久しぶりに「文字の力」を感じたコピーに出会った
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- by virbius
- 2009/11/26 Thu 13:20
一昔前に「コピーライターの時代」とか言われ、糸井さんとか仲畑さんとか、広告制作のコピーライターがずいぶんともて囃された時がありました。その頃スタープレーヤーと言われたコピーライターたちの仕事は、キャッチコピー一行100万円なんて事もまことしやかに伝わっていましたが、クリエイティブディレクターとして広告全体をディレクションすれば、そんな金額もあながち嘘ではなかったと思います。
そんな時代から現在ではWebという情報流通の環境が変わり、流通量が大きく変化するにつれ、文字という情報の単価が低くなったのか、広告のコピーを含め、見る人にメッセージを残すようなインパクトの強い広告が少なくなったと感じていました。
でも、今日乗った東海道線で読売新聞の中吊り広告を見て、久しぶりに良い広告だと感じた。
ビジュアルは一人寂しく座る教室の写真に、少し長めのコピーが付く。
ひとの心を傷つけて
喜ぶ心さびしき者に
聞く耳はなかろうから、
中傷された君に言う。
蠅たちの集まりでは、
蝶も「キモイ」と
陰口をたたかれるだろう。
心ない者たちのうちにも
自分と同じ美しさを探しつつ、
君はひとり、
大人になればいい。
多分コピーライターが書いた物ではないのだろうが、見る人に元気を与えてくれる応援歌のように聞こえる。もちろん子供が出てきて「いじめ」の問題を扱っていることはよく分かるが、この広告はその当事者である子供たちに対して直接語りかけるメッセージではない。読売新聞という一企業が新聞という商品のイメージアップを狙って出した広告だ。
情報を発信するメディアとして、社会の事象をどのように受け取り、それをどのように社会に伝えていくか、オピニオンリーダーとして共感され、認められる事をしているのかという、自分の力を社会に問いただす広告でもあると思う。
けしてお金も掛かってはいない地味とも言える広告だが、もしこの広告がシリーズ広告だとしたら次はどんな切り口で持ってくるのだろうか、興味津々です。
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