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誰でもがツールを作れる時代になったけど。

お店の中

今年の春から自宅近所で営業している、知り合いのネパール人の経営する飲食店のお手伝いしています。お店の中で料理を運んだり、とかではなく、こんな料理出してみたら、とか、この料理はこんな売り方もあるんじゃない、など、お店の中で見たことで改善したほうがお客様に喜んでいただけるんじゃないかということを、第三者の目で客観的に伝え、改善していく目的で。

そんな事を半年も続けていくと、毎日ルーティーンワークで働く彼達では気がつかない点があるようで、多少重宝されているようです。

お店のある街は私が生まれ育った街で、地味な商店街がある程度の小さな町で、買い物やちょっとした飲み食いは電車で5分ほど行った大きな繁華街のあるターミナル駅へ行ってしまい、特に昼間は子供とお年寄りが多く、商店街もあまり人通りも無いので寂しく、そこで飲食店として商売するには結構大変な場所だと思います。

そんな場所にあるお店ですから、大手を振って繁盛店とは言えませんので広告などの宣伝費にはお金も使えません。だからお金をかけずに地域の人達にためらい無く入店でき、今あるものを有効に使ってくつろいで頂けるような店作りを目指して意見交換しています。出来れば内装や照明などのインテリアやエントランス周りも手を入れたいところですが、それは売上も向上した上でしかるべき時期が来てから。

知り合いの店舗経営者の考えとして、食事を出すだけでなく、夜はお酒もカジュアルに楽しんでもらえるような居酒屋をイメージしていましたが、居酒屋と同じようなメニューを揃えても、近所の本家居酒屋に値段でも負けてしまうので、そのお店らしい特徴のある料理で「先ずはこれ喰っとけ」的なメニューをつくり、居酒屋として来てくれるお客さんの「ハッピーアワー」として、飲み物とセットに成ったスタートセットメニューを作るなど、メニューの内容を整理しようとなりました。

その整理したメニューをきちんとお客様に伝えるために、メニューブックを作り替えることと、告知のためのフライヤーを作ることになり、今までも料理の写真は知人が自らコンパクトデジカメで撮影してきたのだけど、寒くなる時期に向かっての料理なので、暖かく美味しそうな湯気が立つようなシズル感が欲しく、今ある写真を撮り直すことになった。

自分が店で料理を提供している側からすれば、お客様に提供する料理のリアルな写真を撮ればいいと考えているようだけど、表現する側から言えば嘘は言えないけれど美味しく見せるための少しの嘘は有ってしかるべきで、例えばビールなどは泡の量を適量に見せるために食塩を入れて調整したり、グラスの周りに水滴を霧吹で吹いたり色々とやっている。

今回の料理も湯気が出ているのを表現したいが、実際の量でやると中に入っている材料などは殆ど見えないそうだ。そんな時は少しだけ嘘をついてスープの量を減らして撮影する、煮立った感じを出すときはバーナーなどで焼いた石を入れたりする。

紹介する写真に嘘があってはマズイが、美味しそうに見せるためのテクニックは有ってしかるべきだ。

フライヤー等の印刷物にしても、誰もがデザインできるようになってきたけれど、紙面の中ですべての文字が同じ大きさでメリハリがなく、ギッシリと詰まっていたら内容を理解する以前に見る気が失せてしまう。デジタルカメラやPCと言った道具が普及したことで誰でもがコミュニケーションツールを作れる時代になったけれど、今までの職人にはスキルだけではなくナレッジも必要だったことをお忘れなきよう。




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