RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

気がつくか否か。

私はアートディレクターという職種に就いていますが、例えばうちの子供達に「ねえ、お父さんって何の仕事しているの?」と聞かれると、広告やポスターのデザインのお仕事と言っていたが、ただ単に紙面を綺麗に人目を引くデザインレイアウトが仕事かと言うと、いささか違う。

バブルの頃、代理店と組んでコンペする時などは、代理店のマーケティング担当から「このくらいの年齢層のこのくらいのレベルの人達に向けアピール出来る広告を」など、ターゲットマーケティングから導き出されたビジュアルなどを探し出して、こんなんでどうでしょう。と出した案をコンペに参加した複数の代理店の案から、クライアントの戦略に一番ピタリときた物にお仕事が回ってくるという仕組みでしたし、今でもそうなのでしょうたぶん?。

でも今はその頃のように代理店の営業やマーケの人たちとチームを組んでのナショナルブランドや大手クライアント、大規模なキャンペーンの仕事は皆無。先日もお話をいただいたクライアントさんの企業案内パンフレットをプレゼンしてきましたが、どこをどうしたい、ここをああしたいと言ったリクエストは無く、次期パンフレットはどの様なものが相応しいのかを提案させてもらった。もちろん企画から各ページのデザインなど全て一人で、初めから最後まで。

最近の仕事ではまず最初に相手先のWeb Siteをくまなく覗き、その企業の立ち位置を確認、そのパンフレットがツールとして使われる年月の間、社会的に陳腐化しないで使い続けられるか。そのステークホルダーに何をどう伝えるべきかを想定し、情報を理解しやすいであろうセグメントに分け、それぞれの情報ボリュームを考えた上でページ構成を考える。そのページの見せ方・伝え方でどう見せると理解されやすいかを検証し、表にするかグラフにするかイラストがいいのか写真にすべきかを決め、写真ならばどの様な写真にするのか写真のエージェンシーで画像を探し、イラストを探し、グラフを作り地図を作る。

カンプが出来上がるまでどう頑張ってもひと月近くかかる、これに企画書つけてクライアントにプレゼンに行き、作ったカンプをたたき台に擦り合わせをし内容をさらに充実させ、さらに完成度を高くする。これがどんなにスムーズに進んでも、印刷入校までやはりひと月以上は掛かってしまう、一番大切なのは誰に対してナニを伝えるのかと言う点と、どこを問題としてどう注意して見ていくかの視点をクライアントと共に共通認識として持つこと。

間に代理店が入っていると、このクライアントとクリエイティブとの意思疎通が上手くいかない場合がまま有りますが、流石にクライアントと直に取引を始めたらそのような心配がなくなったのは当たり前か。

現在やっている仕事を振り返ってみると、グラフィック・デザイナーとして写真を決めたりイラストを探したり、レイアウトの作業をするのは全体の仕事の内せいぜい15%ぐらいだろうか、しかしデザインの仕事とはこのような物なのだろう、ただ綺麗にレイアウトされたものではなく、使う人が使い易い一つの道具として作る事が出来なければデザイナー失格だろう。

DTPオペレーターとデザイナーとの間はイコールではない、クライアント側で使われるようになった時に、道具として想定した仕事をこなすものが作れるか否かだ、これがオペレーションとデザインの違いだろうね。




便利だけれど、ちょっと怖いクラウドコンピューティング。

これからのビジネスを考えて行くに当たって、物を売っていくよりもサービスを売る方が伸びていくのではないか、例えばマイクロソフトがオフィスというソフトウェアを売るよりも、そのソフトで得ることの出来る成果をWeb上でサービスした方が、利益を生むのではないのかと、色々な企業が考え色々なサービスが生まれていますが、その中心にあるのがクラウドコンピューティングという技術。

一番有名で利用者も多いのがGoogleの提供しているサービス、G-Mailもそうですし、YouTubeやGoogleドキュメントやPicasaなんて言うのもそうです。MicrosoftでもWindows Liveで似通ったサービスを提供していますが、SkyDriveなんてサービス、Windows Liveのサーバーに1アカウントあたり25GBの容量を提供してくれており、画像や動画ファイルをメールに添付するのではなく、アップロードしたファイルを第三者と共有することでお互いが自由にそのファイルを利用できるなど、デザイナーやライターなど複数の人間でチームを組んでやる我々のような職業の人間としては、とても便利なサービスです。

中でもG-MailやHot-Mail、Yahoo!-Mailなどのメールサービスも、サーバーで保存できる容量が1アカウントあたり7GBと、あまり書類を添付しないユーザーならば、生涯メールの削除を考えなくても済むぐらいな大容量を提供してくれていますし、メールのデーターやアドレス帳などは全てデスクトップのPC上ではなく、サービスを提供しているサーバー上にあるので、会社や自宅、外出先の他人のPCやインターネットカフェ、携帯電話やi-Phoneなどの携帯デバイスからでも、場所や機器に左右されないサービスを提供してくれています。

もう一つ言われていることに「ソーシャルメディア・コミュニケーション」があり、mixiやTwitterと言ったサービスがよく知られ、実際に使われている方も多いでしょう。しかし単独でこのようなコミュニケーションに参加しても、誰も構ってくれなければつまらない物になってしまい、知り合いを検索するなど、実社会での知り合いをソーシャルメディア内で捜し出して、コミュニケーションを楽しみ、盛り上げようという考え方から、自分の使っているG-MailやYahoo!-Mailのアカウントに保存してあるメール情報のメールアドレスを照会し、コミュニケーション内で知り合いを捜し出す事もしてくれます。

本当に仲の良い人同士でしたら「やぁ、こちらでもよろしく」と一言で済んでしまいますが、あまり親しくない人でも一度メールのやり取りがあり、同じコミュニケーションに参加していれば、閲覧の制限がかけられていない情報は簡単に見ることが出来てしまいます。

例えば、私がいい年こいて若いグラビアアイドルのPVをYouTubeで見ていて、中でも特別露出の多いエッチな映像を「お気に入りに登録」していたとします。

実生活の仕事上で取引があるAさんのYahoo!のアドレス宛にメールを出したことがあり、AさんがYouTubeでネットワークから友達を捜すと私が「あなたの友達かも知れません」と表示され、私のアクティビティーでもお気に入りや、最近再生した映像から「仕事ではずいぶんと立派なことを言っているけれど、本音の所ではずいぶんと過激な映像がお好きなんですね」とAさんにばれてしまうのです。

ソーシャルメディアという今までとは違ったWeb上の社会では、こっそりと楽しんでいると思っていても、実はしっかり見られていたりするかも知れません、見た目と現実とでは違って見えるかも知れませんが、もし見てはいけない物を見てしまって、そのギャップに驚いても胸の奥に仕舞っておくのが大人の対応ですね。(笑

反対にプライベートでも同じような趣味を持っているとなれば、仕事上の付き合いだけではなく、プライベートとしても良いお付き合いに繋がることもありますので、一概に悪いこととは言えませんが、自分が知らないところで、第三者が自分のプライバシーに関するところをコッソリと立ち寄ることが出来るようになっている事もお忘れずに。




元気が無いと言われる車業界でも

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何だか国産も輸入車もクルマは売れていないようだし、トヨタのリコール問題も世界中で燃上しているし、ハイブリッド車じゃなければクルマじゃないと言いたげな社会的風潮もあるし、自分の財布の中身も空っぽだから今度こんなクルマが欲しいよな、なんて夢見ることすら無かったのだけど、今週から始まったジュネーブモーターショーで発表されたPininfarinaデザインのAlfa Romeoのコンセプトカー「2uettottanta」。

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なんと発音したらいいのか、頭の2はDをデザインした形でロゴがデザインされているから、「デュエッタンタ」になるのだろうか、人によってはラテンのクルマ、ましてやイタリア車なんて故障ばかりでまともに走らないんじゃ?といぶかしる方もいるだろうが、以前使っていたAlfa Romeoも今乗っているFIATも故障らしい故障は一度もなし。

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Alfa Romeoは一度乗ってみるととにかく運転が楽しい、スポーツカーではないただのセダンだが、幹線道路を走っている時の車線変更でさえ楽しいと感じる、今時稀有と言うかドライバーズカーです。

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今回発表されたコンセプトカーのディメンションは、排気量は1750cc+turboでボディーサイズはL=4,212.6mm W=1,797mm H=1,280mmでホィールベースは2,500mmと2シーターオープンのスタンダード的なマツダロードスターと比べても全長で192mm、幅で77mmと一回りくらい大きなサイズだけど、コンパクトで取り回しの良さそうなサイズ。

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排気量が2,000ccを下回る、現行スパイダーより一回りコンパクトな、バルケッタクラスのオープン2シーターが欲しかったんだよ。ぜひ市販車として登場して欲しいです、FIATさん。


それと最近発売になったクルマで、あれ?結構おしゃれで良いなぁと思ったのが、トヨタのPasso + Hana。

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シートはシックなファブリックでツートーン、インパネ周りも木目調などのプラスチックやクロームを使わず、色使いでグラフィカルにPOPに仕上げてある、まるでフランス車かランチア・イプシロンみたいに小洒落たクルマ。

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ボディーカラーも少しだけスモーキーさを加えたカラーに、ドアハンドルとかサイドミラーにシャンパンを使うなんてなかなかかっこいい、もう少しランチア・デルタやイプシロンみたいにルーフごと色を変えてしまうなど大胆な色使いでも良かったかもしれない。

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開発に携わったのも社内の20代の女性社員だったらしいが、インパネ辺りをもう少し作りこんだものにし、よく回る元気な1200cc・4気筒エンジン辺りで、ハイブリッドはいらないけどアイドリングストップと少し気の利いた足回りを用意出来れば、世代を超えたちょっと物にうるさい男性にも受けるのではないだろうか。

都内で使うにはジジイが乗っていてもオサレで様になるね、それもあまりだらしがない格好して乗るより、きちんとスーツ姿とかで乗りこなすとかなり行けると言うか、マヂに一台欲しくなりました。


技術革新は仕事の効率を上げたのか?

何を今さらでしょうが、家電製品でもクルマでもPCでも技術革新された商品は、旧来の製品と性能と言う尺度で比べると値段は下がります。二人で一日8時間働いてできる仕事であっても、とても性能の高い機械を使うことで一人が8時間で納めることが可能になったりします。その高い性能の機械がたくさんの製品に使われ、複合的に効率化が進むと一つの業種だけでなく、複数の業界を巻き込んだ広い範囲で雪崩を打ったように社会構造が変化してしまいます。

新聞・雑誌・放送と言った各メディアから、広告業界。もちろん印刷・グラフィックデザインを含む業界もその中に含まれ、仕事の合理化が図られ事業効率が高くなると共に、新聞や雑誌のモノクロページ用の写真をプリントしてくれるラボ屋や、写植屋とか版下を作る版下屋など、消えて言った職人と業種が沢山あります。

だからか15年前に出していた請求書の金額と、現在の金額では「写植代」「版下代」などの実費が計上されなくなったからか、売上に対する原価率が低くなり、殆どがデザイナーの人件費と家賃やリース料の固定費になってきました。そう「技術革新された商品は同じ性能で比べると価格が低くなる」です。カタログやPR誌などの制作費は15年前と比べるとヒトケタ位安く取引されているのではないでしょうか。

そのかわり、制作に携わるスタッフはライターさん一人きり、特別な撮影でない限り取材に行った足で話を聞いてメモを取り、鞄からデジカメとストロボを出して必要なものを撮影し、文章をまとめ、撮った画像と一緒にデザイナーへ渡して仕事終了。

デジタル機材の技術革新で仕事効率は驚くほど高くなりましたが、仕事の量自体は守備範囲が広がったことでかえって増えたような気もしますし、幾つかの業種自体が無くなり、その仕事に携わっていた人たちは、新たに別の仕事を探さなくてはいけなくなりました。仕事の効率が良くなったから、利益率が上がったのは確かですが、単純に外注費がカットされただけで豊かになったとは感じられません。

また、誰でもが機材を使いこなすスキルさえ持てば、そこそこの物は出来るようになりましたが、写真一つにしても露出さえ合っていれば、手ブレさえ無ければ良い写真かと言われれば、残念ながらNoと言うしかありません。

効率と言う名のもとに切り捨てた中に、どう撮影したらその紙面に合った良い写真になるのか、と言った技術者のノウハウも含まれていたようです。以前までは取材に行って伺った話を分り易く文章にすれば済んでいた仕事が、カメラを使ってキチンと撮影することまで求められるようになると、技術革新は便利になったのか、ただ忙しくなったのか判りませんね。

でもデザイナーの仕事としては確実に増えています。文中の漢字のかなの送りの統一(コピーライター)、FONTの購入(写植屋)、写真原稿のレタッチ(レタッチャー)、写真の切り抜き・色調整(製版屋)。などなど、以前は外注に出していたものも今は殆どのものがサービスとしてやらせていただいています。

これからも仕事の手数は増えて行くかもしれませんが、機材の技術革新で効率化できたように、それぞれの担当者が求められるスキルを上げ、事後処理や撮り直しなどの二重の手間を省くことも必要でしょうね。




グラフィックデザイナーの将来性は?

毎回ブログを書く時の一番のハードルはタイトルをどうするか、これでだいたい仕事しながらとか、他のサイトを覗いてみたりとか頭の中でこねくり回しながら無駄な時間を使い、あきらめ半分でキーボードを打つ。たぶん書く内容にピッタリとしたもっと良いタイトルがあるとは思うのだが、長年付き合った自分の頭のパフォーマンスからするとこんなところが妥当なのでしょうね。

20年前、日本はバブル経済で膨らむだけ膨らんだ経済価値がパンクした時、企業が無駄な広告や広報活動、メセナと言われた社会貢献活動から一斉に手を引いた時期があり、その時も我々の先輩方の多くが事務所を閉めたり、廃業したりしました。

この時の理由は「経済バブルが弾けたから」といたってシンプルですが、今も不景気と言われ、私の周りのデザイン事務所なども忙しくはしているものの景気の良い話は一つも聞こえてきません。理由はデザインと言う仕事がコモディティー化したから。

今まで大枚はたいて外注に出していた仕事が、何を表現すべきかを理解し、ソフトを扱えるスキルが有れば内制した方が効率は高くなります。それでは困るから継続して外注してくれと言うのでしたら、内制と変わらない安い費用で外注を受けるしか合理的な判断ができません。

外注を継続してもらい費用も以前と同じようにお付き合いいただくには、ただのデザイナーと言う価値以上のプラスアルファの付加価値が必要になります。その付加価値は何かと言うと「企業から求められているもの」に応える力。と言うことにに尽きるでしょう。

デザインしたものを代理店や印刷屋に入校し、広告や印刷物が納品されればデザイナーの仕事は終わりますが、デザインされたものはそれから見た人にメッセージを伝えることや、商品を買ってもらうと言った目的本来の仕事が始まります。デザイナーに求められる付加価値とはこの目的まで見越してデザイン出来る力と言って差し支えないと思います。

大きな規模で活動している広告代理店や制作プロダクションには以前からデザイナーやクリエイティブ・ディレクター、アート・ディレクターと言ったクリエイティブの人材以外にも、広報戦略としてのマーケティングやメディアプランニングをする部署などもありましたので、チームとして社会動向を考慮した提案も出来るのでしょうが、メーカーや販売のように大きな年間予算を組んで活動している企業以外、ディレクターと言うプランナー一人が社会的要求とのギャップに気づいて提案するのが現実的ではないでしょうか。

今までのデザイン事務所は、アルバイトや外注スタッフで大量に安価に効率化された仕事をする事務所か、付加価値を売りにする事務所の二極分化し、それ以外のデザイン事務所は淘汰されるのではないでしょうか。

ただし、クォリティーが高いデザイン作業はセンスやまぐれだけでは出来ません。繰り返しトレーニングされたリテラシーが必要とされ、それは外注だろうが内制だろうが変わりありませんので、内制を始めてみたもののクォリティーと制作効率の面で一定レベルに届かない場合は、外注の優れたスタッフに依頼するか、経験者をスタッフとして内部に呼び込むなど、若くて優秀なデザイナーには声がかかるでしょう。

でも、クォリティーの高さ=人的資産と理解するのに時間がかかるんだろうな。




情報の流れが変わったのは大歓迎!

私のいるグラフィックデザイン業界では主に広告の制作に携わる者と、雑誌の誌面をデザインするエディトリアルデザインに携わる者がいますが、表現する媒体となる新聞や雑誌と言うマスメディアがあることを前提に仕事が発生していたわけです。

しかしこの近年、人のマスメディア離れが顕著に見られ、多くの雑誌が休刊や廃刊に至り、新聞も広告収入の減少を嘆き、媒体を売る広告代理店さえ売上を大きく下げています。反対にブログやTwitterで個人が情報を自由に発信できる、ソーシャルメディアが台頭してきて色々な意見が聴ける事になり、事件や物事をなるべく公平な形で判断したいと思う人にとっては非常に嬉しい時代でしょう。しかし媒体が減る事=私たちグラフィックデザイナーの仕事が減ることですので、手放しに喜べることでは無いのですが、この数日マスメディアとソーシャルメディアのハイブリッドな?情報が入ってきて感じた事。気になるニュースは紙面の大きさや時間を気にせずに情報を短時間で入手でき、スムーズに判断が出来るようになったと実感しました。

ちょうど現在バンクーバーオリンピックが開催されていますが、前評判が高くメダルを有力視された選手が勝ったり負けたりすると、選手だけではなくコーチや元選手の方達が、客観的事実から事細かに解説してくれ、日が経つと週刊誌などで詳しく解説されるのが今までの報道パターンでした。

中には本人には別の理由があったかのもしれないのに、周りの判断や憶測で別の結論が一人歩きし始める事が有るのか、結構ある事ない事書かれたことでマスコミを嫌う人も中にはいらっしゃっるのも事実。

でも今は、選手がブログと言うソーシャルメディアを使って応援してくれる人と直接コミュニケーション取れています。印象的だったのがモーグルの上村愛子選手と、スノーボードの練習で転倒し試合を棄権した藤森由香選手。それとだらしがないと移動中の格好を批判され、反省が見られないとバッシングされた同じくスノーボードの國母選手

國母選手のものは本人のブログではありませんが、オリンピックと言うスポーツ大会は選手のためにあるのか、観客のためにあるのか、それとも国力を誇示するための道具なのかと、起きた事の本質を突いているようで考えさせられました。まっ、私個人的には男子中学生の息子二人をもつ身ですから、価値観のジェネレーションギャップとしか感じませんでしたので、騒ぎすぎとしか感じませんでしたけど。

それと同じくして世界各国でバッシングされていたトヨタ自動車のリコール問題、最初はアメリカで起きたレクサスのアクセルが戻らず、後付けされたフロアーマットが原因ではないかと、事故で亡くなられた方には大変失礼な言い方ですけれど火種は小さかったんですが、アッと言う間に炎上し、大きな社会問題にもなりました。でもね私自身車やバイクが好きでもあり、今までトヨタの作る自社製品に対しての厳しさも聞いておりましたので、報道されている記事からは問題の本質が伝わってこず、とても気になっていたりしました。

とはいえ私は一度もトヨタ車を所有したことはないんですけどね、でもアメリカで言われている大規模リコールと、日本で問題になったプリウスなどのハイブリッド車のリコール問題は別問題です。なのにテレビや新聞で流されるニュースはトヨタ問題として一元的に扱い、報道も分散的で事象の表面的なものに限られているようで、物理的な限界をもつマスメディアの欠点も見えましたし、いろんな方のWeb上の記事(※1)(※2)を見ると案外こんなところが問題の本質だったんだろうと。

それぞれのメディアの良いところ苦手なところを補完し合えば、いいとこ取りのメディアになるんではないかと考えるんですけどね、例えば紙や電子Bookと言われる媒体で定期購読してくれる読者には、現在一定期間しか公開していない新聞の記事を公開し、自社の記事はモチロンのことブログを含めた外部の関連記事にもリンクを張った、その記事についてのメディアポータルとなるサイトを作って行けば、ユーザーに受け入られると思うんですけどいかがなもんでしょうね。




若者は無知なのか? 世代間に継承されるべき知識の断絶か。

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先日お付き合いのある印刷屋さんから、専門誌に掲載する雑誌広告制作の話が来た。化粧品を扱う代理店と言う話なのだが、若い女性をターゲットとしたまだ若い会社らしく、直接会ったことはないが担当者も若い女性であるとしか情報は無かった。

大手化粧品メーカーではなく、若い世代の女性をターゲットにしたマーケティングと言うことで「ギャル」をターゲットマーケティングした広報戦略と直感し、あまりにも50歳のオッサンがデザインする価値観と差があるし、どうアプローチしたらいいのかも判らなかったので、断ろうと思ってもいたが、間に入る印刷屋は同年代で10年来の友人でも有ったので引き受けてみた。

先方の担当が考える広告の内容は、新商品の告知がメインで、従来商品も小さな扱いで構わないので入れて行くと言う考え。掲載する紙面のサイズはA-4/4C/1P、商品は色数の多さを見せて行きたいらしく、新商品で32色と従来の製品で31色。進行スケジュールは週の半ばにスタートし、納品は週明けの月曜日と結構タイトなもの。しかもビジュアルは「こんな感じ」と頭にはあるのだが、具体的な形は出来ていないらしい。

「こんな感じ」を聞くと、商品パッケージは金属のヘアラインを基調にしているので、色見本は金属製でヘアラインで出来た家具に並べてあるようにしたい。新製品の告知なので登場感を出すために、舞台で幕が開いたようなカーテンをイメージとして付けたい。カワイイ感じに見せたいので、商品の色になったテディベアのぬいぐるみが並んでいるように見せたい。

製作期間が土日を入れても実質3日と少ししか無いので、現実的なところでテディベアは3D-CGでぬいぐるみを作る時間はないので、FREEのカット集辺りから拾ってくるしか無い。棚も3D-CGは作る時間がないのでIllusutraterの効果フィルターで作り、ヘアラインの画像を貼り込むくらいか。舞台が開く感じのカーテンもレンタルフォトかぬいぐるみと同じようにFREEのカット集から拾ってくるか。

で、たたき台をチャッチャッと何点か作りpdfで送り、帰ってきた返事が、くまのぬいぐるみはもう少しフサフサと言う感じに、金属の家具はイタリアン調に、カーテンの写真、レンタルだとお金払わなければいけないの?。カット集からのものは、もっと豊かにドレープが揺れるような緞帳のようなカーテンに。

くまのぬいぐるみは新色の32色を並べるので、1つ大きくてもせいぜい1.5cm。これに製品の画像をマッピングしフサフサと言った感じのディティールを求めるのね。イタリア調の家具とは具体的にどんな感じなのでしょうか、それを作り上げる時間とお金は出るのでしょうか。レンタルフォト代の約6万円をケチるクライアントが、時間を掛けてイラレで作った物にお金を払ってくれるかが非常に心配。

一つの仕事を複数の人間が分担してスムーズに行うには、共通する項目に関して同じ認識を持っていないと前に進まない。今回の場合は雑誌の広告物なので、印刷に関する共通認識が必要だ。現在ではDTPと言う作るためのソフトと、レンタルフォトエージェンシーやロイヤリティーフリー画像など、その周辺のリテラシーがそれだ。

何とかお互いが摺り合わせをして良いものが出来ればいいのだろうが、あまりにも時間が無い上にリテラシー不足だったために、間に入る印刷屋さんが「なんだかヤバそうだから」と、一度引き受けたにもかかわらず断りの連絡を入れた。

今の若い世代は、こんな危うい仕事を当たり前のようにこなしているのでしょうか。

昨日、よく見に行くChikirinさんのブログの「若者、アウト!」を読んだが、私も若者との仕事でつまずき、その原因が彼ら若者のリテラシー不足と感じる事で、世代間に継承されるべき共通認識が途切れてしまっていると感じた。

若い頃は何でも勢いで生きていけるけれど、一度つまずいてしまうと起き上がるのに大変だから、転ばないように杖となるものを用意した方がいいよ。・・・その杖の用意の仕方が解らなければ教えてあげるから。




それは、昔には戻らないでしょう。

私たちが10代の頃は雑誌やミニコミ誌などの印刷物が流行をリードし、サブカルチャーとしての文化を創ってきました。情報の流通自体も新聞やテレビ、ラジオから映画館での上映などと今と比べると限られた物と言っても差し支えない程度でした。流通量が少ないから希少性があり、価値も高く、どの企業も喜んで大金を投入して発言の場を手に入れていました。

インターネットが社会に入り込み、人々の暮らしに根付いた今、情報の流通量は天文学的に増え、暮らしの一部となると情報に希少性は無くなり、その結果今まで水源に近かった情報源としてのマスメディアも、価値観が下がってしまい、現在はたたき売りのような状況ではないでしょうか。

流通する情報が上から流れてくる替わりに、沢山の人が共有するようになると、情報の水源地に変わってどんな物が価値を高めていったかというと、宝物のような情報を見つけることが出来る“検索”の価値が非常に高くなったと、共通認識として持たれていると思います。

情報は一部の人間や団体が所有し流す物ではなく、社会の一部になったと考えるべきなのでしょう。これが少し前からも言われだされている“ソーシャルメディア”ですね、そんなメディアの価値観さえ日ごとにスピードを増して変化しています。少し前まではBlogと言う形式で、起承転結を日記のような形の文章でコミュニケーションしていましたが、今はTwitterで、一言二言をタイムラインに並べることで、会話しているのに近いコミュニケーションが実現しています。

このようなメディアに変化があると言うことは、それを利用する側にも嗜好の変化があると考えるべきで、今では価値があると認識されていた芸術作品のような広告は、あまり評価されなくなったように感じます。

キャンペーンでもそんな重厚な広告作品一点だけの構成ではなく、POPでたのしでたのしで楽しそうなビジュアルに、キーワードとなるキャッチフレーズを入れ込み複数の作品で構成するキャンペーンの方が、ソーシャルメディアを使い慣れた人たちに受け入れられると考えます。

Webサイトでも同じようにワンビジュアルワンフレーズと言ったデザイン優先の構成よりも、必要と思われる情報を選びやすいように整理し、インデックス化したものを必ず入れ込むなどの工夫も必要だと思います。このBlogもそうですうが、サイトもそろそろ改修の時期です、全面的に見直して改修しなくてはいけませんね。




「松丸本舗」に流通業の未来を見た。

商品に対する意識が変わったのか、オフィスなどで使う文房具などは電話一本で購入出来る、安いカタログショッピングに移行してしまい、個人の文房具はおしゃれであるとか可愛いであるとか、文房具に求められる機能よりも付加価値を求められるからか、大型店舗に集約してしまい街中の、いわゆる文房具屋さんは殆ど見られなくなってしまいました。

多少の商品ならばスーパーやコンビニでも、無印良品のような生活雑貨のお店でも購入できますが、必要な時にすぐに手に入れなければならないときは非常に不便。

今は通勤途中のターミナルに「丸善」が有り、文具コーナーも広くとってあるので、本棚に並んだ本を眺めながら目的の文房具を購入したりしていました。昨年末から特設コーナーで「松丸本舗」と言う催し物があることは店内の告知にも有りましたので知ってはいましたが、どうせいつものいくつかの本棚を島状に並べただけの特設コーナーだと高を括って見に行ってはいませんでした。

ぜひリンク先の丸善のニュースリリースにある店内の写真を見てください、本当はそのスペース感を理解するためにその場の本棚の高さや通路の広さ、訴えかけるように並べられレイアウトされた本のボリューム感など、ただ本があると言うだけではなく一人のセグメントでより分けられ、積み重ねられた圧倒的な意志のようなものが感じられます。

そう、このショップ・イン・ショップを丸善と共にプロデュースした、松岡正剛さん個人の書斎に紛れ込んで、その知識の断片をのぞき見しているようなプライベートな感覚が感じられます。


先に書いた文房具もそうですが、定番と言われる商品に関しては、徹底的に効率化し、自宅にや事務所にいても配達してくれるようなシステムか、多くの商品を手にとり、比較購買出来るような大規模な店が生き残り、今までのようにただ商品を並べるだけの、コレといって特徴を出せなかったお店ではたまに消耗品が切れたお客さんが買いに来てくれるくらいな、活気に乏しいお店=やがて廃業が現在の状況なのでしょうか。

先週でしたか、有楽町の西武百貨店と、京都の阪急百貨店が店をたたむと言うニュースが入ってきました。百貨店と言う商売の仕方が、現在の社会に求められているものから離れてしまい、商構造のリストラクチャリングの時期に来ているのでしょう。普遍的品揃えは高効率化され、流通チャネルも別なものとして一つの流れが出来上がってきています。そんなチャネルに飛び込むか、コモディタイズされていない高付加価値を持った商品を扱うようにするのか、または「松丸本舗」のように一つ一つは普遍的な商品でも、バイヤーの意思統一されたストーリを買いながら楽しめる、エンターテインメントショッピングを深堀した売り方にするのか。

今後流通業が生き残っていくためにはこんなシナリオが考えられるのではと、あの本に囲まれるプライベート空間を思わせる居心地の良さを体感し、感じました。




アイデアの方向性が変わったよなぁ。

物を売るための広告を制作しています。企業がステークホルダーとのコミュニケーションとして、ポスターや新聞広告、プロモーションツールなど、色々な媒体で表現する方法や仕組みを考え、どのような表現の仕方が見る人に共感されるのかと視点を変え、切り口を変えたアイディアをいくつも出し、それにそったビジュアルを探し出して一つの作品に仕上げていました。

メインとなるビジュアルは写真家の〇〇先生に撮影してもらうとか、イラストレーターの誰々さんにあんなものをモチーフに描いてもらうなど、広告が持つ目的に合ったビジュアルを探し出し、組み合わせるのがアートディレクターの仕事です。

ひとつの職域としてもちろん現在でも多くの方が広告の仕事をされていますが、ただ広告と言っても商品やサービスなどを知ってもらい、購入または利用してもらい売上を伸ばすと言う、商品やサービスを売るための営業の一環でもあるわけで、制作する側は見てくれる人に良い印象を持ってもらい、その商品を購入したいと思ってもらう。と言う大きな目的が有りました。

しかし広告を作るのには制作に係る費用はもちろん、その広告を載せる媒体(メディア)が必要で、雑誌や新聞、テレビなどのスペースや時間を購入して広告を出していましけど、Webと言う環境が無い頃は、広告代理店から媒体を購入して広告を出すのが一番合理的な方法で、企業も広告費として莫大と言えるほどの予算を組んでいました。

メディアを使った広告以外と言っても、雑誌やテレビ番組で広告と言う枠ではなく、記事や番組の中で宣伝してもらうペイドパブリシティくらいで、様々なメディアを横断したプロモーションを行うと言った、マルチメディア戦略などは、お金を持った大企業だけが取れる広告戦略でした。

雑誌や新聞などはページと言ったスペースに限界が有りましたし、テレビにしても時間と言う限界が有りました。しかしWebと言うインフラが整い、コミュニケーションメディアとして社会に定着してみると、スペースや時間と言った限界はもとより、媒体料をほとんど無料に近い金額で提供する環境ができ、メディアと言う垣根がひとつ外れました。垣根が外れたと言ってもマスメディアとWebはイコールでは有りませんので、同じ効果は有りませんし使い方も違っています。

そう、垣根が外れ、新しい世界で何か出来るのではないかと、広告代理店をはじめとする今まで広告を扱っていた企業から果てはGoogleまで、色々な手法が現れ、どんな効果があるのかの実験をしながら広告をして行くような、混沌と言うかカオスと言うか、でも検索技術を元にしたGoogleのマッチング広告は成功しましたね。

新しい、誰も体験しなかったメディアが出来たことであれやこれやと試行錯誤して行くうちに、物を売りたいと思う企業側も色々な事が分かってきたのでしょうか、広告だけが物を売るためのプロモーションではないと。例えばほとんど無料に近いWebと言うメディアを使い、買ってもらいたい、と思われる人(見込み客)が求めるようなサービスを無料で提供し、参加した人が楽しむと同時に購入する動機づけをする。昨年一月にこのブログのエントリーに書いたSONYハンディーカムのプロモーションは、そんなWebと広告の機能をうまく使い分けた良いプロモーションでした。

広告を見てもらい、自分のライフスタイルや心情と重ねあわせることで共感を得、その商品を購入してもらうと言った広告は最近あまり見なくなりました。そちらを突き詰めてビジュアルや広告の質を高くするよりも、広告以外のところで見込み客とコミュニケーションをとり、購入につなげる方が費用対効果が見えやすいのかもしれません。

なんだかアートディレクターや、クリエイティブディレクターと言った以前から広告を創ってきた専門職よりも、何をどうやって遊ぶと面白いんんじゃない?、と言うような優秀なプランナーの方が、今は求められているのかな?。




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