RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

コミュニケーションの原点だ。

吉竹純:過去未来

物を創るクリエイティブの端っこで生きている者として、先日読んだ本で、日本語という言葉の持つ力、可能性、奥深さ、柔軟性を含んだ素晴らしい言語だと言うことを、頭を殴られたみたいに、力業で教えてくれたのが本書です。新宿の本屋だったでしょうか、平積みにされた短歌集はあまり見ないし、と言うか俵万智ぐらいしか見たことありませんが、表紙の蝶の絵が印象的で手に取り、中を2〜3行読んで購入しました。

短歌という五・七・五・七・七の三十一語で構成する、俳句や詩とは又違う表現方法ですが、最小限の言葉の中に、歌を見る人にその場の情景を頭に呼び起こさせ、詠み人の感情さえもその三十一語に凝縮して伝える、コミュニケーションの原点とも言える短歌集です。

日本語には一つの単語でも「ひらがな」「カタカナ」「漢字」と使い分けることで、伝えたいと思う表現が変化します、例えば「フランス」と国の名前を書くのと「仏蘭西」と漢字で表現するのとでは、受け手が感じる受取方も変化します。日本でコミュニケーションをクリエイティブしていく職に就く者は、この単語を自由自在に使いこなし、様々な情景を変化させ、日本語という言語を使いこなす必要があります。

この本の著者は、元電通のクリエイティブ・ディレクターをされていた方ですが、その使いこなし方は感動すら覚えます。納められている歌は全て新聞の短歌欄に掲載された物で、選者の評も併記されている物もあり、あまり短歌を読む機会のない方にも理解されやすい本になっていると思います。

クリエイターとして、写真や絵画、映画や演劇など、心の感じる物を数多く見、感動することが物を創っていく上での一つの糧であると信じています。コピーライターだけではなく、全てのクリエイターに読んでいただきたい一冊だと思います。

一応詳細を、投歌選集 過去未来
著者:吉竹純 発行所:河出書房新社 ¥1,600 ISBN978-4-309-90814-4
題名はAmazonのページにリンクしてあります




厳しい年末になってきました。

新聞やTVから流れてくるニュースは、明るい話しは見あたらず、くらい話しが多く見られます。バブルがはじけた時もそうですが、企業の業績が悪化すると、まず削減されるのが広告宣伝費です。

トヨタ自動車などは社長自ら「広告費3割カット」を今年の8月に発表しましたが、自動車メーカーをはじめ大手家電メーカーも減産を発表するなど、日本の産業も足踏み状態が続いており、不景気という流れから財布の紐を締めるべく、外注費削減の一環で広告宣伝費を削減する、と言う図式が見えてきます。

大企業でしたらマスメディアへの出稿量を減らす事で、削減が目に見えるでしょうが、元々出稿量の少ない中小企業などでは削減=中止にもなりかねません。今までメディアへの出稿で築いてきた、コンシュマーとのつながりは、企業の大きな資産です。

いきなり全てをストップするのではなく、媒体や表現メディアを変えるなどして、コンシュマーとのコミュニケーションは、継続的に続けていかないと、一度離れてしまったコンシュマーを再び引き戻すためには、非常に大きなエネルギーが必要になってきます。

今まで複数の制作会社に個別に頼んでものを、年間契約で一社に絞るなど、企業の目的を見据え、長くつきあえそうな事務所と付き合うなど、腹を割って話す事も時には必要でしょう。

社会情勢を冷静に判断し、これからの目的を定め、手段としてのコミュニケーションツールがあります、クライアントとして厳しい時代は、制作側も厳しいのです。お互い頭に汗をかき、良い物を創る事で壁を越えるのが、最善の方法と考えます。




パンドラの箱を開けてしまった、ライフネット生命。

やってくれました、ライフネット生命。なにをかと言いますと、いままで公表されることがなかった、と言うか閉鎖的な仲間内でヨロシクやっていた生保業界の「原価」をばらしてしまいました。詳しくはダイアモンド社のサイトをご覧頂く方が、私がチマチマ説明するよりも正確に伝わるのでは。

いままでの保険料は、純然たる保険料(原価)の他に、付加保険料という営業経費が加算されていたわけです。その付加保険料の中には、毎週会社の入り口や、エレベーターホールで待ちかまえるおばちゃんの人件費や、移動のための車両代金まで含まれているわけです、でもその比率が既存生保は大きすぎる。保険料を毎月毎月払っている被保険者は、内情も知らずに黙々と支払い続けているのですが、あまりにもでかい。

おばちゃん達を使わずに、Web上で契約を取るライフネットと、既存生保とでは付加保険料が5倍も違うんですと。そりゃばらされた既存生保の幹部は怒りますよ、営業のおばちゃん来なくてイイから、保険料下げろって加入者も思うでしょうし。でもばらされた以上、既存保険会社もおばちゃん達のクビ切ってでも対抗してくるんだろうな。

でもまぁこの時代に事業効率を上げる手段は正攻法とも言えるので、常識が無いと騒いでもユーザーに受け入れられない既存生保の負けだな。しかし原価よりも高い付加保険料なんて、そこまで人に頼らないと成立しなかった保険業界は、改革が遅れているのでしょうかね。ウチの業界印刷費に乗せるマージンなんて、良くて15%くらいなモンです。

金融業界でも、生保の業界で業界の再編がこの先進むでしょうね。・・・おれの保険料はこの先どうなるんだ?二十歳過ぎから掛けていた料金と、いま加入し始めた料金(原価、通常これに付加保険料が+)とであまり変わらない金額だもんな。とあまりにもビックリしたので口調がベランメー調で申し訳ありません。




限界という概念がF1を撤退した理由か。

12月5日本田技研工業がF1からの撤退を発表しました、いちモータースポーツファンとして少し寂しい気もしますが、実のところ競技としてのF1にこのままでいいのか、と言う疑問があったのも事実で、同じF1に参加している他の自動車メーカーも、この後ホンダと同じように撤退を表明する企業が現れる可能性が考えられます。

同じバイクのツーリングクラブに所属する古くからの友人で、このホンダでエンジンの制御を専門とするエンジニアがおり、週末に会った時「F1撤退の話が出たね」と社内の雰囲気を聞いたところによると、社長の言う「自動車の販売不振が深刻化するなか、本業に経営資源を集中する」という言葉の裏に、もっと大きな企業戦略があるように感じました。

いままで社会や産業は限りなく成長を続けていける、と言った幻想から、今回のアメリカの金融危機を発端とする世界的消費の減退に、マーケットや産業、産業の結果作り出す廃棄物や利用している資源。この先内燃機関をより効率化し、いままでよりも数倍高効率でクリーンなエンジンになっても、インドや中国などの途上国の国民一人一人が自動車を所有する事で、排出される人に有害な排気ガスの総量は、現在と変わらなくなる事から、あらゆる事に限界があり、その内燃機関の効率を上げる実験室であったF1に巨額の資金を投入するよりも、再生可能なエネルギーを動力源としたクルマの開発に、全社一丸となって本腰を入れるための社内エンジニアに対して、ホンダという企業を取り巻くステークホルダーに対しての「アドバルーンとして」インパクトの大きい「F1から撤退」の発表に繋がったと感じます。

発表の際、報道陣の質問に福井社長が答え、「活動を止めることで、どういう結果が出るかは、3年から5年経ってわかること」「そのとき、いい決断だったと言われるようにしなければならない」とコメントがありましたが、企業としてはその先の 10〜20年後、100年後の社会を見据えた決断と言えるかも知れません。

社会を牽引する企業は、大量生産・大量消費、会社大もうけで急成長から、自社製品の成り立ちが環境負荷の少ないエコロジカルな事はもちろん、物事には全て限度があるという認識を持った、永続的な成長を求められる時代なのかもしれません。




こんな時だからこそ、よそとの差別化が必要です。

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  • by virbius
  • 2008/11/30 Sun 14:41

アメリカの金融危機を発端に、世界経済も行き先を見定められず迷走しているように感じますが、日本でも最近新聞の経済面を賑わせるニュースに、製造業は軒並み業績を下降修正したとあるなど、いままで日本経済を牽引してきた日本の製造業が低迷しています。こんなニュースが流れるとき、お客さん達は容易に財布のヒモをゆるめようとはしません。その商品がいま自分に本当に必要なのか、そのメーカー・サービスは自分の考えるインセンティブを有しているのかいないのかを吟味し、見極めてから購入に走ります。

こんな時だからこそ商品やサービスを提供する側は、競合他社との差別化を明確にし、自社の特徴をキチンとアナウンスしていかなければなりません。手段としては広告やお客様に配布する印刷物を始め、業種業態、規模によって様々な方法が考えられます。お客様がこの商品・サービスを受けるために、従来通りの方法でいいのか、立ち止まってくれているのです、特に他社競合と価格勝負していない企業は、この経済が落ち込んでいる時にこそチャンスです。

不景気だとメディアは報じていますが、日本の全国民が貧乏なわけではありません、ばらまくほどは無いにしても、不景気感で財布のヒモを堅くしているだけです。

自社の強みはなんですか、選んでいただくメリットはなんですか、売っているのは商品ですか、サービスですか。お客様が選ばれている点がサービスの良さと感じているのに、商品を売っているだけと考えていませんか。先ずは自身の企業を客観的に判断し、他社との違いを明確化しましょう、先ずはそこからスタートです。すでに明確になっている企業は、様々な方法でお客様にアピールできるよう手段を考えましょう。




ローマクラブ

経済成長率がマイナスになるとかならないとか、朝日新聞が初の赤字に転落したとか、企業が生き抜くための努力が、今以上に必要とされていますが、楽天的オポチュニストの私でさえ、今までのようにラッキーや偶然が重なって稼げる時代ではなくなったように感じます。

この先日本は、世界はどのように変わっていくのでしょうか、そもそも変わるきっかけでもあるアメリカの金融危機って何。やはりこれですかね「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」の離脱。産業界からバックアップされたブッシュ政権が、議定書を批准していたら儲からんやンケー、と言ったか言わなかったか、なぜ関西弁なのかは分かりませんが、そんな政策が大きく係わってきたと思います。

そもそも月々10万円しか支払い能力の無かった人たち向けに、審査も甘アマで、返済能力を少しだけ背伸びした毎月11万円を返済させる住宅ローンを組ませ、宅地や住宅産業のバブルを生んだけど、やっぱり返せなくなりました。が原因のようです。しかしこの融資のための資金は、ゼロ金利政策を嫌って逃げ出したジャパンマネーだったという説もありますが。

この様に産業を発展させれば、国民一人ひとりの収入も上がり、国全体がどこまでも発展していくんだ。と言った夢を見ていたのでしょう、さらに追い打ちを掛けるような自動車メーカー、ビッグスリーの救済問題、株主の方だけを見て顧客のニーズに応えられるよう、多様性のニーズの中から、商品を開発する事を怠ったメーカーが、ニーズが変わった途端に売れる商品が無くなってしまった。と言う少しお粗末な顛末。

これに比べEUや日本では、資源を効率よく利用するための開発を行い、商品にしてきましたが「環境保全ダァー、何生チョロいこと言うとんねん」と言う巨大な暴君が失敗したことと、大統領が替わることで京都議定書に批准する可能性が大きくなってきました。

ところで題名にある「ローマクラブ」は皆さんご存じですか?小説に出てくる秘密結社ではありません。

1970年に設立されたイタリアの元オリベッティ社副社長で石油王、アウレリオ・ベッチェイ博士が設立した民間のシンクタンクで、資源・人口・軍備拡張・経済・環境破壊など世界規模で起こる問題解決を探るべく、当時世界中の英知と言われるような人たちが集められ、設立のために最初に開いた会合がローマで行われたため、この名前が付きました。

また、このアウレリオ・ベッチェイ氏は油田視察中にヘリコプターの墜落事故で亡くなり、マフィアの陰謀説が流れるなど憶測を呼び、映画にもなっているようですが、「成長の限界」という書籍の方が有名でしょうか、当時は賢人会議とも言われていました。

現社会では地球温暖化とメディアでも言われていますが、カーボンオフセットという形で、排出権を取引する商売になった時点から、とても胡散臭く感じております。でも生物でも、経済でも、流行でも全てにおいて無限に成長できるとは思っていません、いずれどこかで限界が来るだろうと。

18世紀から19世紀にわたって興った産業革命で、人類は地球資源を産業に変える知恵を得、今までになかったスピードで人口が増え、物が増えていくと同時に汚染も拡がり、地球資源が枯渇し、今までにない気候の変動が現れるようになってきました。

ボールを投げると放物線を描くように、上り坂だった物が水平に移り、やがて下降に転ずる、今回アメリカの金融危機の報道を見るたびに、世界はそんな分岐点に立っている感じがします。ただし下降に転じるとは言っても、いきなり破滅が目の前に現れるわけではありません。今まで上昇し続けたスピードと同じように減少していくと予想されていますが、その減少を少しでも送らせることは可能です。

この先、先進国と言われる国の産業経済は、今までの何でもかんでも大量生産・大量消費よりも、限界内での持続的発展のための産業へと、パラダイムシフトし、企業の中・長期計画を立てる上でも、無視できない流れになってくるでしょう。




長期的社会展望

今日の日経のニュースでは「米上院、ビッグ3呼び公聴会 GM最大120億ドルの緊急融資要請」とあります。アメリカの自動車メーカーは、何で売れないんだと思うのでしょうが、アメリカの企業経営方法の終焉と見た方が良いのですかね。毎期ごとの利益や株価のことなど、あまりにも株主や金融の方ばかり向いた経営が、長期的社会展望からくる開発を怠る結果になり、売れる車が無くなってしまったのでしょうか。まぁ、そればかりではないのでしょうけれど。

金融不安を初めアメリカからの暗いニュースが多いのですが、現在の産業全ての最終到達目標だった「人間の生産性向上に向け、人間能力の量的拡大を目差す」事が、合わなくなってきているのかもしれません。「形有る物には始まりと終わりが必ずある」と教わってきましたが、文明にも同じように寿命があるようです。

1.技術の獲得→2.生産性の向上・人口の増加→3.自然資源の浪費・環境条件の悪化→4.生産性の低下・人口の減少→5.飢餓・疫病・内乱→6.文明の終焉


日本では2004年をピークに、戦後初めて人口が減少に転じているので、今は4.の入り口あたりでしょうか。1972年にローマクラブが発表した成長の限界―ローマ・クラブ人類の危機レポートが予言書のように感じられます。イギリスで起きた産業革命以降、右肩上がりに増え続けた人口と、工業生産に合わせるように増えた汚染、反対に減り続ける資源。産業革命は地球資源を商品に替える力を人類に与えたのでしょうか。

この事から、これから日本の製造業は、省資源・高効率な製品を作るところは繁栄し、対応できない企業は現状維持か衰退して行くでしょう。つまり大量のエネルギーを消費する物や、数年で使えなくなる機械は敬遠され、人の手によるメンテナンスや修理と言ったサービス業が伸びてくるのではないかと考えられます。また高効率なパーツを古い製品にレトロフィットさせるような、新しいサービスも出てくるかもしれません。車などもこれ以上は台数が伸びず、買い換え需要を狙ったものになり、自動車メーカーもその技術を利用して作られた、生活支援ロボットのような物が主流になるかもしれません。

ホンダ技研はすでに「ASIMO」の開発で、二足歩行のロボットを研究し、つい最近足の機能を補助する製品を発表していました。トヨタ自動車もパーソナルな移動デバイスを研究しています。世界の他の自動車メーカーでは、電気自動車や水素自動車など、車というカテゴリーで開発を続けていますが、CITY用と都市間移動用で、車のカテゴリー自体変わっていきそうです。

現在の製品などは効率とコストから、修理を視野に入れない設計で作られた製品が、数多く見受けられますが、将来的には今は必要とされていない、職人の「技」が必要となる時が来るかもしれません、切り捨てないで取っておいた方が良さそうです。

とは言え現在の世界人口は現在約66億人、2050年には95億人と予想する研究者もいます。現在の食資源を日本と同じようなメニューで料理すると、50 億人分の料理しかできない計算だそうです。食料と植物、そのための水資源をコントロールする治水、水産業の中でも育てる養殖などは、この先伸びる可能性が高い企業でしょうか。

将来の企業は今まで以上に実業に堅実で、永続的な成長を続ける企業に集約されそうです。




クリエイターとしての資質を磨くために

美大や専門学校などでは、デッサンやクロッキー、色彩構成など基本的な勉強をして、ビジュアルコミュニケーションを学んだ人は多いだろう。その先の実作業では先達たちが残した作品や、絵画、映画などからインスパイアされたり、自分の見たり経験した風景などの記憶から、仕事へのヒントへと繋がることも多いと思う。現在でも多くはそうではあるが、仕事の流れはクライアント→代理店→制作と流れているが、インターネットのインフラが整ったことで、ビジネスの垣根が取れた今、クライアント→制作とダイレクトに仕事が流れるようになったのも事実だろう。

間に代理店の営業などが入り、クライアントとの付き合いが間接的ならば、制作側のコミュニケーション能力は、仕事上のビジュアルコミュニケーションに特化した物でも構わなかったろう。しかし、クライアントとの直の仕事では、コミュニケーションはそれだけでは済まない、企業の体質や戦略を知り、その延長線上の道具であることを意識した、目的をマネージメントされた表現が必要になっている。

なぜそれほどまでにコミュニケーションが必要なのだろうか。依頼された仕事は何を目的でこの様な表現が必要なのか、キャッチコピーやビジュアルにしても、プライオリティーと言った順列を付け、それをキチンと口で表現する能力が必要なのだ。つまり売れっ子のディレクターやプランナーと言われている人たちが、バンバンと企画書を量産する作業に似ている。量産してもツボを押さえてあるから、クライアントにすんなりと伝わり企画が通るのだ。時代が求めるクリエイターは、この様なビジュアルコミュニケーションと言われる物を企画し創れるプランナーでもある。

企画書を上手に書く方法は、書店に行けば売るほど積んであるので、ここでいちいち説明はしない、と言うか説明できるほど私自身修行を積んではいない。自分以外の人に説明し、理解してもらうには何が必要で、どんな順番で伝えるのが効果があるかは、自分の頭で整理・理解し、相手に興味を持って聞いてもらえ、それが魅力的に見えるよう説明出来る能力が必要である。

手段によっては文章だけでなく、カンプ状態の絵も含めたプレゼンシートが有効かもしれないが、基本はやはり文章にすることで、何をどのようにプライオリティを付けて伝えることを説明し、メリットとそれにかかる費用など考え方を整理し、キチンと相手に伝わるよう説明できることだ。

これはもう文章を何でも良いから書きまくり、簡単でも評価をもらうこと。その評価に対して簡単な言葉で言葉のラリーを繰り返すことが出来ると、物事を階層的に捉え、考えることが可能となってくる。このトレーニングを簡単にできるのは、やはりブログや日記だろう。例えばmixiの日記などでは、気心の知れた友人とのコミュニケーションを、書く内容を少し仕事にシフトし、何をどう伝えるかを念頭に書いていくことで、コミュニケーションを楽しみながら十分なトレーニングになる。

今日明日はまだ使えないかもしれないが、5年後10年後を見据え、簡単なところから始めて見てはどうだろうか、何でもかんでも書いて書いて書きまくって、やっと見えてくることもある。




持続可能な多様化

先日、日本人物理学者として南部陽一郎氏・小林誠・益川敏英の3氏がノーベル物理学賞を、生物学者として下村脩氏がノーベル化学賞を受賞しました。物理学の南部先生は「素粒子物理学における自発的相対性の破れの発見」、小林・益川先生は「小林・益川理論とCP相対性の破れの起源の発見による素粒子物理学への貢献」が、化学賞の下村先生は「緑色蛍光タンパク質の発見と生命科学への貢献」が受賞理由でした。

物理学をウィキペディアで検索してみると「自然界に見られる現象には、人間の恣意的な解釈に依らない普遍的な法則があると考え、自然界の現象とその性質を、物質とその間に働く相互作用によって理解すること(力学的理解)、および物質をより基本的な要素に還元して理解すること(原子論的理解)を目的とする。」とあります。近代のガリレイやニュートンの頃の物理学と比べると、マクロ的な目で見える現象から、ミクロ的な細分化され、深化した分野での研究が、世界最高峰と言われるノーベル賞の受賞原因なのでしょう。

「相対性の破れ」と言われても、何の事やら我々にはさっぱりと理解できません。しかし細分化された分野の理論が確立されることにより、隣接する分野での類似性などから、その分野での考え方、理論が確立できていくのでしょう。

「知」という学問の分野でも、古くからある物理学は、社会的な要求などから先鋭化、細分化され研究されてきました。この社会的要求からの細分化では、例えば「環境破壊」と言うキーワードで、同じ物理学の中でも流体力学や熱エネルギー、重力などとそれぞれの分野で切り口を替え、同じキーワードを研究し、理論を確立して行くのでしょうが、同一のキーワードを異なる分野で研究すると、単独の分野だけで研究するよりも、各分野の考えを横断的な視野で、構造的に見直した方が効率的でもあります。

生物学から学ぶ変化に強い企業」というタイトルで、以前ここのコラムにも書きましたが、変化する社会にビジネスも変化させる事に、仕事の多様化は避けて通れませんが、多様化し細分化する仕事も、他業種からの視点で見直すと、ビジネスとして可能性が出てくるかもしれません、今まで見慣れた方向だけではなく、他の業種も視野に入れた横断的な思考で、見直すことでヒントがつかめるかもしれません。

ダーウィンの進化論で公表した概念に「存在し続けるための努力」で、最も環境に適した形質をもつ個体が生存の機会を保障されるとされると言う考えがありますが、まさしく現在の企業にも当てはまる言葉だと思います。




〜の仕方を変えよう

コミュニケーションの方法は、個人から複数になった時点で始まりますが、フェイス・トゥー・フェイスで共通の言語で会話することから、絵を描いて伝えることなど、色々な方法が沢山あり、遠くの人とも郵便や電話など通信手段の進化で、より多くの物をより速くに伝えることが可能になってきました。

中でもインターネットの誕生と、ブロードバンドと言った通信インフラの整備は、今まであった通信手段の進化の中でも最も劇的に進化した物でしょう。一昔前までは大量の荷物を、人の手を借りて送らなければならなかった物も、荷物自体がデジタル化し、インターネット経由でやりとりが出来るようになりました。

仕事でもそうですよね、同じ会社内でしたら自社ネットワークで、社員同士コミュニケーションは取れますし、外部との連絡でもメールに添付したり、ファイル共有サービスを利用したりと、仕事の進め方も通信環境の進化と共に進化してきました。特にイントラネットなどで自社ネットワークを構築した場合、メールやファイル共有など、メインのサーバーをハブとして社員が情報を共有し、仕事にも効率よく活用できるようになっています。

一方Yahoo! やGoogleと言った、ポータルサイトでは無料でWebメールを提供するなど、新しいネットサービスを提供し始め、すでに利用されている方も沢山いらっしゃると思います。そんなサービスが個人と個人のコミュニケーションを、より一層強い物にしてくれています。

こういったコミュニケーションの変化が、今までのビジネスの特徴であった「集団と集団」から、「集団と個」または「個と個」と言った物に変化すると考えていますが、例えば私の仕事であるデザイン一つとっても、クライアントの意向を成し遂げるために、カメラマンあるいはイラストレーター、コピーライターなど、さまざまなスタッフと協力していかなければなりません。

しかも多くのスタッフは独立した事務所を構えていますので、やり慣れている仕事でしたら最初のミーティングだけ全員顔を合わせ、後はメールや電話で済ませることも出来るでしょうが、組織を一から作るプロジェクトなどでは、中心となるメンバー同士の深い意思疎通など、綿密な連絡とミーティングが必要になってきます。

そんなときに便利なサービスを一つご紹介しましょう、Googleが提供している「Google Apps」という無料Webサービス。例えばプロジェクト名でアカウントを取ってしまえば、参加するメンバー一人一人(200人まで)にメールアドレスを設定し、Web上のカレンダーやドキュメント(Wordと同じような物)をメンバーで共有し、スケジュールや情報の管理する事も出来ます、またメールは1 アドレスあたりサーバー上に約8GBの容量を割り当てられますので、ドキュメントをアップすることでストレージサービスも可能です。

使いこなすことでWeb上のグループウェア的な事も出来ますので、時間や場所の制約を限りなく小さくすることが出来ます。しかも年間(確か)10ドルで、独自ドメインの取得可能ですので、多くの外部スタッフをハンドリングする企業なども使い勝手が良いでしょう、すでに日本大学などは学生とのコミュニケーションにこのサービスを導入し、成功している例もあります。

今までの道具としてのコンピュータは、ソフトウェアと言う商品を購入しインストールする事で、スタンドアローンの状態でデータを処理してきましたが、これからは上記にあるGoogleのやっているような、ソフトウエアを商品として販売することでは無く、インターネットを通じ、アクセスしたサーバー側で利用者の求めるサービスを提供し、そのサービスに対して対価を払うと言った「クラウドコンピューティング」が主流になると考えられます。




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