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廃業の波

先日、昔から付き合いのある、以前は画材屋さん、現在はPC本体からソフトウェア、OA機器からそのサプライまで取り扱う会社の、これまた古い付き合いの営業マンが来て話をしていった。

古くは学生時代、学校の名前を店頭で伝えると、筆やポスターカラーなどの画材が2割引になることから付き合いは始まり、就職したデザイン事務所では画材から版下を作る台紙から、紙焼き用の製版カメラ・写植や紙焼きを貼るラバーセメントと言った素材まで納入し、近年ではDTPの環境にあるPCからそのアプリケーションソフトなど、この仕事に係わる全ての機材から材料までを取り扱う会社で、我々のようなデザイン事務所や、勉強中の美大生にとっては切り離せない存在だった(既に過去形か?)。

そんな長い付き合いの営業さんが、近くまで来たからと電話をくれ、この数年来続いている業界の低迷ぶりの愚痴を語り合った。・・・近くに来た理由も、ここのご近所で事務所を営むデザイン事務所が廃業することになり、その後始末のためだという。

広告媒体であるTV-CMや新聞・雑誌などメディア価値の変化で、まるで広告代理店の業務範囲が変動したように仕事の流れが変わり、仕事量が減った中堅制作プロダクションなどのまだ体力がある各社が、競争するようにディスカウントしたコストで仕事を吸い上げ、全体の出稿量が減ったぶん、体力のない制作プロダクションにしわ寄せがきたのだろう。

ウチの事務所もそんなしわ寄せを受けているひとつで、社員も雇わずに一人でやっているからまだ生き残っているのだろうが、維持していくだけでも綱渡りをしているようだ。

こんな現状を客観的に見ると考えられる打開策は、1.)体力のあるプロダクションと同じようにディスカウントとプレゼンで仕事を取ってくるか。2.)比較的動きの落ち着いているエディトリアル系デザインにアプローチして、プレゼンとコストで仕事を取ってくるか。3.)自社の持つ能力を活かし、別のアプローチから新しい収益体制を作る。・・・この3つが考えられるだろうか。

とは言え、誰にでもすんなり出来ないのも確か。理由を挙げてみるとこんな所だろうか。

1. は、体力も人的リソースも小さい事務所で行うには大きなリスクが伴う。
2. は、比較的保守的な繫がりで出来ている組織の中に、入り込めるコネや繫がりをどうするか。
3. は、商品開発と言った所から、技術革新を含め日頃から考えておかなければいけないことだが、一朝一夕に出来る物でもないことは確か。


と、出来ない理由を付けて自分に言い訳しながら、ラッキーが空から振ってくるのを待っていても将来は見えない。打開策としての方向は以上の3つ有ることは、おおむね間違ってはいないだろう。3.)の商品開発にしても、一から新しい商品を開発すると言うよりは、現在有る技術に切り口(視点)を変えた“別の何か?”を組み合わせることの方が近いだろう。また、業界の慣例的なクライアントの対象を変えて、自分の持つ技術で商売として成り立つのか考えてみるのも、違う視点からビジネスを考える良いチャンスだ。

私がいるグラフィックデザインの業界では今まで、広告代理店や印刷屋が間に入ったり、企業から直接依頼を受けるなど、B to B が仕事の流れだった。個人として仕事を依頼する様な需要はありませんからね、個人としてデザインの需要はないかもしれませんが、自分の持つ技術で喜んでいただける物は・・・?。

見つけましょう、そんな隙間産業。こんな時代に必要とされているのは派手にホームランをかっ飛ばすことではなく、地道でもヒットを放ち、ビジネスの可能性としてのシード(種)を見つけることです。




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