RISE weblog

RISE Productionアートディレクターの佐藤です、仕事上で感じた事からプライベートな事まで、こちらのブログに書いていこうと思います。

広報実務 Part. 1 制作のプロとして

最近仕事をしていて感じたことが在る。

私らが広告代理店の皆さんと一緒にお仕事していた2〜30年ほど前、クライアントと制作(クリエイティブ・デザイナー)との間で広報物の目指す方向を定め、制作担当者にそのベクトルを指示してくれる営業、英文の肩書でアカウント・エクゼクティブと言われたプロとしての自覚を持ったマネージャーが居なくなったな、と感じる。

なぜそのように感じるかというと、仕事の打ち合わせに行くのだが、広報担当者の制作依頼者へのヒアリングが甘く、作業の出戻りが非常に多い。

ちなみにその仕事の環境を説明すると、私は印刷物に関するアートディレクションとデザインの制作を請け負っている。クライアントの窓口は広報担当部署の人間で、そこの法人の印刷メディア・Webメディアを含め、クライアント側の立場を代弁する部署の人間である。

その部署はできてまだ日は浅いが、トップは元大手広告代理店でイベントを仕切る部署に居た人で、実働のスタッフは他に二人ばかりおり、事務部門を充実させるために中途採用されたスタッフだ。仕事の内容としては印刷物・Web共に、そこの法人全体の広報物ばかりでなく、単独の部署でも独自の広報物を作っている。外部から見る限り、年間扱う制作費は2,000万円程度といったところだろうか?。

広報物の殆どは商品を売りたいとか、お客を呼びたいとか、イメージを上げたいとか何かしらの目的を持ち、その手段として制作物が存在する。手段としての戦略に乗るからこそ、表現を考えるクリエーターの頭のなかはかなりロジカルなものだ。プロとして、そんな思考回路も一朝一夕に出来上がるものではなく、専門職として仕事をしていても、一人前と認められるまでに時間はそこそこ掛かる。

そんなロジックを順序立てて口で説明できるようになるのに、訓練した者が何年もかけて修得するものを、どんなものを作るのか、広報担当者が制作依頼者にお伺いを立てても、答えなんか返ってくるわけがない。

営業用のツールとして、チラシを作りたい。DMが欲しい、パンフレットが必要だ。と言われれば、どんな人に対してどのようなアプローチと仕掛けの広報物なのか、作りたいからその人に聞きに行くけど、作りたいからその人の頭に確固とした広報物のイメージが有るなんて考える事自体、制作のマネージメントをする担当者の怠慢だ。
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