RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

循環型社会で売るべき商品は

日本のお家芸であった製造業が在庫を抱え、物も売れずに四苦八苦している。
ついこの間までは大量生産、大量消費は美徳だった。
特に家電製品は壊れてしまっても、裏蓋さえない物が多くあり、壊れてしまったら次の新しい商品を買ってくれと、修理を前提に商品を作っていないようだ。
でも壊れてしまったからと、新しい製品を選ぶしかないのはブランドにとって、愛着は湧くのであろうか。
クルマでもバイクでもそうであるが、消耗品を取り替え、壊れたところを修理、または交換し、だんだんと自分仕様になっていった時に、そのメーカーやブランドに愛着が湧くのである。

我が家には子どもが三人おり、一番下は今年から中学生になる男の子である。
ご多分に漏れず携帯ゲーム機のファンであり、休日ともなればそれこそ朝から晩まで、いい加減にしなさいと言われてもゲームばかりしている。
使っているのは任天堂のDS、上のお兄ちゃんは同じDSのLightを使っているが、子どもの玩具である、大事に使えと言って聞く訳はない。
自転車のカゴに放り込んだまま、走り回り転んで放り出されたり、置いてあるのに気がつかず座ってしまったりと、道具としても限りなく乱雑に扱われている。

だから、メーカーに修理を依頼するのも、一度や二度では済んでいない、DSの前にはGBもそうであった。
任天堂がスゴイと感じるのは、メーカーとしてその製品作りが徹底している点なのかもしれない。
売っている製品は子どもが使うことを前提に設計・製造されている。
つまり遊んで壊すことを念頭に、修理しやすい製品を作っている。
けして一時期に大量に生産できるからと、修理のきかないノックダウンでは作らない、お客様に製品が出来るまで待っていただいている。
その替わり修理を依頼すれば完璧だ、ヒンジが折れ、液晶に傷が付き割れてしまっても修理してくれ、しかも子どもが貯めたお小遣いで支払えるよう、修理の上限が決まっているようだ。
今まで何度か修理に出してはいるが、¥5,000を越える金額を請求されることは、いまだに無い。

割れた外装を交換するなら、確か¥300ぐらいしかかからなかったし、壊れた機械に付いていたシールを丁寧に新しい外装に移植してくれていた。
こうゆう事をしてくれて愛着が湧かないわけがない、子どもよりも帰ってきた本体と金額を見て、感激するのは大人の方である。

輸出に依存していた製造業が、軒並み赤字に転落したニュースはまだ記憶に新しいが、円高になり今年3月期の決算を下方修正したにも係わらず、任天堂の営業利益は過去最高水準になるようである。
個人が使う道具として愛され、ブランドとして愛され、メーカーとして信頼されたからこその結果ではないのか。

クルマでも、レンタカーなどには愛着は湧かない、自分の物として長い間生活を共にするからこそ愛着が湧くのである。

大量生産・大量消費が美徳だった時代は過ぎ、物を大事に使い、捨てずにリサイクルを続ける循環型社会で求められる製品作りは、任天堂のように製品に愛着が湧き、ブランドとして愛されるメーカーではないだろうか。




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