- 2009/11/27 Fri
- お仕事関連 > ストラテジー
今まで何度か情報の流通量が、この数年間で天文学的とも言われるほど増えたから、お店や企業はステークホルダーとのコミュニケーションをいっそう深めるためにも、企業戦略には広報という考え方が重要になってきたと書いてきましたが、なぜ情報量が増えた結果として、コミュニケーションを深めなければいけないのか、感覚としては理解して活動していましたが、それは決して目的ではなく手段としての方便で、顧客に対して嘘をつくなとか順法精神を大切にしろとか、要は企業経営に対してコンプライアンスやコーポレートガバナンスという考え方が大事で、企業経営に反映され活動していても、本質的な目的を明文化して「これこれこうだから必要なのだ」という明確な言葉として理由を持てずにいました。
先日たまたま目にした神戸女学院大学教授の内田樹さんのブログでなるほどな、と手を打つキーワードがありましたので、紹介させていただきます。
人間って動物は群れの中で生活する動物だから、仲間はずれにされる事を嫌う。この事から所属する社会(グループ)の中で悪とされる事は避けて通り、誉められる事を進んで行う傾向がある。つまりその商品を購入する事で罪悪感を感じる商品は売れず、購入する事が善行と感じられる商品が売れる事になると言う「ギルティーフリー」のマーケティング。
この社会(グループ)は、求めているコンシュマー層なので、年齢や嗜好によって変化するターゲット層によっては善と悪は反転するかもしれませんので、百のターゲット層があれば百の答えがあり、けして答えは一つではありません。具体的に言うと環境に対して負荷の低い商品であるとか、健康に被害をもたらす素材を使わない体に優しい商品であるとか、貧しい国の労働者から搾取するような形で商品を輸入しない、フェアトレードの商品であるなど、社会的に見て認められる物なのか、認められない物なのかの判断による物です。
この内田さんのブログでは「ギルティーフリー」と「サスティナブル」マーケティングを紹介していますが、現在「サスティナブル」に関しては「ギルティーフリー」と言う考え方の一つに含まれていると考えて差し支えないと思いますので、ステークホルダーに対しコミュニケーションをとる目的は、我が社の商品・サービスの全ては「ギルティーフリー」である。と言う事を伝えるために活動することですが、分かり易くコンプライアンスやコーポレートガバナンスと言った方が「企業として必要な事」として理解されやすいと思います。
商品に関する広告は今まで、テレビや新聞と言ったメディアに掲載する事で成り立ってきましたが、長く続ける事はけして安くない媒体料金が掛かるという事と、見る人に飽きられるという観点から、鮮やかな印象を短期間で与えるということに力点が置かれて来ました。
しかし広報(PR)による「ギルティーフリー」で良い企業というイメージを伝えるのは、短期間で行う物ではなく、体質改善のように規則正しい生活から健康な体が生まれると言うような、長い時間を掛けてのイメージの構築のほうが必要で適切な方法と感じます。
この様な目的に合うメディアはWebを中心に、なるべく多くの情報を開示していく事が必要で、製品や使う素材の安全性を説明したり、同じタイプで比較して製品の優秀性をアピールしたり、表面的な印象だけでなく、深く理解してもらうために機能の説明をしたりしています。
比較的規模の小さい企業では、親近感を伝える目的もあると思いますが、担当者や管理者、または社長のブログなどリンクされていて覗いてみたりしますが、お世辞にも読んで面白いと感じるブログは少なく、苦労して素材を探して書いているにもかかわらず、本当にこのブログがイメージアップに繋がるのだろうかと感じる物も少なくありません。
そんな時はひとつ、自社の製品でも企業体質でも管理者の考え方でも、社会に対し我が社は「ギルティーフリー」であると言う切り口でブログを書いてみてはいかがでしょうか、きっと社長の苦労話よりはイメージアップに繋がると思うのですが、いかがでしょうか。
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