RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

その道のPROでなくても。

道具としてのPCやデジタル機器はハードとソフトを併せ、この10年くらいにとても進化していて、それまではその専門知識やスキルがなければ出来なかった事が、道具として使いこなすスキルがあれば色々な事が出来るようになりました。例えば一デザイナーが写真を美しく撮るスキルを持っていれば、デジカメ一つで撮影から印刷原稿まで作れますし、その反対に製版を理解していればカメラマンが印刷原稿を作る事が出来るように、職域の壁はチャレンジする気持さえあればとても低い物になってきました。

グラフィックデザイナーでも昔から文章が上手い人はコピーも書いたし、写真撮影が上手い人は撮影もして仕事に生かしていました。私はグラフィックの、ファッションの、インダストリアルのと専門分野を主張して壁を作るのは、日本には昔からその職業がなかったからでしょうか。

ヨーロッパなどでは建築家がインダストリアルデザインをしたり、グラフィックデザインをしたり、職業人以前にクリエーターとして活動されている方が多く見受けられるように感じます。

いや、日本人デザイナーでもいますよ、私の回りにもたくさんと。その中でも学校から同級生で、今も一緒の建物で仕事している友人は、生活で感じていた不便から思いついた商品を、型から起こし、中国に量産を依頼して製品にすると言う、よくぞ一人で作り上げたと、その情熱の爪の垢でも煎じて飲みたいくらい(あまり誉めると頭に乗るのでここまで・・・笑)。

一軒家を大手住宅メーカーなどで建てた場合、スペースの問題で意外と蔑ろにされてしまうのがトイレ内の収納スペース。特にマンションなどでは掃除用具をいれたら、後は何もいれるスペースがなくなった。と言うお宅や事務所をよく見ていましたが、彼が創ったのはそのトイレットペーパーを効率的に収納する道具で、トイレットペーパー・ロールハンガーと言っている物です。



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パッケージングからデザインまで、非常によく考えられているので許可をもらって公表します。



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パーツは2つに分かれていて環になっている「Oパーツ」と、パッケージにはそのパーツの中に入って収まっている「Iパーツ」で、ヒモで結ばれており、壁に付けたフックに「Iパーツ」を掛け、トイレットペーパーを壁から吊す。「Oパーツ」には一対の小さな羽が付いており、トイレットペーパが勝手に下に落ちないようストッパーになっている。必要な時には「Oパーツ」を軽く握る事でストッパーがロールの芯より小さくなるために落ちてくるのだが、羽が反発で広がろうとするために、いきなり落ちては来ないし、次のロールはちゃんとストッパーで止まる。



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製品というのは求められる機能がシンプルに働けば働くほど効率は良い。

この製品は驚くほどシンプルだが、期待に応える機能を持っている。大きなメーカーの製品ではなくてもヒットしそうな機能だと思うが、良くもまぁ、多分自分がトイレに座っている時に必要だったから思いついたアイディアからこんな製品を作り出すなんて。

このアイディアいける!と自分でも思ったのだろうが、作った以上成功して欲しいものだ。




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