエネルギーを動力源としたクルマの開発に、全社一丸となって本腰を入れるための社内エンジニアに対して、ホンダという企業を取り巻くステークホルダーに対しての「アドバルーンとして」インパクトの大きい「F1から撤退」の発表に繋がったと感じます。

発表の際、報道陣の質問に福井社長が答え、「活動を止めることで、どういう結果が出るかは、3年から5年経ってわかること」「そのとき、いい決断だったと言われるようにしなければならない」とコメントがありましたが、企業としてはその先の 10〜20年後、100年後の社会を見据えた決断と言えるかも知れません。

社会を牽引する企業は、大量生産・大量消費、会社大もうけで急成長から、自社製品の成り立ちが環境負荷の少ないエコロジカルな事はもちろん、物事には全て限度があるという認識を持った、永続的な成長を求められる時代なのかもしれません。




パンドラの箱を開けてしまった、ライフネット生命。

やってくれました、ライフネット生命。なにをかと言いますと、いままで公表されることがなかった、と言うか閉鎖的な仲間内でヨロシクやっていた生保業界の「原価」をばらしてしまいました。詳しくはダイアモンド社のサイトをご覧頂く方が、私がチマチマ説明するよりも正確に伝わるのでは。

いままでの保険料は、純然たる保険料(原価)の他に、付加保険料という営業経費が加算されていたわけです。その付加保険料の中には、毎週会社の入り口や、エレベーターホールで待ちかまえるおばちゃんの人件費や、移動のための車両代金まで含まれているわけです、でもその比率が既存生保は大きすぎる。保険料を毎月毎月払っている被保険者は、内情も知らずに黙々と支払い続けているのですが、あまりにもでかい。

おばちゃん達を使わずに、Web上で契約を取るライフネットと、既存生保とでは付加保険料が5倍も違うんですと。そりゃばらされた既存生保の幹部は怒りますよ、営業のおばちゃん来なくてイイから、保険料下げろって加入者も思うでしょうし。でもばらされた以上、既存保険会社もおばちゃん達のクビ切ってでも対抗してくるんだろうな。

でもまぁこの時代に事業効率を上げる手段は正攻法とも言えるので、常識が無いと騒いでもユーザーに受け入れられない既存生保の負けだな。しかし原価よりも高い付加保険料なんて、そこまで人に頼らないと成立しなかった保険業界は、改革が遅れているのでしょうかね。ウチの業界印刷費に乗せるマージンなんて、良くて15%くらいなモンです。

金融業界でも、生保の業界で業界の再編がこの先進むでしょうね。・・・おれの保険料はこの先どうなるんだ?二十歳過ぎから掛けていた料金と、いま加入し始めた料金(原価、通常これに付加保険料が+)とであまり変わらない金額だもんな。とあまりにもビックリしたので口調がベランメー調で申し訳ありません。




新しいエネルギー源

個人的なことですが、お酒好きです。
中でも赤ワインは年齢的にも飲んでいておいしく、蒸留酒に比べ体も楽な感じがします。
冬はまだ出しっぱなしでもかまわないのですが、夏場気温が高くなるとぬるいワインはやはりおいしくなく、だいぶ前になりますがワインセラーを購入しました。

ワインというものはなかなかデリケートな飲み物らしく、温度変化の少ない、しかもあまり振動があるとよろしくないものだそうです。
私が飲むのは1本1,000円程度のハウスワインばかりですから、あまり厳密に高機能なセラーは選ばずにいたのですが、いろいろと比較検討のためにカタログなど集めました。

中でも当時ナショナル(現Panasonic)から出ていた高級ワインセラーが気になる存在でした、通常の冷蔵庫やセラーは庫内を冷やすために、冷媒をコンプレッサーで圧縮・解放の気化熱が熱を奪う方法で冷やしていましたが、このセラーはあまり聞いたことのない方式の「ペルチェ冷却方式」というものを採用していました。

これは冷却のために動くコンプレッサーの代わりに、ワインの嫌う振動が出ない「ペルチェ素子」という半導体素子を利用していました。

先日このペルチェ素子および関連製品で世界最大手の株式会社KELK(小松製作所100%出資子会社)が、このペルチェ効果による世界最高効率の熱発電モジュールを開発したそうです。

たとえば今まで熱を効率よく捨てるために、車などはエンジンのシリンダーやヘッドなど、空気や液体に熱を移動させることで冷却していました。

親会社は建設機械を扱う小松製作所ですから、ディーゼルエンジンの廃熱から発電する研究も、スタートしているそうです。

工場やゴミ焼却場などでも、今まで捨てるしかなく、邪魔者だった廃熱を使って電気を作ることが可能になり、捨てていたエネルギーが資源になります。

これからの社会のために循環型社会に移行する事が好ましいと言われ、地球資源を原料とせず、CO2を排出しないエネルギー生産は、今まで風力や太陽光発電に限られていました。

しかも太陽光発電よりも効率よく発電できる(ニュースリリースより)デバイスが誕生したことで、自然からのエネルギー供給源の選択肢が増えた事は、すばらしいことに思えます。




変えていくのは大変だけれども

先ずは昨年大阪府知事に就任され、財政再建に取り組み、2009年度には黒字転換への見通しがついた、橋下徹知事の手腕に、府民も大喜びでしょう。

何よりも一番大変だったのは、財政再建の方針や方法を策定するよりも、職員の抵抗を抑え、目的を達成することだった事は、たやすく想像できます。

カエルは冷たい水から熱い水へと環境を急に変えると、ビックリして飛び出すが、同じ環境で少しずつ水の温度が変わってもそのままじっとして動かず、やがて高くなりすぎた水温のために死んでしまう。

人間をカエルと比較するのもなんだけれど、人間は慣れ親しんだやり方を変えさせられることに、心理的抵抗を強く感じるという。

先月25日、毎日新聞が大阪府の課長・参事と言った役職の職員に、アンケートを取った記事が載った。

内容を見ると、府政の方向性が「良くなった」と回答したのは58%、一方「悪くなった」と否定的に答えたのは42%。

今まで財政再建という名目で、改革を進めていったが、否定的な意見を言う職員が多いのにはビックリしたが、アンケートにあった「意見や提言」を見てもその傾向が見て取れる。

新聞社サイトは、一ヶ月ほどで有料のアーカイブへ移行してしまうため、現在の記事を転記しておく。


橋下知事への意見については、提言や批判、称賛などさまざまな声が寄せられた。「意見や提言」では、「一過性で終わることなく、命がけで取り組んでいただきたい。知事がその姿勢であれば、『大阪・関西の地域主権』の確立に向け、命がけで取り組む覚悟である」(本庁・参事)など。一方、「批判」の声は「180万人の支持を受けたからと鼻高々で、府の権力をすべて握ったと錯覚しているようだ」(役職不明)▽ 「『思いつき』が『思い込み』になり、今や『思い上がり』になっている」(本庁・参事)▽「役人いじめの言動にはうんざり。全否定されているみたいです」(本庁・課長)など。「称賛」意見では「大改革に関係していることを幸せに感じる」(本庁・参事)▽「知事にメールをすることがあるが、すぐに返事が返ってくる。そのスピード感と熱心さには感服している」(本庁・参事)などがあった。
毎日新聞 2009年1月25日 東京朝刊


今まで政治の世界でも、改革に対して否定的な言葉が聞かれたが、あまり政策的な言葉は聞いたことがない、どちらかというと根拠のない感情的な意見が多い。

自治体でも、企業でも自らを変えていかなければいけないことは、理解できていても、今まで慣れ親しんだ方法を変えることに抵抗を感じ、改革の足を引っ張る。

「子供が自分のおもちゃを取り上げられるのがイヤで、駄々をこねているだけだ」などと言ってしまうのはたやすい。

そんな意見を持つ人とも議論を重ね、目指す方向を見つける忍耐も必要だろうが、企業の中で仲良くすることよりも、やはり一番必要なのはリーダーの「変えていかなければ」という熱い気持ちと、顧客を裏切らない姿勢なんだと思う。




不景気な時に不景気な話をしても・・・。

と言うか、そんな話題しか提供できない政府にも問題はあるのだろうが、日本を代表して向かった国際会議であの格好を放送され、見ている国民も後味の悪さを感じたのではないだろうか。

そんな姿を延々とテレビの報道番組で見せられた日には、不景気と萎んだ姿がよりショボーンと背を丸く、小さくさせるようだ。

こんな時はガハハと笑って過ごせる番組が嬉しい、個人的には一発芸のパフォーマンスで笑いを取るのではなく、昔のドリフターズの考えられた笑いが好きだ。

後は世界に対して誇れる日本を実感した時、人でも技術でも。

技術という点では基幹産業である自動車と、環境技術だろうか。

人としては辞任した中川昭一財務・金融担当相の報道で、陰に隠れてしまった形になるが、なんと言ってもエルサレム賞の授賞式での村上春樹のスピーチであろう。

昨日のニュースにもあったが、今日スピーチの全文が本人の署名付で公表されていた。

紛争のあったエルサレムに招かれて行き、その当事者の一方であるイスラエルのペレス首相の前でのこの発言は、イスラエルとパレスチナの人たちに、どう感じられたのだろう。
今さらもう、どっちがどれだけ悪いかなんて意見は不毛な話だ。
とりあえず戦争は止めにして、話し合いに入るきっかけにはならないものか。

エルサレム賞を受賞し、授賞式に参加することで、紛争当事者の一方にくみされるのでは、と言う懸念から欧米の作家達は受賞を辞退しているらしいが、授賞式に登場し、言いたいことを言ってくれたのは、景気の低迷で閉塞感を感じる日本国民には、良い風穴を開けてくれたのではないか?。

報道として酩酊した顔の大臣を映すのも必要かもしれないが、メディアがやらない物だから、Web上では色々な人が翻訳してアップしてある。
その中でもブログをwikiのように使い、意見を出し合って作られた「はてな」のブログがある、発言した本人が公表していない今の段階では、一番近いのかな?。

読んでみると、小説と比べたら全然短いほんの一言なんだけれど、なんだかちょっと感動させてくれた。

日本人としてこの様な発言をしてくれ、少し誇りに思った。

ニュースとしてどちらがプライオリティーが高いのかの判断一つにしても、既存メディアとWebとの温度差を感じる。

こんな言葉の力だけれど、少しだけ世界を変えてくれるんじゃないかと期待させる、そんな発言をしたのが日本人だなんて、まんざら日本も捨てた物じゃないだろう、と、世界中に対して誇れることではないのか。

今は寒い寒いと身をかがめながら歩くのではなく、国民が自信と誇りを持って、堂々と歩いて行く姿こそ必要なのではないだろうか。




大人の皮をかぶったお子様か

最近のメディアが流すニュースは、確かに明るい話題は少なく暗いと感じている。
まぁ、腹に据えかねる嫌なことも多いから、なのかもしれないが、最近なんだか覚悟が足りない、情けない大人が増えているのが原因かも?と思った。

ねぇ、G7で日本の品位を落としてくれ、その後の美術館でもひんしゅくを買い、いまだに国会議員しているあの人とか。
でもあの人はあまり攻めると、お父さんのように自殺されると後味悪いから、追い詰めない方が良いのかな。

新しい米大統領と電話で首脳会談した時に、何を言いたいのかよく判らなかった、と言われちゃったあの人とか。

個人的にもあいつやこいつなど、50才を過ぎてもガキみたいな考え方している奴とか、大人として付き合えないと怒りを覚えると言うより、笑いたくなる。
・・・どっかで聞いた台詞?

そんなニュースが飛び交う中、出会ったのが、福沢諭吉の『痩我慢の説』。

これは元徳川の幕臣だった勝海舟と榎本武陽の、出処進退を厳しく指摘した文章。

「当時積弱の幕府に勝算なきは我輩も勝氏とともにこれを知るといへども、士風維持の一方より論ずるときは、国家存亡の危急に迫りて勝算の有無は言うべき限りに非ず。」
「我日本国民に固有する痩我慢の大主義を破り、以て立国の根本たる士気を弛めたるの罪は遁るべからず。一時の兵禍を免れしめたると、万世の士気を傷つけたると、その功罪相償うべきや。」

これに対し、勝は。
「行蔵は我に存す。毀誉は他人の主張。我に与らず我に関せずと存じ候。各人へ御示し御座候とも毛頭異存これ無く候。御差越しの御草稿は拝受いたしたく、御許容下さるべく候。」

福沢諭吉は「短期的な観点からすれば勝海舟の選択は正しい。けれども、武士としての考え方(武士道・痩せ我慢という美意識)から見ると、戦争の勝ち負けではなく、日本という国家が将来無くなってしまうのではないのか。
日本人が根本に持っている『痩せ我慢』と言う美意識を放棄したことが、一時の兵禍を免れるために行われたとしても、日本人の根本的美意識を弛めてしまっては、元には戻らないだろう。確かに功もあるが罪もある、罪の方は日本という国家がこれからずっと背負うことになるけど、これをどう償うのさ。」

これに対し勝は「出処進退はその人が自己決定することである。その成否や理非を論じるのは他人の仕事である。私が『私のことはこう評価してください』と他人にお願いする筋のものではない。
私への批判の文章、どんどん世間に発表してくださって結構。
でも、戴いた草稿はこのままくださいね。」

これを読むと、明治維新を経験したこの二人は、かっこいい大人だ。
お子ちゃまじゃ困っちゃうけれど、大人としての突っ張り方をわきまえている、やせ我慢が大人としての美学なのかもしれない。

政治の世界はよく判りません、ひょっとしたら屋根に登ったは良いけれど、梯子を外され、降りれなくなって上で泣いているのかもしれません。

でも泣いて済むのは凡人だけ、人の上に立つような人たちはやはり「行蔵は我に存す。毀誉は他人の主張。」この心意気だけは欲しいよな。
って、無い物ねだり?




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