RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

アメリカ国民の意識に変化が見える

大統領がオバマ氏に替わったこともありますが、今回気がついたというか、変わってきたと感じたのが漫画・コミック、向こうで言うカトゥーンです。

皆さんご存じのように、アメコミと言われるヒーロー漫画では、様々なヒーローが登場し、悪を倒し平和な世界を築くというストーリーが、王道として表現されてきました。

スーパーマンを始め、スパイダーマン、バットマンなどの多くが映画化され、世界中の多くの人に愛されています。

漫画という世界では、アメコミという確立されたカテゴリー以外にも、日本の漫画が最近は良く読まれ、評判も高くなっており、2003年にはアメリカでの漫画販売数が、アメコミの販売数を抜き、その差も毎年拡大しています。

アメコミと日本の漫画を比べ、一番大きく差を感じるのは、突出した勧善懲悪のヒーローの存在でしょうか、日本の漫画の中にも主人公はいますが、主人公を含めた社会環境と、周りの人との関係はもう少し描き込んであるように感じます。

なぜこのような同じ漫画でも表現に差が出たのでしょうか、非常に興味がありますが、私は宗教観の差からではないかと考えます。

日本はいわゆる八百万の神様がいると言われ、宗教的には仏教の教えを受け入れながら、神社にも詣でると言った、宗教の中でも多様性を認める多神教の社会です。

欧米はキリスト教を中心とした一神教、一人の神様が良い行いをすれば、死んだ後も天国へ行けると教え、神の名の下に社会活動を行い暮らす世界、キリストは世界一のヒーローなのかもしれません。

一神教の教えを何代も続けていく内に、悪を滅ぼし平和な世界を作るのは、一人のヒーローが当たり前と感じたのでしょう。

それに比べ日本では、森の中にも、大きな木のほこらにも、暗い押し入れの中にも神様がいるし、道を歩けば道祖神や、お稲荷さんがあちらこちらに沢山います。

妖怪という形で、未知のもの・物の怪など、分からない何かとも一緒に暮らしていたりします。

現在アメリカの映画産業では、原作を日本の漫画にもとめ、「マッハGo Go Go!」や「ドラゴンボール」などが公開されたり、制作の準備に入った漫画もあります。

強い一人のヒーローから、主人公を取り巻く人や環境とストーリーを重視する、多様性の中の正義を表現する作品が増えてきていると感じます。

今までは「アメリカンドリーム」という言葉が示すように、他の人にない何か新しい物を考え出せば、大金を手に入れる事が出来る市場原理主義でした。

しかし、アメリカという国がオバマ大統領に替わり、年間所得一世帯で25万ドル以上の場合、税率はこれまでの33%が36%に、年間所得37万ドル以上の場合は35%から39.6%に、それぞれ引き上げられる予算案が提出されました。

国民の求めるエンターテインメントの変化と、所得の再分配を求める声の大元は、同じ場所にあるのではないでしょうか。

HBSを卒業し、MBAを取得しているから。大企業のCEOとしてマネージメントしているから。

一部の人間が一人で年間数億ドルの賃金を貰っている一方、労働者の賃金は数万ドルと、格差があまりにもかけ離れすぎた事が、一つの原因かもしれません。

経済学者も「社会主義科するアメリカ経済」など、成長を危惧する発言も目立ちます。

しかし地球温暖化ガスの上昇は、GDPの動きに合わせるように上昇している事を考えると、化石燃料の代替エネルギーが発明されるまでは、成長をある一定の所で押さえる必要があるのかもしれません。

社会主義はソ連の崩壊と共に国家のシステムとして不適切だったと認識され、中国も経済的に資本主義体制を大幅に進めています。

でも現在のアメリカの様子を見ると、今までの西側諸国が進めてきた資本主義体制が、曲がり角に来ていると感じられます。

一人だけの大金持ちのヒーローより、多くの国民が豊かに、持続可能で安心して暮らせる社会を求める、新しい資本主義社会を模索しているのではないでしょうか。




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