RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

コミュニケーションツールとして成功する方法

一言でコミュニケーションツールと言っても、対外的なステークホルダーに向けたパンフレットから、投資家に向けたIR情報、コンシュマーに向けた広告やパンフレット、社内で働くスタッフ同士のコミュニケーションを目的とした社内報など、印刷媒体から放送、Web媒体などあらゆる媒体を使いコミュニケーションされていますが、あなたの伝えたいと考えている物は相手の方に伝わっているでしょうか。

Web媒体でしたら、大まかな製品紹介ページから興味を持つ人だけが見に行けばいい、情報を深く掘り下げたページを附加する事は、費用的にもわずかな金額で済んでしまうでしょうが、放送媒体や印刷媒体などでは附加する事でかかる費用が大きく左右されてしまいます。

費用が掛かってしまうという事もそうなのですが、人間は情報の中でも特に文字情報については、自分の求めていない情報はノイズとして判断し、文字や文章、特に漢字ばかりで表現された文章を理解しようとしません。もちろん様々なステークホルダーに対して“伝えたい”と考え制作するのでしょうが、ステークホルダーが興味を持つ分野や項目を見間違えると、読んでもらえなかったり、反対に物足りなく感じたりと、情報を伝える道具として成立しなくなってしまいます。

一番陥りやすい失敗は「出来るだけ正確に伝えないと」とか「これほど魅力ある製品を伝えるために、様々な切り口で表現した方が」などと、情報を詰め込みすぎた結果デザイン的にも整理出来ずに、読みにくい物になってしまう事です。

相手に伝えるためのツールを作るために、まず一番力を入れて決めなければいけないのは情報を伝えたい人の人物像をしっかりと描く事です。

もちろんプロのディレクターと呼ばれる人たちは、ターゲットとするステークホルダーの最大公約数的な人物像を頭に入れ、何を、どの様に伝えるのが合理的で効率がよいかのフレームワークを組み、それに沿った形でビジュアルを決め、文章を考えるなどの仕事を進めます。

そのターゲットの人たちは写真やイラストを多用した方が理解されやすいのか、象徴的なインパクトのある写真1枚で表現すべきか、キチンと起承転結で理解出来るように、ストーリー仕立てが良いのか、ターゲットの人たちの育ってきた環境や、年齢による文化的な背景などでも変わってくるでしょう。

そんなターゲットのイメージが出来上がったら、自分(企業)との比較をし、ターゲットの人物像との関わり方を考えます。ターゲットに対し自分はオピニオンの立場なのか、それとも同じ土俵でみんなで盛り上げていこうと考えているのか。

企業の独りよがりな情報伝達では“相手に伝える”という、ツールとしての機能に達していません。相手の人物像をしっかりと把握し、受け入れてもらえるように考え実践する事で始めて「コミュニケーションツール」として形をなすのです。読みにくい物はそれだけで読んでもらえないと考えるべきで、文字で言えば大きさから行間、文字同士の詰まり具合などでも読みやすい、読みにくいは変わってきます。

先日のエントリー「広報物のフレームワークは重要ですよ」でも書き込みましたが、成功するための王道として、企業側ではどのターゲットに対して何を伝えるのかといったフレームワークをしっかりと決めて企画し、読みやすくするためのテクニックを持ったプロに頼むのが一番でしょう。

二回続けて「フレームワーク」の重要性を書きましたが、最近回ってくる仕事がこのフレームワークの詰めが甘く、代理店を通してクライアントにもキチンと話をしないと、広報戦略の一つのツールと言う目的から外れてくると何度も言っているのですが、営業が若い人で重要性を理解していないのか、これ以上自分の仕事を増やしたくないと考えているのか解りませんが、半年が過ぎようとしても改善される気配は無し。

出来たばかりの若い会社も良いけれど、年寄りは年寄りなりにフレームワークを合理的に進めていける力を持っていますからね、制作しているコミュニケーションツールが目的を果たしていないと考えられるようでしたら、年寄りにも声を過開けてください。(笑)




1/1