RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

Designerプロとアマチュアの境界

PCの普及に伴うソフトウェアが普遍性を併せ持つようになってから、コモディティ化が速いスピードで進んできています。デザインのトレーニングを受けなくても、レイアウトする事が好きで、PCとソフトを使いこなすスキルを持てば、誰でもデザイナーになる事が出来る時代でもあります。

数年前まではプロとアマの境界はハッキリと、しかもかなり高い位置にあり、例えばグラフィックデザインでしたら印刷の原理から製版の仕方、文字の組み方から版下の作り方まで、そのスキルの一つが欠けるだけで、仕上がりに大きな差が出てしまいました。一つの物を作り上げるのに必要なスキルは基本的には現在も変わりはありませんが、OfficeなどのビジネスソフトではなくIllustratorなどのDTPソフトを使えば、その差も最小限に留める事が出来ます。

現在はWeb上にさまざまなコミュニティーが存在し、デザイナーが集まるコミュニティーには「デザイン募集」「ロゴマーク募集」などの書き込みも多く見受けられ、仕事の流れも簡単な物だったら今までのような代理店や制作会社を通した流れから、クライアントとデザイナーがダイレクトに繋がって簡単に依頼出来、しかも今までと比べると非常に安い金額で済む業務と、「ブランディング」や「マーケティング」などのコンセプトワークまでを含めた、きめ細やかな作業を必要とする業務へと、2極化へ変化してきたように感じます。

古くからこの仕事をしてきた私としては、クライアントとクリエイターのコミュニケーションを持たずに制作し、お手軽なポケットマネーみたいな安い金額で作れ、飽きてしまえばまた新しい人に新しい物を頼むと言った、消費されるデザインという物に違和感を感じますし、ブランディングと言った観点から判断すると、クライアントにとってマイナスの部分もあると感じます。

確かに仕事を見る上では、プロとアマチュアの仕事かは判断しにくくなって来ており、時代も手軽に提供出来る環境を必要としていて境界線も非常に曖昧です。

それではプロとアマチュアの境界とは何なんでしょうか、クライアントから制作を依頼され、その対価を頂く事がプロとアマチュアの境界なのでしょうか、それともビジュアルやコピーの大きさや位置について、コンセプトから導き出されたプライオリティーであると説明できることが境界なのでしょうか。

その境界の解釈について100人いれば100通りの考え方があると思いますが、私は「限られた条件の中でも最高の結果を出せるかどうか」ではないかと考えます。整った条件の中で制作するのは誰でも(多分)出来る事です。しかし時間や金額の条件が限られた場合でも、クライアントの求める物をキチンと制作できることがそのプロとアマチュアの境界と考えます。

そのためにクライアントとクリエイターはメールや電話だけではなく、実際に会ってコミュニケーションを取るなど、お互いが信頼出来る関係を構築する事は必要条件だと考えます。




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