RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

「松丸本舗」に流通業の未来を見た。

商品に対する意識が変わったのか、オフィスなどで使う文房具などは電話一本で購入出来る、安いカタログショッピングに移行してしまい、個人の文房具はおしゃれであるとか可愛いであるとか、文房具に求められる機能よりも付加価値を求められるからか、大型店舗に集約してしまい街中の、いわゆる文房具屋さんは殆ど見られなくなってしまいました。

多少の商品ならばスーパーやコンビニでも、無印良品のような生活雑貨のお店でも購入できますが、必要な時にすぐに手に入れなければならないときは非常に不便。

今は通勤途中のターミナルに「丸善」が有り、文具コーナーも広くとってあるので、本棚に並んだ本を眺めながら目的の文房具を購入したりしていました。昨年末から特設コーナーで「松丸本舗」と言う催し物があることは店内の告知にも有りましたので知ってはいましたが、どうせいつものいくつかの本棚を島状に並べただけの特設コーナーだと高を括って見に行ってはいませんでした。

ぜひリンク先の丸善のニュースリリースにある店内の写真を見てください、本当はそのスペース感を理解するためにその場の本棚の高さや通路の広さ、訴えかけるように並べられレイアウトされた本のボリューム感など、ただ本があると言うだけではなく一人のセグメントでより分けられ、積み重ねられた圧倒的な意志のようなものが感じられます。

そう、このショップ・イン・ショップを丸善と共にプロデュースした、松岡正剛さん個人の書斎に紛れ込んで、その知識の断片をのぞき見しているようなプライベートな感覚が感じられます。


先に書いた文房具もそうですが、定番と言われる商品に関しては、徹底的に効率化し、自宅にや事務所にいても配達してくれるようなシステムか、多くの商品を手にとり、比較購買出来るような大規模な店が生き残り、今までのようにただ商品を並べるだけの、コレといって特徴を出せなかったお店ではたまに消耗品が切れたお客さんが買いに来てくれるくらいな、活気に乏しいお店=やがて廃業が現在の状況なのでしょうか。

先週でしたか、有楽町の西武百貨店と、京都の阪急百貨店が店をたたむと言うニュースが入ってきました。百貨店と言う商売の仕方が、現在の社会に求められているものから離れてしまい、商構造のリストラクチャリングの時期に来ているのでしょう。普遍的品揃えは高効率化され、流通チャネルも別なものとして一つの流れが出来上がってきています。そんなチャネルに飛び込むか、コモディタイズされていない高付加価値を持った商品を扱うようにするのか、または「松丸本舗」のように一つ一つは普遍的な商品でも、バイヤーの意思統一されたストーリを買いながら楽しめる、エンターテインメントショッピングを深堀した売り方にするのか。

今後流通業が生き残っていくためにはこんなシナリオが考えられるのではと、あの本に囲まれるプライベート空間を思わせる居心地の良さを体感し、感じました。




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