RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

グラフィックデザイナーの将来性は?

毎回ブログを書く時の一番のハードルはタイトルをどうするか、これでだいたい仕事しながらとか、他のサイトを覗いてみたりとか頭の中でこねくり回しながら無駄な時間を使い、あきらめ半分でキーボードを打つ。たぶん書く内容にピッタリとしたもっと良いタイトルがあるとは思うのだが、長年付き合った自分の頭のパフォーマンスからするとこんなところが妥当なのでしょうね。

20年前、日本はバブル経済で膨らむだけ膨らんだ経済価値がパンクした時、企業が無駄な広告や広報活動、メセナと言われた社会貢献活動から一斉に手を引いた時期があり、その時も我々の先輩方の多くが事務所を閉めたり、廃業したりしました。

この時の理由は「経済バブルが弾けたから」といたってシンプルですが、今も不景気と言われ、私の周りのデザイン事務所なども忙しくはしているものの景気の良い話は一つも聞こえてきません。理由はデザインと言う仕事がコモディティー化したから。

今まで大枚はたいて外注に出していた仕事が、何を表現すべきかを理解し、ソフトを扱えるスキルが有れば内制した方が効率は高くなります。それでは困るから継続して外注してくれと言うのでしたら、内制と変わらない安い費用で外注を受けるしか合理的な判断ができません。

外注を継続してもらい費用も以前と同じようにお付き合いいただくには、ただのデザイナーと言う価値以上のプラスアルファの付加価値が必要になります。その付加価値は何かと言うと「企業から求められているもの」に応える力。と言うことにに尽きるでしょう。

デザインしたものを代理店や印刷屋に入校し、広告や印刷物が納品されればデザイナーの仕事は終わりますが、デザインされたものはそれから見た人にメッセージを伝えることや、商品を買ってもらうと言った目的本来の仕事が始まります。デザイナーに求められる付加価値とはこの目的まで見越してデザイン出来る力と言って差し支えないと思います。

大きな規模で活動している広告代理店や制作プロダクションには以前からデザイナーやクリエイティブ・ディレクター、アート・ディレクターと言ったクリエイティブの人材以外にも、広報戦略としてのマーケティングやメディアプランニングをする部署などもありましたので、チームとして社会動向を考慮した提案も出来るのでしょうが、メーカーや販売のように大きな年間予算を組んで活動している企業以外、ディレクターと言うプランナー一人が社会的要求とのギャップに気づいて提案するのが現実的ではないでしょうか。

今までのデザイン事務所は、アルバイトや外注スタッフで大量に安価に効率化された仕事をする事務所か、付加価値を売りにする事務所の二極分化し、それ以外のデザイン事務所は淘汰されるのではないでしょうか。

ただし、クォリティーが高いデザイン作業はセンスやまぐれだけでは出来ません。繰り返しトレーニングされたリテラシーが必要とされ、それは外注だろうが内制だろうが変わりありませんので、内制を始めてみたもののクォリティーと制作効率の面で一定レベルに届かない場合は、外注の優れたスタッフに依頼するか、経験者をスタッフとして内部に呼び込むなど、若くて優秀なデザイナーには声がかかるでしょう。

でも、クォリティーの高さ=人的資産と理解するのに時間がかかるんだろうな。




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