RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

若者は無知なのか? 世代間に継承されるべき知識の断絶か。

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先日お付き合いのある印刷屋さんから、専門誌に掲載する雑誌広告制作の話が来た。化粧品を扱う代理店と言う話なのだが、若い女性をターゲットとしたまだ若い会社らしく、直接会ったことはないが担当者も若い女性であるとしか情報は無かった。

大手化粧品メーカーではなく、若い世代の女性をターゲットにしたマーケティングと言うことで「ギャル」をターゲットマーケティングした広報戦略と直感し、あまりにも50歳のオッサンがデザインする価値観と差があるし、どうアプローチしたらいいのかも判らなかったので、断ろうと思ってもいたが、間に入る印刷屋は同年代で10年来の友人でも有ったので引き受けてみた。

先方の担当が考える広告の内容は、新商品の告知がメインで、従来商品も小さな扱いで構わないので入れて行くと言う考え。掲載する紙面のサイズはA-4/4C/1P、商品は色数の多さを見せて行きたいらしく、新商品で32色と従来の製品で31色。進行スケジュールは週の半ばにスタートし、納品は週明けの月曜日と結構タイトなもの。しかもビジュアルは「こんな感じ」と頭にはあるのだが、具体的な形は出来ていないらしい。

「こんな感じ」を聞くと、商品パッケージは金属のヘアラインを基調にしているので、色見本は金属製でヘアラインで出来た家具に並べてあるようにしたい。新製品の告知なので登場感を出すために、舞台で幕が開いたようなカーテンをイメージとして付けたい。カワイイ感じに見せたいので、商品の色になったテディベアのぬいぐるみが並んでいるように見せたい。

製作期間が土日を入れても実質3日と少ししか無いので、現実的なところでテディベアは3D-CGでぬいぐるみを作る時間はないので、FREEのカット集辺りから拾ってくるしか無い。棚も3D-CGは作る時間がないのでIllusutraterの効果フィルターで作り、ヘアラインの画像を貼り込むくらいか。舞台が開く感じのカーテンもレンタルフォトかぬいぐるみと同じようにFREEのカット集から拾ってくるか。

で、たたき台をチャッチャッと何点か作りpdfで送り、帰ってきた返事が、くまのぬいぐるみはもう少しフサフサと言う感じに、金属の家具はイタリアン調に、カーテンの写真、レンタルだとお金払わなければいけないの?。カット集からのものは、もっと豊かにドレープが揺れるような緞帳のようなカーテンに。

くまのぬいぐるみは新色の32色を並べるので、1つ大きくてもせいぜい1.5cm。これに製品の画像をマッピングしフサフサと言った感じのディティールを求めるのね。イタリア調の家具とは具体的にどんな感じなのでしょうか、それを作り上げる時間とお金は出るのでしょうか。レンタルフォト代の約6万円をケチるクライアントが、時間を掛けてイラレで作った物にお金を払ってくれるかが非常に心配。

一つの仕事を複数の人間が分担してスムーズに行うには、共通する項目に関して同じ認識を持っていないと前に進まない。今回の場合は雑誌の広告物なので、印刷に関する共通認識が必要だ。現在ではDTPと言う作るためのソフトと、レンタルフォトエージェンシーやロイヤリティーフリー画像など、その周辺のリテラシーがそれだ。

何とかお互いが摺り合わせをして良いものが出来ればいいのだろうが、あまりにも時間が無い上にリテラシー不足だったために、間に入る印刷屋さんが「なんだかヤバそうだから」と、一度引き受けたにもかかわらず断りの連絡を入れた。

今の若い世代は、こんな危うい仕事を当たり前のようにこなしているのでしょうか。

昨日、よく見に行くChikirinさんのブログの「若者、アウト!」を読んだが、私も若者との仕事でつまずき、その原因が彼ら若者のリテラシー不足と感じる事で、世代間に継承されるべき共通認識が途切れてしまっていると感じた。

若い頃は何でも勢いで生きていけるけれど、一度つまずいてしまうと起き上がるのに大変だから、転ばないように杖となるものを用意した方がいいよ。・・・その杖の用意の仕方が解らなければ教えてあげるから。




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